やっぱりこうでないと。
作者、こういうのが好きなんですよねぇ
え?と言う表情で固まる陸人。
あれ?と言うように首を傾げる空。
この部屋の空気が一瞬だけ固まる。そんな雰囲気だった。
「…空?なんだって?」
そんな雰囲気の中、陸人は絞り出した声で聞き間違いではないかと思い聞き返す。
「しつこくてしつこくて?」
「いや、ゴールデンなボンバーみたいなやつじゃなくて。その前の」
「断った?」
「そう!それ!」
「当たり前よ。だって…」
空はその後は口にしなくても分かるよね?という視線を陸人に向けるが、陸人には届かなかった。
そんな陸人が聞き返す。
「だって…?」
「もう!相変わらずなんだから!」
「そりゃそう簡単には変わらないさ。空の部屋だって変わらないしそれと同じだよ」
「私、りっくんのそういうところ嫌い〜」
冗談めかして言う空。
「えぇー、なんで…」
こちらも冗談めかして言う陸人。
そういう陸人にはいつの間にか元気が戻ったようだった。
空は空で可愛らしい笑顔を陸人に向けるのだった。
2人はなんだかんだ話をしていて、時間は深夜の12時を回っていた。
時間が時間なので陸人は帰ると言うと、空は玄関まで見送ると言う。
「その、こんな時間に悪かった。楽しかったよ。久しぶりに遠慮なく話せて」
陸人がそう切り出す。
「ううん。私も楽しかった」
そう言って笑顔な空。本当に楽しかったのだろう。純粋な子供のような笑顔だ。
その空が表情を一転した少し曇らせた表情で気まずそうに質問する。
「その、りっくん。今日のって、やっぱり怒った…?」
「怒った…?いや、俺が空に怒るようなことなんてないぞ?」
「でも、こんな時間に来てくれたから、その」
「それはただ単に俺の勝手な勘違いってやつかな」
今度は陸人が気まずい顔をする。それはそうだろう。勘違いで勝手に女の子の家に行って上げてもらい、しかも時間が時間だ。普通なら嫌われていてもおかしくないのではないだろうか。
だが、空はそんなものを気にしない。そんな態度ではっきり言う。
「りっくんがどんなことを考えているか私には分からないよ。でも、りっくんが私のためにしてくれるのは分かるから。だから私には遠慮しないで。相談とかなんでもいいから、ね」
遠慮ない空の言葉に陸人は恥ずかしくなり、空に背中を向けながら言う。
「あぁ、そうだな。俺もいつまでも空を子供扱いするのはやめにするよ。」
「もう、そんなこと思ってたの!?」
「いや、冗談だよ。でも、元気出た」
「…なら、よかった」
空はそう言って陸人の後ろから両手を添えて身体を寄せてくる。
「そ、そら?」
もちろん急なことで陸人は驚きの声を上げる。
「少し汗臭い」
「それは悪かっ…」
「でも、落ち、着く…」
陸人の言葉を遮って空が言葉を続ける。
陸人には空の表情は見えなかったが、声色で落ち着いているのが分かった。
「そうか…うわっ!?」
急に後ろから前に押されるように重みが増す。陸人は踏ん張って耐えたのだが、なんだ?と陸人が背中を見ると、背中には空の寝顔があった。
これじゃ本当に子供だよな…。でもまあ、こんな時間まで付き合わせてしまったし。陸人はそう思いながら空を寝室まで運ぶことにした。流石にこの状況で放っては置けないと判断したのだ。
子供の頃もおんぶした事はあったが今はできない、そう判断した陸人は前で空を抱える。いわゆるお姫様抱っこ。
そこまで力がある方ではない陸人だが、空を持ち抱えるには十分、というより空が思いのほか軽かった。
これなら、と陸人は空をお姫様抱っこで寝室まで運びベットの上で寝かせる。
すぅすぅと静かに寝息をたてる空。カーテンの隙間から溢れる月明かりに赤色の混ざった黒い髪が神秘的に煌めいていた。
少し呆然と眺めた陸人だったが、俺もそろそろ帰らないと、そう思い
「本当にありがとうな。空」
空の耳元でそう一言残して空の部屋を後にするのだった。
空の話はとりあえずって感じかな。多分




