文化祭 (中)
俺は制服に着替え洗面所の鏡を見て身嗜みを整えた。
うむ。今日もいい男だな俺。
鏡に映る自分自身を褒め称えた。
そして後ろを向く。
褥がいる。
それはいつもの事なんだが
「何だ何かついておるのか?」
自分の周りを見ている。
「・・・やっぱり心配だ・・・」
「本当に大丈夫か?」
「しつこいぞ。大丈夫だ」
今日から文化祭が始まる。
それにともない、いつもの着物姿ではなく黒のジーパンに黒のTシャツ、サングラスと帽子を被っている褥の姿がある。
結構ラフな格好だが、褥自身身長も女性にしては高い方で体系もスレンダーだから意外に似合っている。
どこかのモデルがお忍びで変装している感じだった。
「・・・問題を起こしそうで怖いな・・・」
俺がそういうのも仕方がない。
なんせ、白黒さんが文化祭を見に行くから一人では危ないと言い、いつもは周りの(一部を除く)人から見えないようにしているのに、それを止めて付き人をするからだ。
そして、こいつに一般常識があるのかどうかが一番の問題だ。
「余がそんなことするはずがなかろう」
自信満々に言うが、何かフラグのようで逆に心配だ。
「じゃあ聞くけど、男に話しかけられたら?」
「軽くあしらう」
「痴漢まがいな事されたら?」
「別に気にせんな」
「囲まれたら?」
「その時は時と場合によって武力行使する」
「・・・まあ問題ない・・・か」
「そうだろう」
褥は女性であるがけっこうサバサバしてる性格だし、いくつか質問した所、大丈夫かな?
あ、そうだった。
大事なことを聞いてなかったな。
白黒さんの場合を聞いてなかった。
さっきの質問を聞いていたら多分だが、問題ないだろう。
最悪、相手を脅すくらいの事をするか、そうならないように白黒さんを護衛するとかそんな感じの返答をするだろう。
「ちなみにそれらの行為を白黒さんにしたら?」
「両手両足の骨を折ってその場から逃げないようにし、おっとその前に喉を潰して声を出させないようにせんとな。その後は手と足の爪を一枚ずつはいで歯も抜き取り指も一本一本折り耳を引きちぎり目玉をくり抜いて舌を抜き最後に心臓を抉り出して殺す。ああ、心配するな血は出ないようにやるし周りの人間にも気づかれないようにする。む?どうした顔が真っ青だぞ?」
「・・・・・・・・・」
どうか、白黒さんが変な男に何かされませんように・・・。
「・・・おはよう・・・ございまひゅ・・・」
二階の別室で寝ていた白黒さんがまだ眠い目を擦りながら洗面所に来て挨拶をしてきてくれた。
少し寝癖かかった髪がアホ毛みたいになって頭を右へ左へを動かすとピコピコ動く。
それに自前のパジャマは自分の体系より一回り大きさサイズなの手足が隠れている。
しかも、猫の着ぐるみパジャマときたもんだ。
「・・・ねむい・・・でしゅ・・・」
「何この可愛い生き物(おはよう白黒さん)」
「亮治よ。本音がでておるぞ・・・わからんでもないが」
今回は珍しく褥も俺と同じ気持ちになっていた。
そうだよな!
こんなエロゲーみたいなCGが今現実となってここに展開されてるんだ!!
これは本音が出ても仕方がない。
「閻魔様は朝が苦手でな。仕事がOFFの日は昼ぐらいまで眠っておられる。熊のぬいぐるみを抱いてな」
そう言って褥はポケットから一枚の写真を取り出した。
そこには大きな熊さんをギューッと抱きしめて幸せそうな顔で眠っている白黒さんの姿が映されていた。
「その写真売ってください褥様!!」
即効で土下座をした。
お前にプライドはないのかって?
ふっ。そんなものとっくに捨てているわ!
