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《47》平穏な昼休みに現れたのは…

みなさんこんにちは!

当作品を開いていただきありがとうございます!


最近天気予報当たらないっすね?お陰で今日も傘を無駄に持ち歩く羽目に…。予報士さん!頑張ってください!

 昼休み。いつもの賑わいはなく、その活気は今はピリピリした空気になり、全員ノートを穴開くほど見つめたり、お互いに問題を出し合ったりしている。


 その裏に切迫した悲壮感が漂うのは、教室にやってきた担任が開口一発目から…。


「どーしたんだお前らぁ。元気ないなぁ!そうだ!GW開けたからテスト勉強始めろよ〜。2年生はな、中だるみしやすいからよーく問題を練っておくぞ!」


 なんてイカれたことを言いやがったことに起因する。ただでさえハードル高いのに追い打ちをかけるその言葉、半分以上の生徒に「○すぞワレェ!!」と言わんばかりの視線を向けられてニコニコしていた担任はラノベ主人公並みの鈍感か、あるいは生存本能を司る器官が死んでるか。


「あぁ〜、昼休み…。」


「だいぶやられてるようだね。藤堂。」


 机でぐったりしていたら榊がきた。長門は…廊下で談笑か。人付き合いって大変だな…。俺なら娯楽の時間を潰す友達はいらない。


「んだよ、『余計に練ります』とか?死にたいのか?」


「流石に俺も殺気が抑えられなかったよ。」


「勉強しなきゃなぁ…。」と続いたしみじみとした言葉はすこし自嘲するかのような物言いだったが、こいつは長門のための勉強だけで自分のことは教科書一回読み通すだけで全てを把握する化けモンだからイラつく。脳みそを分けて欲しい。


「にしても朝は特にすごかったよなぁ…。一限の数学…。」


「普通は寝てる連中が起きて授業受けてたな…。」


「お前もその寝てる連中の1人だがな?『初めてお前らがここまでやる気を見せてくれた…。先生は嬉しい!』とか言ってた。」


 感涙を流しながらそんなこと言う数学教師には、流石に引きざるを得なかった。よほど今までの俺たちの態度が悪かったんだろうと哀れはするが同情はしない。


 数学とか言うつまらん授業をする方が悪い。


「そのあとの『よーし!先生もテスト問題、頑張っちゃうぞ!』と言わなければ俺は起きてた。」


「寝てたんかい…。どおりで途中からいつも通りのショボーンとした顔になったわけだ。」


 褒められた事でもないことをしゃあしゃあと言いよるこいつは本気で性根が腐ってる。これが根腐れってか?くだらねー…。


 まぁでも、それはそれでいい気味だ。一週間前の裁判を止めてくれなかった俺の恨みを喰らえ。おかげで今日も掃除当番だ。


「それじゃ、行ってくらぁ…。」


「おう。いってら。」


 普段の二倍くらいあろうかと思う体を押し上げて廊下に立つ。


 そういえば今日の弁当は朝、真実と一緒に作ったんだっけか。フライパンを振るってた俺の隣で揃えたおかずを同じ配置にしてた真実は鼻歌歌いながら楽しそうだったなぁ…。


「アキ〜!行くよ〜!!」


「はいよ〜。」


 真実が向こうから走ってきた。ぱたふりぱたふりするポニーテールが犬っぽい。ひらひら〜と手を振って駅伝の中継のような合図をする。そのままタスキリレーさながらいつも通り腕をガシッと掴まれて「行くよ!」とかっさらわれる。


「あっ!ダメっ!」


「えっ?ぬごっふ!」


「きゃぁ!アキ?!」


 はずだった…。


 情けない声とともにバタリうつ伏せに大の字で倒れた。真実に腕を取られた瞬間、杏果にもう片方の腕をガシリ!と掴まれて俺の体が限界を超えて引き伸ばされたのだ。


 両腕は…多分引きちぎれたと思う。たしか、拷問にもこんなのあった気がするなぁ…。


「あああアキ?!だだだ大丈夫!?」


「ダイジョバナイ…。」


 床に突っ伏した状態で頭の上から慌ててる真実の声が降ってくる。全身がピクッ、ピクッと陸に上げられた魚の如く痙攣するし、なぜか関係のないはずの声帯からでた声が片言になった。


