第6話:狂気のパニック・プラズマ!第七埠頭消滅と、神をも絶望させる肉弁当
第七埠頭には重油と腐った潮の臭い、そして雨水が滴る工業用コンテナの重苦しい錆の臭いが立ち込めていた。午前二時十分。
横浜の組織の男たちは、誇り高き侍などではなかった。彼らはただの制服を着た屠殺業者だ。安物のシャカシャカしたジャージを羽織り、酸っぱいタバコの臭いが染みついたウールの目出し帽をかぶり、肩からサブマシンガン『マイクロ・ウジ』をぶら下げている。彼らは手動クレーンを使って四つ目のコンテナを陸揚げしているところだった。金属の内側からは、鈍く、弱々しく、絶望的な叩く音が聞こえていた。タイ語やベトナム語の押し殺した叫び声。密輸される、人間の肉体だ。
突然、空気が粘り気を帯びた。事務室の汗と湿った靴下の強烈な悪臭を伴う、不自然で灼熱の熱線がアスファルトをなめ尽くした。
ヒュウウウウウウウウ……ッ!
優雅な降臨ではなかった。山田はヘリコプターから投げ捨てられた五十キロのジャガイモの袋のように大空から墜落した。制動の計算を致命的に誤り、クレーンの操縦室に正面から突っ込んだのだ。鉄のフレームが凄まじい音を立てて内側に折れ曲がり、ガラスが強化破片の雨となって飛び散った。
山田は埠頭のコンクリートの上を転がり、膝を激しく擦りむき、その過程でボロボロのスニーカーの片方を失った。彼は焦げた塗料の粉塵に咳き込みながら、父親の形見のセーターを機械油でギトギトにし、ガムテープで留めたメガネを鼻の上で歪ませながら、膝をついて立ち上がった。
横浜の組員:「……なんだぁ、このクソ野郎はっ?!」
組員がウジの銃口を上げる時間はなかった。武装した男たちに囲まれたことで純粋なパニックに陥った山田は、自身のヒステリックな臆病さでフィルターをかけたフェニックスの生存本能を解放してしまった。
山田:「撃たないで! 頼むから撃たないでくれ!」――声変わり前の少年のような裏返った悲鳴を上げる。
紺色のセーターの背中から翼が突き出た。だが、今回の翼は黄金でも神秘的でもなかった。それは三千度に達する青白いプラズマの二本の鞭であり、制御を失って狂ったように空間を打ち据えた。拡張した一本目の翼の先端が、組員の胴体を一瞬で両断した。血は流れなかった。あまりにも極限の熱量だったため、肉の断面と脊椎は一瞬で黒い炭の塊と化し、内臓は沸騰した水蒸気となってジャージを爆発させた。
脳内の宇宙のフェニックスは発狂し、ヤクザに対してではなく、山田がその聖なる光で行っている行為に対して恐怖の絶叫を上げた。
宇宙のフェニックス:「止めよ! お前は識別もせず生物組織を焼き尽くしている! その鉄の壁の向こうには無辜の器たちがいるのだぞ! 殺す気か!」
山田:――ハチを追い払うように両手をヒステリックに振り回し、涙を流しながら――「うるせえ! 消え失せろ! 内藤が俺の履歴を握ってんだよ! 刑務所にぶち込まれちまうだろうが!」
山田がパニックで手を振り回すたびに、プラズマの翼が埠頭を猛烈に叩いた。コンクリートやコンテナの金属がドロドロとしたオレンジ色に輝き始め、電子レンジに入れたバターのように液状化していく。そして、生きた人間が詰め込まれていた四番目のコンテナに、山田の不格好な羽ばたきが直撃した。
厚さ二インチの鉄壁が融解した。中にひしめき合っていた三十人の人間には、自由を求めて叫ぶ時間すら与えられなかった。コンテナ内の空気は一瞬で千度に達して膨張し、構造体を内側から爆発させた。犠牲者たちの肺は、ドロドロに溶けた空気を通気口から吸い込んだ瞬間に内側から焼けただれ、皮膚は溶けた鉄の床に張り付き、その身体は安物の密輸電子機器と共に白い灰へと還元された。
生き残ったヤクザたちが車に向かって走ろうとしたが、足元の地面はすでにアスファルトではなかった。山田の発する熱量が埠頭のコンクリートを、ブツブツと泡立つ液状のケイ素の泥沼に変えていたのだ。二人の男が膝まで沈み込み、ズボンの中で脚が一瞬で揚がった。人間のバーベキューのような臭いが立ち込め、教師の安物コロンの臭いと混ざり合う。
顔の半分が溶け、左目が茹でたレーズンのようにぶら下がった横浜の若頭補佐が、銃を盲目的に乱射しながら貨物トラックへと這い寄った。
バァン! バァン!