「だめだ。やらん」
「どうしてですか!!?」
「これを撮るためにどれだけ苦労したことか、閻魔様は自身のプライベートを大事にする方だからガードが固くて何人の死神がお仕置きを受けたか・・・」
「じゃあ何で今こんなレアな光景が見れてるんだ?」
「閻魔様は自身を信頼した人しかこんな姿見せんからな・・・まあ昨夜楽しみすぎて中々寝付けなかったらしいからそれの可能性が高いがな・・・」
「なら俺はラッキーだったということか・・・所で、白黒さんって地獄の人気者なのか?」
「当たり前だ。あの方の部下に就きたいと申すものは五万とおるぞ。その中の猛者の中の猛者しか部下に出来んからな。なるのに相当苦労した・・・」
「・・・何か地獄って案外面白そうな奴けっこういそうだな」
「そんな狭い所で何をされてるんですか?」
俺たちがリビングに中々来ないものだからアンドロイドが様子を見に来た。
「あ、ごめん今から行くよ」
「あ、すみませんもう逝くんですか。タイミング悪くて申し訳ありません」
アンドロイドは手で顔を隠して恥ずかしそうなアピールをした。
「違うわ!!その逝くじゃねぇよ!!!しかも恥ずかしそうな仕草してもそんな感情一つもないだろ!」
「はい。もちろんです」
「・・・素の顔で言われるのも中々くるな・・・」
「そんなことはさておき、朝食が出来ていますので早く食べてください」
「わかったよ」
「褥さんも邪魔なので退いて下さい」
「御主。余にもそんな言い方するのか」
「早く退いてくれないと白黒さんが顔を洗えません」
「わかった」
「さあ白黒さん顔を洗って目を覚ましましょうね」
「・・・う~・・・」
「今日は大事な日ですからたくさん食べて力をつけて下さい」
「お、悪いな」
「おいしそうです♪」
「・・・ズズズ・・・」
白黒さんも顔を洗って眠気が覚め、皆で朝食をとった。
「わあ、これおいしいですね!」
出し巻き卵を一口食べ嬉しそうに言った。
「ありがとうございます」
今日の朝食は和食だ。
やっぱり日本人は米食べないと元気でないよな!
「・・・そういえば白黒さんってご飯食べるんですね」
俺の向かい側の席に座っている褥は湯飲みのお茶を静かに啜っている。
なぜそんなことを聞いたかというと、褥が食事を取った姿を見たことないからだ。
前に一回褥に聞いたときは
「余は人間と違うからな。食べなくても病気になったり、栄養失調で死んだりせん」
と言ってから白黒さんも食べないのかと思っていた。
「そうですね食べなくても平気ですよ」
褥と同じ答えが返ってきた。
「でも、旅行に行ったときそこの名物を人は食べますよね?だから私もここの(現代)名物を食べているんですよ。久しぶりの休暇を満喫させてもらってます♪」
「なるほど。そういえば休暇中仕事の方は大丈夫なんですか?」
「それは・・・本当は休暇を取るつもりはなかったのですが、部下の皆さんが休んで下さいと懇願してきまして、それで断るのも悪いかなっと感じお言葉に甘えてお休みをいただきました」
懇願されるってどれだけ働いていたんだ白黒さん・・・。
そして、白黒さんっていくつなんだろう。
でも、これは女性に対しては失礼なことだから黙っていよう。
「それがいいですよ」
「え?」
「何でもありません。あ、おかわりいいですか?」
「はい。どうぞ」
「・・・ズズズ・・・」
楽しい朝食の時間はあっという間に過ぎていった。
「いってきます」
「はい。いってらっしゃい」
外に出るともう褥と白黒さんは準備が出来ていた。
「とりあえず麗香と合流するか。白黒さんにも合わせないといけないしね」
俺達は駅へと足を運んだ。
―。
―――。
――――――。
「よっお待たせ」
駅のホームで麗香を見つけた。
「おはよう亮治。・・・それとこの方が閻魔様?」
褥の手を握っている少女に視線を向けた。
「初めまして。地獄で閻魔の仕事をしている白黒と申します。今回は伴崎さんが勉学されている学校の文化祭にお邪魔させてもらいます」
軽くお辞儀をした。
「ご丁寧にどうも。私は里嶺麗香と申します。亮治とはいつか婚約する仲です」
俺の意見を無視してだがな。
「そうですか。いつになるか、または死ぬまでないかも知れないのに・・・頑張って下さいね」
「俺の人生を勝手に決めないでくれませんかね・・・。そういえばエリスさんは?見当たらないけど・・・」
いつも麗香の傍にいるはずのエリスさんが今日は見当たらない。
「ああ、エリスなら喫茶店の準備で先に行ってるわよ」
「そうなのか。ちなみに何喫茶か知ってるか?」
「いえ、聞いてないから知らないわ」
「そっか・・・(後で見に行ってみようか)」
「それで。どうして褥がそんな姿で周りの人に見えるようになっているの?」
「白黒さんの付き人をするらしい」
「・・・大丈夫なの?」
「・・・大丈夫と祈るしかない・・・」
しばらく皆で雑談をしながら歩いていた。
「そういえば、伴崎さんのクラスは何をするんですか?」
白黒さんにはまだ言ってなかったな。
・・・そうだ!
