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凹凸コンビの生徒会

「会長。資料です」


「ありがとう」


「こちらが、質問される箇所をピックアップした資料です」


「おお、すまない」


「後、こちらの書類は終わりました」


「すまないね」


あ~・・・何で俺こんな事してるんだ・・・。


俺は今生徒会の書記をやっている。


何でこうなったかというと・・・。


―――。


――――――。


昼休みの時間。


俺は副会長の美鶴に呼ばれ生徒会室に赴いた。


「俺に生徒会を手伝ってほしい?」


「そうだ。今人手が足りなくてね。君みたいな優秀な人が必要なんだ」


「お断りします」


何を寝ぼけているんだこの会長は


俺が手伝うわけないだろう。


「そ、そんなこと言わないで下さいよ~」


「嫌だ」


そんな泣きそうな顔でしがみ付くな!


男に興味はない。


「ずっとではないんだ。出来るだけ早く任期を終わらせる」


「他の人を頼ってください」


「どうしても駄目か?」


「どうしても駄目です」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「あ、あの~お二人とも・・・」


「「君は(お前は)黙っていろ!!」」


「す、すみません・・・」


「話はもう終わりですか・・・さようなら」


さっさと戻って次の授業の準備をしないとな。


無駄な時間を過ごしてしまった。


「・・・貸し一つ」


扉に手が掛かった所で会長がそう言った。


「君は私に貸しがある。忘れたわけではないよね?」


机に肘を乗せ妖艶な笑みを向けている。


・・・そんなことあったな・・・。


「それが何か?」


「その貸しを今ここで使わせてもらう」


使って別にいいが、俺が損をしている取引には応じるつもりはない。


「割りにあわないですね。そちらが得しすぎだ」


「それはどうかな?君達のクラスは多大な売り上げを上げていたね。その売り上げで盛大な打ち上げをしたらしいじゃないか。本来なら一定の売り上げを超えたら学校に寄付するのがルールだが、それを行っていない。しかし、それを知っているのは生徒会のみ。・・・君なら後は言わなくてもわかるだろう?」


「・・・・・・」


―――。


――――――。


こんな感じで俺は今、生徒会の書記をやっている。


本来なら、これくらいの事で応じるつもりはなかったんだがな・・・。


多額の売り上げで打ち上げだって?


俺はそんなこと一切知らん。


仮に知っていたとしても、他を犠牲にして俺は自分の身を守る。


あと、女性だ。


男は死ねばいい。


だけど、今回も褥が


「生徒会に入れ」


って言ってきたんだよなぁ~。


で、そう言うから今回の標的は会長なのかと聞いたら


「いや、そうではない」


と即答されて、じゃあ何でだって聞くと


「今は教えられん。兎に角生徒会に入ってから教える」


そう言われて他に聞こうとすると何も話してくれなかった。


一体何があるんだよ・・・。


でも、褥に言われたら従うしかないしな。


それで渋々生徒会に入ったのが本当の理由だ。


「すごいですね。尊敬します伴崎君」


俺の仕事ぷりを見て関心と尊敬の眼差しを向けてくる。


「あ、そう。それはどうも」


いくら可愛くても男は男。


そんな奴には一切親切心を出さないのが俺のモットー。


「僕もそれくらい出来たら会長も苦労しなくて済むんですが・・・」


まったくその通りだ。


そのせいで俺がこんな事になっているんだからな。


「副会長行くぞ」


「あ、はい!・・・伴崎君。また明日もお願いしますね」


会長の後を追って副会長も室内から出て行った。


「はぁ~・・・何時まで続くんだよこれ・・・」


「もう弱音を吐いているのか」


俺だけになったのを確認し、褥が出てきた。


「褥。言われた通りやったんだから、訳を聞かせてくれ」


「そうだな」


やっと聞ける。


今回は誰が標的なんだ・・・。


生徒会に入ったんだから、生徒会の誰かなのは確かだな。


「あの二人の恋の手助けをしろ」


「・・・・・・・・・」


何て言った?


「褥。今なんて・・・」


「二人の恋の手助けをしろ」


「・・・・・・・・・」


聞き間違いではないらしい。


「誰の?」


「会長と副会長だ」


「え?あの二人お互い好きなのか?」


「そうだ」


「何でその手伝いをしないといけない」


「閻魔様からの用件だからだ」


「・・・褥。今すぐ白黒さんに電話してくれ」


「断る。閻魔様は今忙しい」


「俺の今回の標的は?」


「ない。代わりにこれが今回の標的だ」


絶望しかない。


恋愛ができない俺が何で他の奴の恋の手助けをしないといけないんだ!


