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第23話:地下4階の最終処理!セイコーの腕時計と、検体『CTA-01』の目録

海上自衛隊横須賀基地の貨物用エレベーターは、港区のショッピングモールにあるような滑らかさで降下してはいなかった。それは油まみれのケーブルの重苦しい軋みとガソリンの臭いを伴い、ガタガタと激しく揺れながら、山田が未だに手錠で固定されている鋳鉄製のベンチへと直接振動を伝えていた。シャフト内に明かりはなく、通過していく各中間層の蛍光灯の鈍い点滅だけが通り過ぎていく。地下1階(補給)、地下2階(通信)、地下3階(保管)。


そして、地下4階。最終処理セクション(終末処理区画)。


そこまで降りると、空気はもはや東京湾のそれとは異なっていた。乾燥し、山田の代謝を低体温症の限界に維持するために人工的に極寒へと管理され、油圧吸引ポンプの絶え間ないシセオ(吸引音)で飽和していた。防護服(NBQスーツ)を着た2名の警備官が、開いたセキュリティ扉から山田をキャビン外へと引きずり出した。グレーの基礎エポキシ樹脂が塗られたざらついたコンクリートの上に放り出された彼の裸足には、すでに感覚がなかった。胸膜の硫酸バリウムゲルの冷気が四肢へと放射され始め、彼の両脚を感覚の麻痺した2本の木柱へと変えていた。


主任研究員:――海上自衛隊の制服の上に気密性の白衣をまとい、入り口の可動アームに設置されたタッチパネルを凝視しながら――「――心拍数42。胸膜温度12度。バリウムは安定していますが、密度が1時間ごとに0.4%低下しています。第2カニューレ(注入管)の準備を」


彼らは山田に向かって話してはいなかった。メンテナンスエンジニアが蒸気ボイラーの圧力を評価するのと全く同じ、技術的な距離感で彼という「物体」について語っていた。


彼らは山田を移送通路へと連れ込んだ。壁は剥き出しのコンクリートではなく、排水用の溝が刻まれたチタン合金のパネルで覆われていた。天井に沿って配置された液体窒素の散水システム(スプリンクラー)は、周囲の熱センサーが環境温度の3度の上昇を検知した瞬間、即座に起動するよう待機状態にあった。


山田:「――あの……私の時計。合成皮革のストラップがついた、セイコーの腕時計です。中央署の押収品目録インベントリに入っていたはずですが……私物の領収書を……まだ受け取っていません……」


青い伸縮性ベルクロが彼のうなじの皮膚を擦っていたが、鎮静剤の霧に包まれた彼の意識にとって、その痛みは遠いものだった。


警備官1:――ガスマスクの変調器で歪んだその声は、金属的で虚無的に響いた――「――対象402、所定位置に到着。最終剥奪デスポイルを開始する」


問答無用で、圧縮空気でアシストされた機械用ハサミが山田のオリーブグリーンのジャージを足首から首元まで一気に切り裂き、彼をステンレス鋼の隔離ベッドの上に曝け出した。研究所の男たちにとって、その70歳の間近な肉体は解剖学的な人間ではなく、白熱するコアを内包した欠陥のある生物学的装甲に過ぎなかった。


彼の胸に広がる人工火山岩のかさぶたは、灰色の灰の色に消えかけた硫黄の筋が混じったような色をしており、横須賀の冷気に反応して、灰皿に忘れ去られた煙草の煙のような、細く白い水蒸気の糸を立ち上げていた。


宇宙的物質コズミック・フェニックス:「チョークの小倅め……針だ……針の金属の臭いがする……それが肋骨に入ってくる……この寒さが私の羽を消していく……奴らの眼球を灼き尽くさせろ……」


山田の小臼歯に響く振動は弱々しく、泥の下で氷が割れるような軋みだった。


山田:「だめだ……もうチャイムは鳴った。清掃の時間です。教室は空にしなければならない」


山田は歯茎を食いしばり、口の端から粘着質で過去のような唾液の糸を滴らせながら呟いた。


海自の研究員は、3本のテフロン製シリンダーを保持する空気圧式のバスター(フレーム)を手に近づいてきた。ガチャンという乾いた衝撃音とともに、そのメカニズムは石のかさぶたを貫通して3本の熱モニタリング針を直接挿入し、肋間腔の奥深くへと到達した。


山田は叫ばなかった。ただ、研究員のバイザーのアクリルを曇らせるだけの、長い平坦な吐息を漏らした。寒さと尊厳の剥奪によって苦痛から切り離された彼の精神は、もはや横須賀にはなかった。彼は前年度の未消化の有給休暇の日数を脳内で計算しており、国家がすでに消去してしまったグリッド(表)の中に、その数字をどうにか当てはめようと試みていた。


主任研究員:「中心圧の調整完了。検体の収容を記録。ローカルサーバーから『山田武』の名前を消去。これ以降、すべてのテレメトリーは【封じ込められた熱異常01(CTA-01)】の目録下にアーカイブ。隔壁を閉鎖してください」


高密度セラミックプレートで覆われた3メートル四方の要塞――最終的な細胞房セルの扉が、戦艦の水密隔壁のような重々しい轟音を立てて閉ざされた。内部の明かりは減光され、チタンの壁面に、背を丸めた老教師のシルエットを反射する緑がかった燐光へと変わった。


システムは彼を殺さなかった。ただ、台帳の目録インベントリを移動させただけだった。彼は教職人員であることをやめ、研究所の実験資材へと変換されたのだ。

【作者より一言】


第23話をお読みいただき、ありがとうございます。


横須賀基地の最深部「地下4階」へと収容された山田武。彼はもう人間ではなく、自衛隊の書類上では【封じ込められた熱異常01(CTA-01)】という無機質なコードネームで処理されることになります。


服を機械で切り裂かれ、胸の石に熱測定用の針を打ち込まれながらも、彼の精神は「セイコーの腕時計の領収書」や「未消化の有給休暇の計算」という、かつての小市民的な日常の残骸にしがみついています。バリウムゲルと液体窒素の冷却によって、宿主共々消えかけているコズミック・フェニックスの弱々しい抵抗が、この監獄の絶対的な絶望感を引き立てます。


名前を奪われ、完全に資材としてアーカイブされた山田の前に、次は何が現れるのか……。


「セイコーの時計にこだわる山田先生が切なすぎる」「システムに完全に『物』として処理される描写の冷徹さが最高」など、皆様からの感想コメントをぜひお待ちしております!

新章に突入した本作へのブックマークや評価での応援、何卒よろしくお願いいたします!

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