リハーサルも兼ねて見てもらうとするか!
「そうですね。直接見てもらいたいので内緒です」
「それは楽しみです!」
「麗香。準備は出来てるんだよな?」
「ええ。今頃メイクも終わってるんじゃないの」
「そっか。なら大丈夫だな」
はてさて、メイクと衣装関係は麗香が頼んでおいた専門の人達にまかせているから、どれくらいのものになっているんだろうな。
「早く行きましょう!」
気持ちを押さえきれないでいる白黒。
こうして見ると外見相応な感じだよな~。
というかその一面しかまだ見てないな。
そのうち見れるのかな?
「そうですね。じゃあ急ぎますか」
俺たちは少しだけは足早に学校へと向かった。
「・・・ホラーハウス・・・?」
「そうです。俺たちクラスの出し物です」
「どんなお店なんですか?」
そうか。
白黒さんのいる地獄にはこういったのがないもんな。
「そうですね。白黒さんがいる地獄と同じようなものだと思いますよ」
「そうなんですか?」
「はい。では少しだけここで待っていてくださいね」
「わかりました」
視聴覚室の前で褥と白黒さんを待たせて俺と麗香は中へ入った。
どんな感じになっているのかな。
「・・・・・・うわぁ~・・・」
「どうかしたの・・・うわぁ~・・・」
俺と麗香は中に入るとそこは別世界だった。
床一面に広がる血溜まりと臓物。
壁は所々にひびが入り血の手形や血肉が付いている。
蛍光灯は消えたり付いたりしている。
そしてクラスの皆を見る。
専門のメイクの人達がメイクをしている。
どれもグロテスクで見れたものではない。
やべー気持ち悪くなってきた・・・。
「・・・ここは地獄か・・・」
「気持ちが悪くなってきたわ」
隣で麗香が口を押さえてた。
「大丈夫か?」
「・・・無理。ちょっとお手洗いに行って来るわ・・・」
そう言ってトイレに向かった。
「こんなの見たらそうあるよな・・・」
でも、これくらいリアルだと繁盛しそうだな。
それに白黒さんも喜んでくれるだろう。
地獄がどんなものか知らないが、きっと白黒さんは見慣れてると思うし。
「皆おはよう」
「あ、おはよう伴君♪」
「亮ちゃん見てみて~どう?いい感じ?」
「今日の文化祭頑張ろうね!」
「うん。皆元気でいいね(頼むからそんなグロテスクな顔を一斉に向けないでくれ)」
今日食べた朝食が口から出そうになるのを気合で止めた。
「皆。今からリハーサルをしようと思ってるんだけどいいかな?」
そう言うと、皆快く了承してくれた。
「じゃあ今からお客さんを入れるから、頑張ってね」
教室から出て、外で待っていた白黒さんと褥に声をかけた。
「中は暗いから気をつけてください。褥がいるから大丈夫だと思いますけど」
「まかせておけ。閻魔様。手を繋いでいきましょう」
「はい」
二人は暗い闇の中へと消えていった。
白黒さんも褥も地獄で見慣れているから問題ないだろうな。
「・・・まだ気持ち悪いわ・・・」
お手洗いから麗香が戻ってきた。
その顔はまだ少し青ざめていた。
「・・・大丈夫か?」
「・・・ええ。先ほどよりは幾分か・・・ね・・・」
ハンカチで口元を押さえて言った。
「それより白黒さんと褥はもう中にはいったのかしら?」
「ああ、今さっき入ったぞ」
「大丈夫かしら」
「きゃああああああああああーーーーーー!!!」