理不尽だ。


不公平だ。


こんなもの拷問でしかない!


俺以外の奴が幸せになるなんて許せん!!


「お主が不満があるのはわかる。だがな、奴らも不憫なんだ・・・」


「・・・不憫ってどういうことだよ・・・」


「惹かれあっている者同士なのに一度も結ばれたことはないのだ」


「それって、いつからだ?」


「魂が生まれてからだ」


「どうしてだ?」


「この世には運命というのがある。仕事・場所・時間・行動・スポーツなど様々な運命がある恋も同じだ。その運命に巡り合えた者を成功者と言う。そうし、あの二人は巡り合える運命を持っているのに相手の幸せを考えて互いが身を引いたり、許婚との婚約、不幸な事故、すれ違いの人生・・・そんな感じなのが多々あり互いが一緒になったことがないのだ。さらにな、お互いが地獄で閻魔様に毎回聞くのだ。『あの人は幸せな人生を送っていたのか』と、それで不憫だと感じた閻魔様が今回お主に指示をしたのだ」


珍しく褥が長く話したな。


確かに聞くとあの会長と副課長はそこまで不憫な事を輪廻してたのか・・・。


同情はしよう。


だがな、


「理由はわかった。さすがにそれは不幸だな。でも、俺関係なくね?」


俺にはまったく関係ないね。


「閻魔様直々にやりたかったのが、それをやると問題が起こるのでな。それでちょうど罪滅ぼしをしているお主に任せようと思ったらしい」


何だよその外出るんだったらついでにコンビニでアイス買ってきてみたいな感じは・・・。


いくら俺が女性の頼みごとに弱いからと言っても


他人の幸せを手助けするほど心は広くない。


「・・・今回の件が成功したら閻魔様直々に褒美があるらしいぞ」


「やらせて頂きます」


自分だけ良ければいいって考え方は最低だな。


俺はそんな心の狭い人間ではないから快く引き受けよう。





「・・・とは言ったが、どうしたものか・・・」


あれから数日が経った。


いまだに進展はない。


資料室の整理をしながら色々と考えていた。


どうやってこの二人の間を取り組めばいいのか・・・。


大体、俺こんなことしたことないしな・・・。


「どうかしたんですか伴崎君?」


「あ?俺何か言ったか?」


「うん」


そうだった、こいつもいたんだった。


考え事していたらいつの間にか声にだしていたのか。


聞こえたんならちょうどいいか。


「なぁちょっと聞きたいことがあるんだが」


「何ですか?」


「お前気になっている人いるのか?」


「え?・・・えええええ~~~!!」


副会長は持っていた書類をバサバサと音を立てて落とした。


顔を赤くして赤面していた。


「えっとそれってす、す、好きな人ですか・・・」


「当たり前だ」


「////」


もじもじするな。


男がそんな事しても俺は萌えないんだよ。


「で、どうなんだ?」


「・・・い、います」


「それって会長か?」


「な、何で知ってるんですか!?・・・あ」


こいつ単純だな。


「あ、ああの!だ・誰にも言わないで下さい!!」


「安心しろ。そんなしょうもないことなんて言わねぇよ。でも、何で会長を好きなんだ?あんな男みたいな感じなのに・・・」


「そんな事ないですよ。会長はいつも自分に自身を持って行動するからそう見えてしまうかもしれませんが、会長は優しい人で女性らしいですよ」


「・・・やけに詳しそうな感じの話し方だな」


「・・・実は、僕と会長は幼馴染で家も隣同士なんです。小さい頃よく苛められていた僕を助けてくれてて・・・」


「それで一目惚れしたと・・・」


「・・・ハ、ハイ///」


普通逆だろその立場。


何で性別が逆じゃなかったんだこの二人。


逆だったら絶対すぐ付き合ってるぞ。


「それで?お前はどうしたいんだ?」


「どうって?」


「告白しないのか?」


「そ、そんなの出来るはずないじゃないですか!?ぼ、僕なんかが会長とつ、付き合えるわけないです・・・それに好きな人いるそうですし・・・」


多分、それはお前の事なんだよなぁ~。


でも、それを俺が言っても信じないだろうな。


ならここは一つ


「じゃあ諦めるのか?」


「そ、それは・・・」


「諦めたくないなら・・・俺が手伝ってやる」


「・・・え?」


「どうするんだ?」


「え・・・えっと・・・おねがい・・します」


「良く言った。俺にまかせろ」


「あ、ありがとうございます!」


―――。


―――――――。


「これでいいだろう」


「ほ、本当にこれで大丈夫なんですか・・・」


「直接言えないお前にはうってつけじゃないか」


「そ、そうだけど」


副会長は大事そうに手紙を持っている。


そう!俺が考えたのはラブレターだ!


