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動乱の刻―歪む運命『呼び声〜夾竹桃』

世界は、静かに脈打っている――

芽吹き、歪み、そして命は交差する。

今、ひとつの「刻」が動き出す。

『呼び声〜夾竹桃』


マリンとネブラミスの苛烈な戦いの真っ只中…私はある仮説に慄いていた。あくまでそれは推理であって、事実では無いかも知れない。でも…慄くのには十分過ぎる仮説だった…。


教会が、非道な研究や実験を続けてきた数々の施設。宗玄の話しや、ネブラミスの言動…その全てのピースを繋げていけば…ネブラミスは『破滅を望む神の使徒』と位置付けられる。神の使徒ならば…『霊力』を使いこなしていても不思議ではない。


『葉力』は、ハオルチアが生まれた時から持っている力…発現年齢や、その効力、様々な違いはあるが…どの株も必ず、その『葉力』を持っている。

クスノキじーちゃんは、器で例えていた…株達は『葉力』を身体の中で作り、器を満たしている…と。

器に満たされたそれを、株達は使いこなして、魔法みたいな力や、肉体強化、魔剣のように物体を顕現させて使用している。

葉力を使い続ければ、葉力切れを起こして、動けなくなる程に衰弱する。

使える容量に上限があるんだ。


そして、その容量を無視してネブラミスは多種の葉力を使い続けている…。


神の手に寄って与えられた第二の器…『霊力』。

その器は、世界に溢れる活力を勝手に集めて満たす…その力の源は無尽蔵だと話していた。

ネブラミスは、無尽蔵に集められる力を使っているとしたなら…。いずれ葉力切れを確実に起こすマリンとは違う。何時間、何日、何週間…戦いが続く限り、体力が続く限り、休む事なく戦い続けるのが可能なんだ…。


今は、マリンが優勢に思われる戦況も…致命傷を与えられない限り、いずれ負ける…。戦いが長引けば、長引く程、ネブラミスは有利になっていく。


そんな恐ろしい仮説を、雫に話そうとしてるのに…頭の中に甘々な少女の声が響く。


ーねぇ、ねぇ〜。

夾ちゃん、とても大事な話があるんだよぉ〜!

じーちゃまにも頼まれてる事があるしぃ、私の聖域も危ういしぃ、困ってるんだからっ!

ちゃんとお話し聞いて?


その声の主は、多分…精霊さんだとは思う。思うんだけど…何か違う気もする。精霊ってさ…こう、威厳に満ち溢れてて、落ち着きがあって、優しくて、穏やかな…そんなイメージなんだよね…クスノキじーちゃんみたいに。


ーもぅっ!スッゴイ失礼だよ、それっ!夾ちゃん、怒っちゃうんだからねっ!!

夾ちゃんは、自分の聖域を作れるくらい力だってあるもんっ。自分の聖域を持ってるって、スッゴイ偉いんだからねっ!

まだまだ若輩だって、馬鹿にされる事もあるけどさ…じーちゃまが認めてくれた精霊だもんっ!

大精霊なんだからねっ!


甘ったるい声の主は、プリプリと怒りだした…さっきは泣いちゃう!とか言ってたのにな。

いや、だって…大精霊の一人称が『夾ちゃん』ってねぇ…威厳が無さ過ぎじゃない?じーちゃまに認められたって言うけどさ…ねぇ。


ー夾竹桃の精霊なんだから、夾ちゃんで良いんだもんっ。

じーちゃまも可愛いって、褒めてくれたもんっ。

実際、夾ちゃんは可愛いし!

威厳より、可愛い方が良いんだからっ。


…今度は拗ねた?全く騒がしい子だねぇ。

…って、それどころじゃ無いんだよ!

ヤバイ状況なんだってば…。


ーこっちもヤバイのっ!

さっきから言ってるじゃんっ。

本当、ちゃんと聞いてよね。

あの『腐食の魔女』が霊力を使いまくるから、私の聖域が喰われだしてるの…このままじゃ、聖域に避難してきてる弱精霊達が喰われちゃうし…。このまま侵食が続けば、土地まで死んじゃうんだよぉ…。死の大地になっちゃうんだからねっ!