 大丈夫なわけがない…。引きちぎれたは冗談にしても、脱臼くらいはしてんじゃなかろうか…。


「ご、ごめんね?まさかここまでやっちゃうとは思わなかったよ…。」


「ダイジョブデスヨ…。」


 申し訳なさそうな杏果の声も降ってきた。もはや言っている言葉は矛盾していた。どうやら思考回路も痙攣してるらしい。


「くひひひっ、派手にやられたねぇ。」


「笑い事じゃないんだが?榊?」


「いや本当に一瞬藤堂が数センチ伸びたように見えましたぞ。」


「くふふっ。」と声を殺しながら言う長門もちょっとムカつく。こっちはシャレにならないダメージ入ったんだから…。


 頭の先に人の気配がして頭をツンツンと突かれた。


「……。」


「おー、早見か…。大丈夫だぞ〜…。」


 つつく感触で心配してくれているのはわかった。別に、決して指の先からなにかテレパシーが出てきた訳ではない。それができれば早見は宇宙人だ。


 …でもなまじっかありえそうだ…。普段喋らないから…。


 肩を動かさ無いように、ぬるりと立ち上がる。服についた埃を払っていつつ、肩を回して繋がっていることを確認。よかった…外れてない!


「さて…行きますかぁ…。」


 真実の方を向き直りつつ、ため息の混じった声をだす。


 弁当箱は…何の外傷もなさそうだ。セーフ。昼飯がないのは授業云々はさておき、空腹との死戦になるから「授業に集中」なんて五文字は介在する余地がなくなる。


「そうね。」


「はーいっ!」


「行こうか。」


「購買行ってからいくぜ!」


「…!」


「えっ?」


 何故か全員同時に返事してきた。早見はガシッと俺の腕を握ってる。


 俺は確かに真実の方に向き直って、真実に言ったはずなんだがなぁ…。


「ちょっと?アキとの時間を邪魔しないでくれる?」


 真実がジト目でみんなに抗議していた。ついでにスパッと捕食する蛇のように俺の腕を取ろうとしていたから、ふらりと躱した。


 痛いから掴んで欲しくない。早見みたいにソフトならいざ知らず…。


 真実が驚いたような顔をして、何度か腕を捕縛しようとしてきたが全回避した。プクーと頬を膨らませて「なによ!文句あるの?!」言葉ない抗議してきたけどすぐに杏果に向き直った。今は俺の腕どころではないらしい。


「だって、『ダメ』って言ったでしょっ?」


「あー、そんなこと宣ってたな。」


 お陰で俺が即席拷問を受けた訳ですね。まだ肩がジンジンしているから本当は早見にも掴んで欲しくない。


「それで?何の用?」


 すこし真実がキレ気味なようで語気が強いし、杏果の方はなにを思ってるかわからないニコニコ笑顔。いつぞやかのデジャヴがすごい…。


「怖いよ?真実。私だって照史くんとお昼したっていいじゃない。」


「よくない!それはあたしの特権なんだから!」


「ま、まあまあ、落ち着けよ。」


 目の前で散る火花が花火になって教室内で爆発する前に抑え込んでしまおう。こんな狭い教室で三尺玉が爆発してみろ。被害の予測ができない。


「…。」


「ふふふっ。」


「…はい。…黙っておきます。」


 真実の無言と杏果の笑いに黙らされた。


 なんなの?この夜叉と羅刹…。無言と笑いに恐怖って乗せられるものなの?姫宮、はやく戻ってきてくれねぇかなぁ…。情けねぇなぁ…。


「別にいいでしょっ?だって、ねっ?」


 早見がコクンと頷いた。何かあるらしい。納得はできない、と言いたげな面持ちながらも真実は引き下がった。


 結局、六人で中庭に向かう。ベンチに座ると真実がいつもよりもべったりとくっついて真横に来た。


「へー、いつもここで食ってたのか…。」


「なかなかだろ?」


 そんなことを言いつつ、俺は弁当を広げる。何かを見つけたらしく悪い笑顔の長門がスススーとホバー移動してきた。どう動いたらそうなるんだ…。


「あっるぇぇ!お二人さぁん!おべんとっ!一緒じゃないですかやだー!」


 なにその近所のおばさんのような腹立つ笑顔と喋り方。そんなにシメられたいのか?…まぁ、お調子者の長門だから許してやろう。


「別に…一緒に作ったからな…。」


 荒ぶりそうな気持ちを抑えて回答を返して差し上げてやる。


「ええっ!なんすかそれぇ!藤堂さんってば、真実さんと実はムフフなかんけ…。いだだだだだだだ!ごめんなさい!調子に乗りました。」


 やっぱ許さない。よほど頭を砕かれるのがお望みのようなのでスクラップにしよう、そうしよう。真実ほど力が入るかはわからないけど!うん。藤堂さん頑張っちゃう!


