第134話 磁気製品
分身ナンバー2の映像。
プリンクに蛇女のバイパンヌが面会だ
バイパンヌの髪の毛はかなり長くなっている。
でも、雰囲気と目つきが蛇女だ。
「差し入れはマッサージ魔道具ですね?」
ゴーレムから音声が流れる。
「おう」
「はい、看守様」
「質問があります。そのマッサージ機を使ってみたのですが、疲労が抜けた感じがありません」
「おう、あれだ。ポカポカーノって商品を知ってるか?」
「知ってます。温めるのですよね」
「おう、それ。これも似たようなもの。じんわり疲労が抜けるんだよ」
「なるほど」
ゴーレムのオペレーターはその魔道具を使ったらしいが、効果がなかったらしい。
鉄格子を切ったりするような魔道具なら、すぐに分かるよな。
じんわり疲労が抜ける魔道具なんてあったかな。
俺が知っている魔道具はバッタ屋だけだ。
知識が広くないのは仕方ない。
「カリーナ、知ってる?」
「存じません」
カリーナも魔道具に詳しいとは言えない。
プリンクを監視してれば判るか。
何時間もは怠いな。
蝶々部隊に命令して、何人か人を割いてもらった。
「おう、バッタ屋。じんわり疲労が抜ける魔道具なんて知ってるか?」
「ああ。ええと。うんっ? あれっ? どこかで聞いたが忘れた」
「役に立たない奴だな。でも、聞いたってことは、実在するのか」
「気持ち悪い。もやもやする。そこまで出かかっているんだよ。責任を取って、はっきりさせろ。でないと仕事にならん」
「何で俺が?」
「お前が言い出したんだよ」
「そうだけど。そんなの責任取れるか」
「何か言ってみろ。そしたら思い出すよ」
「よし、温める」
「違う」
「ツボを刺激」
「うんっ? 何かそんな感じ」
「押してツボ刺激」
「違う! イライラする!」
「偉そうだな。煮干し食えよ。イライラが緩和される」
「あのストレス軽減の札があればな」
「まだ、実験は終わってないんだろ。話を元に戻すぞ。針で刺激」
「違う」
「振動で刺激」
「そうじゃない」
「電気で刺激」
「違う」
他か。
何かあるか。
ええと、マッサージだよな。
ああ、前世で流行してたのがあった。
「磁石だ」
「おおっ、それ! それだよ、それ! スッキリしたぜ! あの魔法陣ってお前が作ったんだろ」
忘れてた。
アクセサリーに使うので開発したんだった。
「あれを着けたら、肩こりが治ったのか?」
「気のせいレベルだけどな。効果は実証されてない。じんわり効くそうだ」
効くのは前世で実証されてる。
ただ、劇的な効果はないけどな。
磁気マッサージ機なのか。
分身を邸宅に戻す。
「あの、プリンクが現在天井に張り付いてます」
「へっ?」
分身を向かわせて、見てみると。
プリンクが忍者みたいに、天井に張り付いている。
ああ、鉄の部分に磁力で張り付いているのか。
磁力でマッサージは嘘じゃなかったのだな。
目的は脱獄だけど。
見ていたら、女囚人と、鉄格子越しにという展開になった。
慌てて映像を切る。
隣のカリーナが真っ赤だ。
なんというか、プリンクはぶれないな。
女囚人との逢瀬のために、そんな策を考えたのか。
穴がある策だな。
上を見たらすぐにばれる。
人間の本能というか普段の動きとして、上は滅多に見ない。
女囚人といちゃつくのは、脱獄のテストかも知れないな。
オペレーターに注意しておこう。
しかし、良い商品のネタを貰ったな。
磁気ネックレスとか、磁気ブレスレットとか売れそうだ。
劇的な効果が目に見えないから、詐欺呼ばわりされるかも。
バッタ屋に売らせるのが良いな。
蝶々部隊のメンバー達に、これらは流行った。
何となく良いような気がするらしい。
だよな。
磁気の記録媒体には、忌避すべき物だけどな。
この世界にはそんな物はない。
ついでに方位磁針の魔道具も作るか。
これはかなり売れそう。
電撃魔法で電磁石を作り、磁気を帯びさせる方が簡単かも知れないけどな。
「バッタ屋、磁気製品は売れてるか?」
「おう、磁気枕とか、磁気布団とか、買っていく豪の者もいるぜ」
「効果はあるんだろうけど、俺は感じたことがないんだよな」
「そんなの良くなった気がするだけで、十分。3流の魔道具屋に期待するのが、間違いだ。ここの商品は怪しさに関しては自信がある」
「自慢できることかよ」
「この店はな。面白い品物目当てに客が来るんだよ」
「じゃあ、鼻水が出る魔道具ってあるのか」
「あるぜ」
「あるのかよ! 何のために作った?!」
「仮病のために決まってる。水魔法で鼻水を垂らす」
「天気が分かる奴とかは?」
「あるぜ。ただ当たらないけどな」
「意味ないだろ」
「空気の乾燥具合が分かる」
「真面目な原理の魔道具だ」
「ここにあるのは全部が変な魔道具だが、偽物は置いてない。真面目に作ってる」
バッタ屋だな。
前世のバッタ屋もそういう変な物がたくさんあった。
邸宅に分身を戻すと、プリンクが懲罰房に入れられてた。
差し入れのマニュアルに、差し入れの品に鉄を近づけて、磁気をチェックするという項目が増えたようだ。
逆に鉄の検査には、磁石を使う。
パンの中でも、磁石はくっ付くからな。
プリンクの手口のいくつかが潰れたようだ。
ざまぁ。
看守ゴーレムのオペレーターはカクルド家から来ている。
マニュアルを作りを徹底していのは凄いな。
かなり、優秀な文官がいるに違いない。
「いやですわ」
「えっ? 声が出てた?」
「マニュアルの考えはライド様が教えてくれたのではないのですか」
「ああ、交換日記に書いたな」
「お父様に教えてあげたのですわ。不味かったですか?」
「いいや。別に構わない」
参ったな。
ボロが出てる。
やらかしてしまうかも。
特にカリーナの前では。