普通なら女性が男性に渡すのが一般的だが、


この二人は間逆だ。


だからこういうのが効果的なんだよ。


「それをしっかりと入れろよ」


「う、うん。会長の机の中にだよね」


「ああ、そうだ。そしてお前は屋上で待つ。OK?」


「う、うん!」


「いい返事だ。俺は会長に報告してくるからお前は後から入れよ?もちろん会長がいない時にだ」


「わ、わかったよ!ありがとう伴崎君。僕頑張るからね!」


嬉しさのあまり俺に抱きついてきた。


「やめろ!離れろ!!俺にそんな趣味は――」


「どうだ、資料室の整理はおわ・・・」


最高のタイミングで入ってくるな・・・。


「・・・・・・」


「・・・会長。これは・・・」


「すまない。私は何も見ていないから・・・失礼する」


「誤解だーーーー!!!」





「まったく。驚いたぞ。まさか君にそんな趣味があるとはな・・・」


「・・・本気で言ってますか」


「いや、冗談だ」


「ならいいです。それと資料室の整理終わりました」


「ああ。ご苦労。今日はもう帰っていいぞ」


「会長少し話があるんだがいいか?」


「何だ?」


「会長って好きな人いるのか?」


「・・・私に告白するつもりか?」


「そんな事頼まれてもするか」


「では、なぜそんな事を聞く」


お前とあいつを早くくっつけて終わらせたいからだよ。


って言いたいが、互いが両思いなのを知っているのは俺だけだ。


「ここ最近の会長と副会長の行動を見てもしかしたらと思ってな。あいつの事好きだろ?」


「・・・・・・」


「その無言は正解と受けていいんだな」


「・・・なぜわかった・・・」


そうだよな。


普通はわからないよな。


答えが知ってないと気づくはずがない。


「俺そういうの敏感なんだよ。もてるから」


「そうか・・・」


・・・信じたよ・・・。


だけどこれで両思いが確定したな。


「だが、私がそうでもあいつは嫌ってるだろうな・・・」


ん?何か怪しい雲が立ち込めてきたような・・・。


「いや、そうでもないんじゃないのか?」


「それはどうかな・・・」


「とりあえず言ってみたらどうだ?動いてみないとわからないぞ」


さっさと俺は自由になりたいんだよ。


「言わなくてもわかる」


「それはきめつけじゃないのか?」


「私にはわかる。もうこの話は止めだ」


中々強情な女だな。


「何怖気づいてんだよ。会長らしくないぞ」


「・・・止めろ・・・」


「何なら俺が言ってきて―――」


「止めろといっている!!」


「・・・・・・え・・・」


いきなりの怒声驚いたぞ。


「私と美鶴がつりあうわけないだろ!!」


「あいつにはもっと相応しいやつがいる。こんなガサツで周りの目を気にして素直になれない私なんかと一緒にいていいはずがない!!」


「お前・・・」


どうしたんだいきなり、


あのいつも澄ました顔の会長じゃあなくなっている・・。


「あいつは昔から皆に優しくて、優しすぎて人に頼まれた事を断れないでいつも損をする。副会長になったのもきっとそうだ・・・」


会長の手は強く握り締められ白くなっていた。


「誰が好き好んでこんな役員を・・・私の傍でやるものか!!」


「私は・・・私だけはっ!!美鶴を奪ってはいけないだ・・・」


肩で息をしている。


必死さが伝わる。


「何かあったのか・・・」


「・・・・・・」


「さっきはすまなかった。言い過ぎた。会長の事を考えずに・・・だから、話してくれないか・・・。誰にも言わない。約束する」


「・・・・・・交通事故だ・・・」


「・・・え」


「・・・昔の事だ。今は元気だ。幼い頃あいつは苛められてた・・・」


それはあいつに聞いた。


それを助けたんだろ?


