出会い
ある森の中を進む4人の男女がいた。
茫々に茂り、道と呼べるようなものがない森の中を進んでいる。
「あっ!また枝にひっかかった。もぅ!何でこんな森中歩かなきゃいけないの!?私のローブがボロボロじゃない!!」
「仕方ないだろ。王様から直々に頼まれたんだから。」
「でも、王様も王様ですよね。まさか魔王討伐前に調査なんて。どっちが大切なのやら。」
「結局なんの調査なんだっけ?」
「アーカイド帝国最南端の森で秘密裏に魔人を討伐するための兵器を作っているとかなんとか・・・。その方法が違法だとか聞いたらしいんですが。結局王様もよくわかってないらしいんですけど。」
「それだけで他国の私たちが侵入したりして、違法じゃなかったら私たち犯罪じゃないの。大丈夫かしら。」
5年ほど前から突然現れた魔王。そして魔人。
たった5年で世界はどんどん荒んでいった。
魔人はとても強力で、一人で街を滅ぼせるほど。
魔人の中でも強いものは一人で国とやりあえるとか。
また、魔人だけでなく、魔王の登場のせいか弱い魔物が強くなり、どんどん増え、村や町がいくつか地図から消えた。
魔物討伐を生業にしている冒険者たちも急に強くなった魔物に犠牲者が沢山でた。
そのせいでこの5年で魔物の生息地がどんどん増え今では危険地帯があちこちにできた。
「魔人を討伐してくれるんなら願ったり叶ったりなんだがな。」
アーカイド帝国で秘密裏に開発しているという対魔人用兵器。
完成されて実用的に使われ、魔人・魔物を倒してくれるのなら大歓迎だ。
だが、そんなものを秘密裏に開発する時点で絶対なにか裏がある。
王様もよくこの情報を入手できたな。
「あっ、500mほど先に建物らしきものがあるわ。おそらくそこが研究所だと思う。」
「よし、ばれないよう。慎重に行くぞ。」
そして、少し行くと森の中にあるには不自然な灰色の建築物があった。
「思ったより小さいな。」
「対魔人用兵器を開発しているのなら、この大きさはおかしいですね。おそらく地下があるものと思われます。」
「外に2人ほど見張りがいるわ。どうする?」
「もうすぐ陽がおちる。今日は少し離れた所で野宿しよう。明日の朝仕掛けるぞ。」
そして、次の日の朝。
4人はもう一度外からのぞいてみた。が、
「おかしいわね。見張りが一人もいないわ。」
昨日いた見張りが一人もいなくなっていた。
建物に近付いて入口からのぞいてみるが、人の気配が全くない。
だが、これはチャンスだ。
「よし、少し中に入ってみる。潜入は俺が一番得意だからな。お前らはそこで待機しててくれ。1時間経っても帰って来なかったら好きにしろ。」
「わかったわ。私もここから中の様子を伺ってみるから。」
「気を付けてくださいね。」
「行ってこい。」
そして、一人潜入した。
中に入ってみても人の気配が全くなかった。
電気もつけられていないので中はどこも薄暗い。
一つ一つ部屋を確認してみたが中には本や資料らしきものがあるだけで他に何もない。
そして建物の奥の方には下へ降りる階段があった。
だが、1階の部屋をほぼくまなく入って調べているにも関わらず、相変わらず人の気配がない。
さすがにおかしいだろう。
まさか、昨日のうちに気付かれて逃げられたか。
いや、でも、誰かが出てきた気配はなかったし、研究員が俺たちにばれずに気配を消せるとも思えない。
まさか、研究所なんだから人が全然いないってことはないだろうし。
と、考えながら地下へ降りる階段を下って行くと
これは・・・、血のにおい!?
地下から血のにおいが漂ってくる。
それも、一人や二人のものではない。
急ぎ足で地下へ行くと、そこには無残に横たわっている白衣を着た者達がいた。
その死体は通路の奥へ進むほど、どんどん数が増えてくる。
誰がこれを・・・
傷跡から見て魔物ではないだろう。
打撲の跡や刃物の跡がある。
だが、研究者とはいえこの人数、しかも魔物が出る森の中の研究所なのだからそれなりに戦える者も何人かはいるはず。
それなのにほぼ全滅。
複数人の仕業か?
だが、なんの目的で?
そうして多くなる死体を見ながら奥へ進んで行くと、ひときわ死体が多くなっている場所があった。その何人かの死体は、まるでそこの部屋から逃げようとして後ろから殺られたようで・・・!?
この部屋に何かいる。
わずかだが、気配を感じる。
一人??
だが、こんだけの殺戮をした者だ。
剣の握り、いつでも抜けるようにする。
もし、魔物だったらぶった切る。
人間だったら可能なら捕縛する。
魔人だったら・・・一度退いて仲間と合流する。
そして、いっきに室内へ入る。
そこには、部屋を敷き詰めるほどの沢山の死体。
それから流れ出て床に広がった真っ赤な血。
そして、その部屋の真ん中に真っ赤な目をした子供が立っていた。




