《4》同じクラスの清楚系委員長がなんか怖いんだが?!
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第一大規模改稿 2019 4/30
「…ごめん。杏果。周りの目が恥ずかしかったんだ。」
もはやどこのゲームでもいる最低の女たらしの誤魔化しのようなセリフを格好つけたような声で絞り出す。とりあえず今はこの現状を打開せねばなるまい。
「なーんだそうだったのねっ!そんなことだったのっ!」
チョロインだ!!こいつ絶対チョロインだ!!こんなことで戻ったよ!
「あ、あぁ…だからごめんよ。誰かが見てると思うとね…。」
キラキラとしたオーラを放ちながらくねくねとよくわからない動きをして、「恥ずかしがりさんなんだからぁ!」と独り言を言っている相澤を目の前に、立ち尽くすことしかできず、言わなくてもいいような言葉を口にしていた。
「藤堂くんはなにをしにここに?」
「いや、冷蔵庫の中身がすっからかんでな。流石に買い足さないと飢えて死にかねない。」
あれ?普通の会話の開始がこうにも嬉しい事だったっけ?
「ふーん。お目当は?」
「特にはない。いいのがあれば買うって感じだ。自転車で多くは積めないし、下校路だから本来は、ちょくちょく買っているんだけどたまたま何にも無くなって急遽って感じだ。」
「一人暮らしなんだっけ?」
「そ。おかげ何から何までこのざまさ。」
「すごいなぁ。私はまだお母さんに起こしてもらってるよ。」
「ははっ、そんなイメージじゃないのにな。」
「よく言われるわ。ところで……」
突然会話を割って、すぅっとまたハイライトオフになった黒目を向けてきた彼女にゾッとする。脳を、心臓を掴まれたような呼吸のしにくさを感じる。
「ドウシテ名前ニサン付ケシナカッタノ?イツモ敬語ナノニ。」
冷たい声が耳朶を打つ。
しまった!まだこの体慣れてないせいで言葉が安定しない!
「それは……その……」
再び言葉に詰まる。いい言い訳が思いつかない。頭がこんがらがって彼女から目が泳ぐ。
あの目、下手な嘘は一発で見抜かれそうだ。
なんとも言えない気まずい空気が流れ出す。
「まぁいいんだけどねっ!今度からもそうすることっ!」
キラッと眩しい笑顔にウインク上目遣い、右手立てた人差し指に腰に左手を当ててポーズを決めた彼女に少しときめいた。
どうやらなんとか生還できたようだ。
記憶によると相澤とはどうやら同じクラスのようだ。彼女は最前列のど真ん中で、俺は理想席と名高い窓側一番後ろなのだから、接点はそこそこ限られそうなものだけど、彼女は見た目通りにクラスの委員長だからそれなりにはあったのだろう。
記憶がなにも語らないのはきっと忘れているからだ。生前も女性との接点はなかったわけではないが、少なからず今のように親しくすることはなかった。
ギャルゲーの世界にきて最も苦労しそうなのはこの人間関係だよなぁ…。めんどくさいのは勘弁願いたいと常々思ってるんだがなぁ…。
「それじゃ私はいかないと。また明後日ね。また二人でどこか行きましょうね?」
「あぁ、またいつか。」
「いつかじゃダメよ。藤堂くんのいつかは実現しない未来のことだってサカキくんが言ってたもん。ゴールデンウィークにどこかに行きましょ!」
パタパタと走り去る彼女の後ろ姿を見送りながら記憶を辿る。“また二人でどこか行きましょうね。”の意味。たしかに俺は彼女と出かけていた記憶がある。そしてサカキってのは誰のことだろうか。
俺のもっているゲーム知識、もっとも、ギャルゲーにおいては本当に貧相なもんだが…、それらを総動員して考えつくことといえば、どうやら彼女がチョロインというわけではなく、いわゆる相澤杏果ルートに入り掛かっているのかもしれないということだ。
ちょい待ち、俺はこれからあの子と向き合っていくの?人生終わるの?二度目の人生の開始直後すでに棺桶に片足突っ込んでるとかどんな出オチだよ。冗談じゃない。
シャレにならない事実を前に、去りゆく女性に笑顔で手を振りながら表情とは裏腹な焦りで冷や汗が背中をじっとりと濡らしていた。
「聞いてないぜ…。ギャルゲーってこんなに魂削るものだったっけ?もっとこう……ほら、ね?」
恋愛を期待した訳じゃないし、正直するつもりもないけれど、予想と違う現実に打ちのめされた。
くっそぅ…。誰だこのゲーム作ったの…。すでに破綻しまくってんじゃねぇか…。あっ、神様か…現実世界もゲーム世界もどっちも神様の製造物なんじゃねぇのかなぁ…。
手早く買い物を済ませ、やや満杯ぎみの自転車のカゴの重さにハンドルを取られながら帰る。ペダルがいつもより重たかったのはきっと荷物のせいなだけのはずがなかった。
「たーまー……」
返してくれる人のいない言葉を告げてドアを開ける。部屋に吸い込まれる声が将来を暗示しているようだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
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書きだめはあるので一日一話。皆さまの需要によりけり数話投稿していきたいと思います!