そうなったら、株達だって困るでしょ!


…『腐食の魔女』って?

霊力を使いまくるって言ってたよね。

もしかして、ネブラミスの事?


ー私達は『腐食の魔女』って呼んでるよ?

そこで…めっちゃ戦ってる女の事だよぉ〜。

へぇぇ、ネブラミスって名前だったんだぁ…知らなかったよ。


聖域がネブラミスに喰われるって、どういう事?


ー『腐食の魔女』の霊力ってさ、周囲からエネルギーを集めてるじゃん…知ってるでしょ?

私達、精霊は格好の餌食なんだよねぇ。ほらぁ〜、私達って精神体?エネルギーの集合体みたいな?

そんな感じでさぁ〜ご馳走なんだよぉ。

それにさぁ…精霊って『強い想い』に惹きつけられるんだよねぇ。

それが、例え…邪心であったとしても惹きつけられちゃう。まぁ、何かする訳でも無いんだけどさぁ。何か、近くに寄って、見ていたい〜って、そんな感覚?魅せられる…みたいな? 

で、『腐食の魔女』の強い想いに惹きつけられて見に行けば…精霊の力は吸収されちゃう。力を失えば…精霊は消え失せる…死んじゃうんだよぉ〜。

そんなの悲しいじゃないっ!

だからね、見学?に、行かないように、弱精霊達を私の聖域へ避難させたらさ…今度は、聖域ごと喰い出したって訳なのぅ…。まぁ、聖域もエネルギーの塊みたいなモノだしねぇ…そりゃ、喰われるよねぇ。

ちなみにぃ〜聖域を喰い尽くした後は、土地やら株やらの…生命力を喰い出すらしいよ…。

ヤバくないっ?


夾ちゃん…夾竹桃の精霊さんだっけか。話し方が独特過ぎて…大変さが伝わらないんだが…。

要するに、ネブラミスが霊力を使いまくると、夾ちゃんの聖域を喰ってエネルギーの補充をしてる…と。

聖域を喰い尽くても、戦いが終わってない場合は、周囲の生命力を喰い出す…って、私達も喰われるのか!?


ーんん〜?『喰う』って言う表現より、『吸う』って方が伝わるのかなぁ?喰うって言われたら、頭からボリボリ食べられちゃうみたいじゃない?…エッグイじゃん、なんかっ。


それ、どうでもいいわっ!

無事に終わったら、幾らでも話しを聞くからさ…。今はネブラミスを何とかしなきゃっ!


ーやっと、ヤバイ〜って伝わったみたいで、良かったぁ!

もぅ…最初から、ちゃんと話しを聞いてくれてれば…もっと早く解決方法も相談出来たのにぃ〜っ!


おまっ、それを夾ちゃんが言うかっ?

ペラペラと思いつくまま喋りまくってるのは…夾ちゃんでしょうがっ!

こっちは、戦闘真っ只中で…めっちゃヤバイ状況が続いてるんだからね!


ーえぇぇー?

だってぇ…やっと思考が繋がったからさぁ…嬉しくなっちゃって?

でも、でも、『腐食の魔女』を止める方法を見つけたなら、早く知らせてた方が良いでしょ!?

夾ちゃんは、スッゴイ偉いんだから〜

褒めてよねっ!


ちょ…ネブラミスを止める方法を見つけたって!?

それが本当なら…本当にこの状況を覆せるのなら。幾らでも褒めるよ!


ーふふ〜ん。約束だからねぇ!

んじゃ、『腐食の魔女』を止めるには…


時には、キャラたちと共に笑い、

時には、共に憤り――

彼らが抱える想いに、どこかで共鳴してもらえたなら。

ゆるやかに、この世界観を満喫して頂けたなら。

それが、私にとって、何よりの幸いです。


――読んでくださって、本当にありがとうございました。

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