「「!!?」」
中から悲鳴が聞こえた。
「な、何なんだ!?」
「誰の悲鳴かしら」
しばらくすると
―――ガラガラ―――
出口の扉が開いた。
「・・・・・・・・・」
褥が出てきた。
「褥。さっき中ですごい悲鳴が聞こえたけど何があったんだ?」
「ああ、それはだな・・・」
「・・・ヒック・・・こわ・・かったで・・・す」
「・・・白黒・・・さん?」
褥の後に抱きついて、白黒さんが泣いていた。
「・・・どうしたんだ?」
「亮治」
「何だ」
「・・・すばらしかった。感謝する」
褥は後ろで泣いている白黒さんを見る。
肩を震わせながら泣いている。
ウサギが脅えているみたいだ。
その後、俺の方を向いて。
嬉しそうに微笑んでいた。
「(こいつ・・・)」
「閻魔様。もう出口に出ましたので落ち着いて下さい」
「う・・・ヒック・・・」
まだ脅えている閻魔様にハンカチを取り出し涙を拭いてあげている。
「ほらほら綺麗な顔が涙で・・・拭いてあげますから顔を上げてください」
「は・・・い・・・ヒック・・・」
「あらあら。相当怖かったようね。・・・あんなものを見たら」
褥と白黒さんのやり取りを見るとまるで親子みたいな感じだな。
ちくしょー、褥め。
嬉しそうに白黒さんの顔を拭きやがって。
俺もその綺麗な頬を拭いてやりたい。
「ほら、こちらに顔を向けて」
「ん・・・」
なんて魅力的な表情なんだ!!
その穢れを知らないと感じさせる顔!
羨まし過ぎるぞ!!
「・・・何を悶えているのよ亮治・・・」
「本当に怖かったです」
落ち着きを取り戻した白黒さんは少し怒っていた。
「すみません」
「もう・・・一体、地獄を何だと思ってるんですか」
「え?違うんですか?」
俺はてっきり地獄は鬼や餓鬼や魔物とかが住んでいて血みどろてきな事が毎日行われている場所だとおもっていたんだが。
「違います!地獄をどんな所だと思ってるんですか!!」
怒られた。
怒ってる姿も可愛い。
「地獄はそんな所ではありません。大体そんなんですと転生する時に支障をきたしますし、環境にも悪いです」
「えっとではどんな感じかもう少し教えてくれませんか」
俺が思っていた地獄のイメージと大分違うような感じがしたので聞いてみた。
「そうですね・・・比較的こちらの世界と変わりはありませんよ」
「そうなんですか」
「はい。皆さん罪の償いを行い、次の転生に備えて仕事をしていますよ。仕事は罪の量によって違いますが辛く厳しい内容には出来るだけしないようにしています。それにあんま気持ちの悪い生物もいません」
「なるほど。では俺の思っていた地獄は間違いだったんですね」
「そうなります。まあ地獄の時の記憶を持つ事はないので、仕方のないことです」
「そうですよね・・・あれ?じゃあ何で俺は今罪を償ってるんですか?」
「それはですね。伴崎さんは地獄にいた時、まったく罪を償わなかったからです」
「・・・まじ・・・?」
褥の方見る。
「ああ、本当だ」
「お主はまったく何一つとして償いをしなかったな」
「何してたんだ。前世の俺は・・・」
「遊び呆けていたぞ」
「・・・最低だな」
「何回注意しても聞いてくれませんでしたし・・・」
苦笑する白黒さん。
クソ!前世の俺は白黒さんにも迷惑をかけていたのか・・・。
こんな可愛い子を困らせるなんてけしからん!!