「あの!すいませぇん!そろそろ中身!でちゃいそうなんですが?!」


「まぁ、出そうとしてるからな。」


 ギリギリと音が立つように長門の頭をアイアンクローで握り締める。泣きそうになってはいるがほっておく。


「いだだだ!ほんっとうにごめんなさぁい!」


「ちっ。」


 はぁ…握力も鍛えられてちょうどいい、とは思っていたけどそこまで懇願するなら仕方なし。解放してしんぜよう。


 ぱっと手を離すとズシャッと地面に崩れた長門が「ぐぉぉぉぉ…。」と頭を抑えてのたうちまわっている。これはこれで滑稽でいい。


「ネェ、ドウイウコトカナッ?」


 いきなり後ろからあすなろ抱きされて耳元で囁かれた。吐息は猛吹雪、トーンは北極海だ。冷たすぎぞわぞわ〜と虫酸が走って体をぶるりと震わせる。


「ゑっ?」


 地縛霊的な何かに取り憑かれた気がする…。いや、まぁ、杏果なんですが…。窓に鏡のように映った杏果の笑顔は…これは新手の鬼瓦だな…。


 てか、本来この体勢ってお互いの呼吸とか聞こえて、愛が溢れてくるはずなのに冷や汗が吹き出しくるんですが?!


「………。」


 あっ、早見がこっち見て…、ひぇぇ…。なにあの早見の目…。かんっぜんに呪いの人形か怨霊の類だよ…。待った!なにをぶつぶつ言ってるんだ?呪いじゃないよな?


「ナンデ真実ガ照史クンノ家ニイルノ?」


 足元とか露出した腕がヒヤリと冷たい空気に撫でられた。言葉の一語一語が耳に入るたび腹の中から温度が下がる。


 ホラーの主人公ってこんな感じなんだろうなぁ!ダレカタスケテ!


「あの〜っ…。」


 誰かはわからない男の声がした。


 ぃよっしゃぁ!ナイスタイミーング!


「はい!なんでしょう!」


 心の中に立ち込める暗雲を振り払って登場してくださった救い主の勇者に最大の敬礼を込めて、空元気よくお返事して立ち上がる。


 振り返るとめちゃくちゃイケメンなイケメンがいた。うわっ!なにこいつ!キラキラオーラ眩しっ!


「初めまして。藤堂照史くん。赤松修輔です。」


 程よく響くバリトンボイス。いわゆる「いけゔぉ」という声をしていた。


「…。」


 赤松…しゅうすけ…。知らないはずがない。学内男子、最高峰の『四皇』の1人にしてそのリーダー格だ。なんでそんな殿上人が俺に…。


「何の用ですかね?」


 よく見たら他3名もついてきている。どうやら四皇お揃いらしい…。その他女子多数…取り巻きか…。


「あははっ!照史クン、僕たちは同い年じゃないっか。ぜひ敬語はやめておくれ!」


 劇団に出てきそうな奴だな…。この手合いは苦手だ…。すげぇ喋り方がうぜぇ…。いきなり下の名前で呼びやがった。あとキラキラオーラもうぜぇ。輝度落とせや。


「…何の用だ…。」


 まともに相手にすると精神衛生に悪いから要件だけ聞いてさっさと終わらそっと!関わらない方が吉!


「実はねぇ…六麗華、新島真実さんと相澤杏果さんを解放して欲しくてねっ!」


「はっ?」


 解放?


「フフフッ…。」と素敵とも不敵とも言える落ち着いた笑顔の赤松はなんか嫌な予感をはらむ言葉を放ってきた。

ここまでご一読いただきありがとうございました!感想等ございましたらツイッター、感想欄にて受け付けております!


しばらく改稿砲打ってますから更新が遅くなるかもです!

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