「・・・私も一緒に苛めてたんだ」


「・・・なっ!?」


おいおい何の冗談だ!?


「ふっ・・・驚くのも無理ないな・・・羨ましかったんだ」


「・・・・・・何がだ?」


「美鶴は外見が女みたいだろ?それに中身もだ。花や動物が好きで、趣味は料理とお菓子作りだ。そこいらの女子より女性らしい。それは昔から変わらん。・・・そして私も変わっていない。この中身だ・・・。ちやほやされる美鶴を疎ましく思っていた。そんな時、何人か私と同じ事を思っていた者もいた。そいつらと一緒になって苛めた。・・・その時不幸が起きた。私が美鶴を突き飛ばした時、・・・道路に飛び出てしまい・・・車に跳ねられて重症を負った。意識不明の状態が何日も続いた・・・。美鶴の両親と親にたくさん怒られた」


「・・・・・・・・・」


「私は毎日見舞いに行ったよ。今思うと罪滅ぼしのつもりだったんだろう。来る日も来る日も美鶴の好きな花を持って・・・」


「・・・・・・・・・」


「美鶴が目を覚ました時、私はたくさん・・・たくさん謝った。一生分の懺悔をした。許されない事はわかっている。でも謝るしか出来なかったんだ。・・・でもな、泣きじゃくる私に美鶴こう言ったんだ」


『泣かないで。僕は真ちゃんの笑顔が好きだから。だから、泣かないで。笑って』


「・・・・・・・・・」


「驚くよな。死に追いやった私を許したんだ・・・。いつも見せていた明るい笑顔で。・・・私は誓った。もう美鶴を悲しませない、不幸にさせない、美鶴を守ってやる・・・と」


「・・・そこに彼女になって幸せにするはなかったのか」


「・・・ないと言うと嘘になる。でも、私からは言うつもりはない。美鶴の事を本気で好きになった人が来たら私は身を引く。それまでの間・・・間だけでも一緒に・・・」


すすり泣く音が聞こえる。


明るかった空がいつの間にか暗い雲に覆われていた。


それのせいで会長の顔が見えなかった。


「・・・ごめん。軽々しく聞いていい話じゃなかったな・・・」


「・・・なに、気にするな。私も怒鳴ったりしてすまなかった。・・・誰かに話したかったんだと思う・・・聞いてもらえてよかったよ。・・・少し胸のつっかえが取れた・・・」


「そうか・・・」


嘘が下手な会長だな・・・。


「・・・すまんが一人にさせてくれないか?」


よく見ると会長の肩が少し震えていた。


「・・・・・・」


本来ならここにいてやるべきなんだが。


それは俺ではない。


「・・・わかった・・・」


「・・・すまんな・・・」


俺は静かに扉を開けて出て行った。


どうやったら二人は巡り合える・・・。


簡単に済みそうな話ではないぞこれ。


もう一度あいつに聞くか・・・ん?