「・・・それにやってはいけないことしたしな」
不意に褥はそう言った。
「やってはいけないこと?」
「褥さん!そ、それは・・・」
急に白黒さんが慌しくなった。
「何をしたんだ前世の俺は・・・」
「知りたいか?」
「出来れば教えてくれ」
「あ、あの聞かない方がいいですよ!」
「・・・閻魔様。これはこやつの為だと思いますよ。これからの為に教えておいた方がいいかと」
「それはそうですが・・・あの・・・でも・・・はい。わかり・・・ました」
モジモジしながら最終的には白黒さんも了承してくれた。
「閻魔様の了承を得た。では教えてやろう。・・・心して聞け」
「・・・(ゴクリ)」
「前世のお主は・・・閻魔様を襲ったのだ」
「・・・・・・」
「正確言うにはその一歩手前だったがな。余が気づがなかったら恐らく閻魔様は・・・」
前世の俺、何てことをしてやがるんだ。
白黒さんを襲うとは。
「本来ならその場で魂を切り刻んで殺るはずだったんだがな・・・閻魔様が止めた」
「どうして・・・」
「閻魔様が地獄の裁判長であるが慈悲深い方でな。必死に命乞いをするお主にチャンスを与えたのだ。それが今だ」
「そうだったのか・・・白黒さん」
「は、はい」
「どうしてその時俺を助けたんです?」
「えっとですね・・・それは・・・」
―――ピンポンパンポーン―――
校内アナウンスが流れた。
『只今より文化祭を開催いたします。本校の生徒ならび一般の方々も節度を持って楽しんで下さい』
「あら、もう始まってしまったわね」
「・・・伴崎さん。その話はまた後日でいいですか?」
そう言った白黒さんの顔はまだ何か言いたいような感じがした。
でも、それはまだこの時に言うことではないと言っているようにも感じた。
本当ならすぐにでも聞きたい事だったが
白黒さんの迷惑になるようなことはしたくなかった。
「・・・わかりました」
俺はそう応えた。
「ありがとうございます。では、楽しんできますね!」
「はい。褥、白黒さんが迷子にならないようにしっかりと付いて行けよ」
「言われるまでもない。では閻魔様。まずは外にでている屋台に行きましょう」
「はい!」
手を繋いで親子みたいに出店へと向かっていった。
「・・・よかったの聞かなくて?」
麗香にはわかっていたのだろう。
俺が聞きたいという感じが。
「今は・・・いいさ。白黒さんも後日って言ってたしな」
「そう」
「それよりも折角ここまでの完成度が高い店が出来たんだ。しっかり繁盛させようぜ」
気持ちを切り替えて文化祭を楽しむとしよう。
「そうね。亮治は何の仕事をするの?」
「俺は受付をする。中に入りたくない」
「私もそうするわ」
文化祭の始まりだ。
・・・あ、そうだった。
後でエリスさんの喫茶店にでも行こうかな。
どんな喫茶店なのか楽しみだ。
その頃、伴崎家では
いつも通りアンドロイドが掃除をしていた。
「さて、これで大体の部屋の掃除は完了しましたか」
洗濯物を干し、朝食の片づけをし、家中の掃除をし終わった。
「・・・これはどうしましょうか・・・」
伴崎の部屋を掃除中に偶然見つけた財布を眺めていた。
その財布は伴崎の財布だ。
「やはり届けた方がいいのでしょうか」
こんな事は今までなかったので悩むアンドロイド。
「たしか、今日は文化祭といったお祭りでしたから、一般の方も入れるはずですから、行っても大丈夫なはずですが・・・」
時計を見る。
もう文化祭が始まっている時間だった。
「・・・仕方ありません。届けに行きましょうか」
アンドロイドは戸締りをして伴崎の通う学校へと赴いた。