一発の弾丸が山田の肩をかすめた。その肉体的な痛みが、山田に残されていたわずかな官僚的理性を完全に粉砕した。怯えた狂犬と化した山田は、地を踏み鳴らした。
山田:「方程式なんて知るかよぉ! 学校なんてクソ喰らえだぁぁぁ!」――口から唾を飛ばし、飛び出た両目を血走らせて咆哮する。
星の炎の衝撃波は天へと昇らず、第七埠頭の水平面をなぎ払った。貨物トラックが大爆発を起こしたが、それは通常の火災ではない。燃料と金属が原子レベルで分解され、青白い破壊の球体となり、港湾クレーンをコンクリートの基礎ごと引きちぎった。埠頭全体が海へと崩落し始める。
海水がプラズマの前面に触れた瞬間、熱蒸気爆破(サーモバリック爆発)が発生し、隣接する三ブロックを完全に吹き飛ばした。港の路地裏で眠っていた浮浪者たちの鼓膜と肺が、その圧力で破裂した。
五分後、静寂が戻った。第七埠頭はもう存在しなかった。神戸の海岸線にはぽっかりと開いた傷跡だけが残り、そこは溶けた鉄屑や、燃え尽きたジャージの残骸、そしてかつて人間だった多孔質の炭の破片が浮かぶ、沸き立つ海水のプールと化していた。
グラグラと溶岩を滴らせているコンクリートの破片の上に浮遊しながら、山田武はメガネを直した。ガムテープが焼き切れてしまったため、左のレンズを人差し指で支えなければならなかった。
彼は素足だった(もう片方の靴下は、ヤクザの足首ごと蒸発していた)。紺色のセーターの背中には炭化した二つの巨大な穴が開き、彼の皮膚は灰灰色に変色していた。
山田:――燃え盛る虚無を見つめながら、声は震えているが、その瞳からは一切の共感が消え失せていた――「お……終わった。埠頭、溶けちゃった。セブン-イレブンは24時間営業だから……帰りに肉のやつ、頼もう」
脳内では、宇宙のフェニックスが完全な沈黙を守っていた。カタトニア(緊張病)状態だ。この神聖なる超越存在は、精神的に完全に死亡していた。『確定申告2022』という名のフォルダを守るためだけに五十人の人間を虐殺した、この中年教師の徹底的なモラルの欠如に、その神聖なプライドを完膚なきまでに打ち砕かれたのだ。
【作者より一言】
第6話をお読みいただきありがとうございます!
今回はこれまでのコメディから一転、山田という男の「本質的な恐怖」を描いてみました。彼は悪意で人を殺したわけではありません。ただ、自分の3TBの秘密(社会的死)を守るためだけに、宇宙の神の力をパニックのまま解放し、コンテナの中の命ごと埠頭を消し去ってしまったのです。
この圧倒的な小市民の暴走の前に、ついに精神が崩壊してしまった宇宙のフェニックス。神すら絶望させる山田の今後の運命はどうなるのか……。
この衝撃の展開に何かを感じていただけましたら、ぜひ星の評価ポイントやブックマーク、コメント欄での感想をよろしくお願いいたします!