生徒会室を出てすぐの曲がり角に手紙が落ちてた。


「・・・・・・あいつ・・・もしかして・・・」


俺は屋上に走った。





「ハア・・・ハア・・・」


男の為に全力疾走したの初めてだ・・・。


一生の汚点だな。


・・・いや、今はそんな事考えるのは止めよう。


「・・・聞いてたのか?」


屋上のフェンスにしがみついて外の風景を眺めている副会長。


「・・・ごめんね。盗み聞きするつもりなかったんだ・・・」


ゆっくりと俺に視線を向けた。


「・・・泣いてるのか」


副会長の頬に水が流れた後と風で飛び散る光が見えた。


「・・・少し・・・ね」


「僕のせいで真ちゃ・・・会長が苦しんでたなんて・・・ごめんね」


「・・・謝るなよ」


「だって、僕が悪いんだよ!!僕が、僕が会長の事考えないで・・・苦しませて・・・最低だよ」


「交通事故に昔あったんだな・・・」


「・・・隠すつもりはなかったんだ。でも、言いふらすつもりもなかった。言ったら会長が苦しむから・・・」


「そうだな」


「でも、言わなくても苦しめてた・・・僕が傍に入る事で会長は苦しんでた。泣いてたんだ・・・心の中で毎日毎日。それに気づかない僕は・・・」


「・・・・・・」


「僕に向けてくれてた、会長のあの笑顔も・・・作り笑顔だったのかな・・・」


「本当にそう思っているのか?」


「・・・わからない。今までずっと一緒にいてくれたけど・・・もうわからないよ!」


―――ポツ―――


―――ポツ・・ポツ―――


「ん?雨?」


空を見上げると厚い雲から一粒二粒と振ってきた。


―――ゴロゴロ―――


おまけに雷も鳴っている。


「・・・あ・・・」


不意に副会長が声を漏らした。


「どうした?」


「・・・あ、いや・・・」


「今ここには俺とお前しかいない」


「・・・・・・雷・・・」


「雷苦手なのか」


首を横に振って否定した。


「会長が苦手なんだ」


「会長が?」


それは意外だったな。


「会長あの音が嫌いでね・・・僕が一緒にいる時は耳を塞いであげて聞こえなくしてたんだよ」


―――ゴロゴロ―――


「・・・行ってやれよ」


「・・・・・・え」


「会長。きっと怖がって机の下にでも隠れてるんじゃないのか?」


「でも、僕が行くと・・・」


「でめぇそれでも男か!!」


「!!?」


「好きな女が困ってるんだぞ!助けてあげろよ!!昔の事をいつまでもウジウジ考えるのは止めろ!お前は昔と今どっち取るんだ!?これがラストチャンスだぞ!」


「・・・・・・っ!!」


「しっかりと伝えてやれ!お前の気持ちをな!!」


走り去って行く副会長。


「何だよ。やれば出来るじゃねぇか・・・」





空が一瞬光った。


「ッ!!」


私は目を力一杯瞑った。


耳も両手で押さえて聞こえないようにした。


―――ガラガラ―――


怖い。


怖い怖い。


怖い怖い怖い。


誰か助けてくれ!


「大丈夫?真ちゃん」


「・・・・・・え、みつ・・・る?」


頭に何か被さった感触がして目を開けると


幼馴染の美鶴がいた。


「もう大丈夫だよ」


そう言って美鶴は私に被せた制服の上から耳を塞いでくれた。


「もう怖くないよ」


優しい笑顔を向けてくれた。


―――ゴロゴロ―――


まだ雷の音が聞こえるけど


怖くなくなった。


「・・・すまないな」


「ふふ。相変わらず雷は苦手なんですね」


「・・・笑うな・・・」


「・・・すみません」


・・・静まれ。


私の心、静まれ・・・。


私では美鶴を幸せに出来ないんだ。


だから静まれ!


「真ちゃん。・・・僕、好きだよ」


「え・・・」


「真ちゃんが好き」


これは夢なのか・・・。


美鶴が私に告白している。


「返事・・・聞かせてほしいな・・・」


「・・・・・・」


正直すぐにでも返答したい。


私も好きだと。


でもそれを許さない私がいる。


「僕、真ちゃんの笑顔好きだよ。いつも僕を守ってくれてくれたかっこいい真ちゃんも好き。失敗して怒ってくれる真ちゃんが好き。いつも寝過ごす僕を起こしてくれる真ちゃんが好き。風邪を引いた時苦手な料理を一生懸命して絆創膏だらけの手でお粥を食べさせてくれた真ちゃんが好き」


「・・・・・・・・・・・・」


「だからね。真ちゃん」


「・・・・・・」


「もう苦しまなくていいんだよ。・・・僕は真ちゃんとずっと一緒にいたい」


「・・・」


「真ちゃん」


「・・・」


「自分を許してあげて」


「・・・・・・ヒッグ」


私の頬から雨が滴り落ちた。


「ヒッグ・・・ヒッグ・・・」


たくさん落ちた。


「ヒッグ・・・ヒッグ・・・ヒッグ・・・」


心の中が一気に軽くなった。


「・・・いい・・のか・・・」


「ん?」


相変わらず優しい笑顔を向けている。


「私は・・・やきもちだぞ?」


「そうだね」


「・・・天邪鬼だぞ?」


「知ってる」


「・・・料理出来ないぞ?」


「僕が作るよ」


「・・・男みたいな感じだぞ?」


「そんな事ないよ。真ちゃんは女の子だよ。すごく女の子らしいよ」


「・・・幸せにしないと怒るぞ?」


「うん。絶対悲しませない。誓うよ」


私は美鶴に飛び込んだ。


「絶対だからな!」


「うん」


私は美鶴の中でたくさん泣いた。


悲しい涙ではなく・・・。



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