《5》家に誰かがいることがありがたいことだと気付かされたんだが!
皆さまこんにちは、早くも五話目を迎えました!今後とも皆さまの声援を受けて成長してまいります。まだまた稚拙な文章ではありますがどうぞ見守ってください。
それでは本編をどうぞ!
「お兄ちゃんかえりー」
返ってくるはずのないと思っていた声が返ってきた。
だれか…いるのか?でも誰かがいてくれるのありがたい。
奥からぽてぽてと歩いて出てきたのは俺と同じ真っ黒な肩までかかって母家系譲りの天然的にカールの髪と黒い目をした少し小柄だけど、スラリとした生足をホットパンツから披露しているダボダボパーカーの女の子。生前はいなかった妹と呼ばれる存在。藤堂菜穂がいた。
「来てみてインターホン鳴らしたけど反応ないんだもん!どこ行ってたの?!」
「ん」
無言で腕を差し出す。
買い物行ってたんですよ〜。あの?ちょっと?なに勘違いしてるんですか?絡みつかないでください?
重い!重いよ!普通に腕負けそうなんだが?!俺の右腕のライフはもうゼロよ!
そんなことなど知らずか、幸せそうにぴったりと擦り寄って猫のようにじゃれてくる。
かわいいなぁ…。
「離せ〜。腕が千切れる〜。」
割とマジでやばい。
切実にお願いをしてみたらすんなりと解放された。
ぐっ…そんな悲しそうな顔せんでくれ。良心がっ…。
ようやく、玄関を上がり何も入っていない冷蔵庫に食品ごと品分けして手際よく詰めていく。
「アイスある〜?」
「ねぇよ。腹壊すぞ?この時期食うと。」
「灯油まだ残ってるでしょ?ストーブ出てるし。」
「無駄遣いすんな。そりゃ雨降った時に洗濯物乾かす用だ。」
「ちぇー、兄貴のけち。ちぇー。」
二人のあいだの会話なんてとりたてて何かいうこともないような普通の兄妹の会話そのものだ。やれ学校ではなんだ、友達とはどうしてる、など、俺がこっちにきて一人暮らしをしている間、しばしば訪れてはこのような会話をしているようだ。
我ながら仲の良い兄妹だなぁ…。向こうじゃ一人っ子だったから、キョウダイというものに強い憧れだったからなぁ。
意識が後付けであろうと、たしかに血を分けており、幼い日々から過ごした家族がいてくれる。一人暮らしのような空間は十分なれていても、誰かがいてくれるってことが嬉しいよな。
「兄さま兄さま?」
すぽっと一人がけソファーに収まった菜穂が神妙な声で尋ねた。
「なんだ?」
「今度はいつ帰ってくるの?お父さんが伝えとけって。そろそろ帰ってこいー、顔見せろーって。」
「父さんが。ふーん?なんでまた……。去年は何も言ってこなかったのに。」
「さぁ?でも静かになった方だよ?夏休みなのにお盆まで帰ってこなかったから熱中症で倒れてないかーとか、悪いことしてないかーとか。顔見てすっかり安心したから連絡してなかっただけでこの時期になって再発したんじゃない?」
あっけらかんとして答える妹の非情さよ…。男ながらの男同士の心配ってやつだろうか。
実家か…、この間帰ったのは正月だったな。帰ってくることを望む人がいてくれる。そのありがたみを死後に知ることになろうとはな…。
向こうの親父とかあさんはどうしてるのかな…。二度と会えないんだよな…。全く、親不孝な人間だよ、俺は…。それこそ血を分けたキョウダイがいてくれれば、後は任せたぞと思えたのにな。
詰め込み作業中の手が止まった。持っていた肉のパックが2倍には重くなった気がした。
「お兄ちゃん?どしたよ?遠い遥か彼方をみるような目をして?」
訝しげな顔して菜穂が心配してきた。
たしかに、遠い遥か彼方をみていたよ……。今はもう会えない大切な人達の幸せを願っていたよ。
再び作業を進める。
「なんでもないよ。たしかいつ帰れるかだったか。そうさね、ゴールデンウィークの時には一度帰ると言っておいてくれ。」
父さんの言葉と隠れた意思をくみ、心とは真逆な言葉を告げる。
なんでもなくない。彼らと俺の間には精神的な繋がりはほとんどなく、肉体的なものでしかないが、俺が入るまでの主人公を育て、今なお帰りを待つ人達であることには違いないんだ。でも向こうの両親もまた俺をここまで育ててきた。
心の中では向こうの両親に、ここの両親には言葉でただいまと言えるようになろう。やばい、なんか泣きたくなってきた。
「ほーい。GWね。言っとくー。」
菜穂はそう言ってスマホをポチり出す。
いや言葉で伝えろよ……。父さんはこんなことでしかお前と話せてないんだぞ?そうでなければこっちに直接きてるわ!
部屋着に着替えてベッドにダイブした。ふかっと体が沈む。
あー、ベットいいわぁ…ふかっときた。さっき5分に満たない相澤さんとのやりとりがすげー疲れた…。寝よ…。
「少し寝るわー。」
「あっ、アタシもー。」
「なんで来んだよ。」
「いいじゃん!寒いんだもーん。ほら!もっと詰めて詰めて!落ちちゃう。」
そう言って潜り込んでくる妹を本心から拒絶することなく兄妹仲良く昼寝する。
多分血の繋がりがなければ緊張して眠れずにいたところだろうが、落ち着いていられるあたりこれが家族の温もりか…。
そっと意識を手放した。みていた夢はきっと普通に過ごしていれば気づけなかった幸せ。優しい二人の間を歩いた幼かった時のこと。
ここまでお読みいただきありがとうございました。活動報告に記載した通り、ツイッターも始めております。感想や、この表現はどうなっているの?などのご質問を受け付け、ネタバレはしない程度でお答えしていこうと思います。
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