プロローグ
痛い。痛い。痛い。
もぅ嫌だ。
身体が痛い。もぅ無理。
これ以上は---
薄暗い部屋の中、中央にある固いベッドに体を拘束された少年が寝かされていた。
周りには白衣を着た幾人かの男たち、手にはカルテや医療器具といったものがある。
「薬を増やせ。」
部屋に感情のこもっていない冷徹な声が響く。
白衣の人が一人、近づいてくる。
怖い。
後ろの首筋に何か冷たいものが押し当てられる。
カションッ
という音が後ろの首筋から聞こえてきた。
それと同時に異物が流れ込んでくる感覚。そして、
「ああああああああああああああああぁぁぁぁぁ。」
体中に襲い掛かる激痛。
まるで体が引き裂かれるような。
細胞の一つ一つが破壊されていくような。
そんな耐え難い痛みが襲ってくる。
痛い!痛い痛い痛い!!
体中が痛い。無理。もう無理!!
壊れる!!!
助けて。
誰か助けて!
「っ!目の色が・・・」
少年のきれいな青い目が真っ赤なまるで血のような色に変わっていった。
白衣の人が何かを言っている。
でも、聞く余裕なんてない。
目から涙が、口から唾液が出ていても構わず叫び続ける。
体中の痛みが引かない。
まだ、少年は叫んでいる。
でもふと気づいた。
そして思った。
---なんでこいつらは笑っているの?
こいつらのせいでこんなめにあっているのに。
---そもそもなんで僕はこんな痛い思いをしなくちゃいけないの?
昔からずっと、戦闘訓練をさせられ、薬漬けにされ、よくわからない薬を体にいれられ・・・
そしてそのせいで沢山の子が動かなくなった。
そして、処分された。
なんで僕たちが・・・
こいつらなんかいなくなればいいのに。
(殺せ。)
どこかから声が聞こえた気がした。
殺す・・・?
ダメだろ。
殺すなんて、できるはずない。
殺しなんて、したくない。
それに挑戦したって取り押さえられるだけだ。
今まで何人の子が反発したことか。
結局殴られて、飯を抜かれて、早死にするだけだ。
その時また白衣の人の声が聞こえた。
「成功です。拒絶反応も今のところみられません。」
「血液も体に適応してきています。」
「よし、674号。これからは他の実験体と区別をつけるため成功品1号、アインと名付ける。部屋を変えて精密な検査をしろ。問題がなければ魔人に対抗できるだけの力がちゃんとあるかの身体調査だ。やっと一体成功したんだ。ちゃんと管理しとけ。」
「「「はい。」」」
---成功品?
---魔人?
白衣の人が注射器を持って来る。
そういえば、体の痛みが随分なくなっている。
でも、意識が朦朧としている。
体もだるくて動けない。
腕に注射器が刺さった。
途端、意識が遠のいていく。
(殺せ。気に入らないやつは殺せ。)
また、声が聞こえたような気がした。
が、僕の意識はもう限界だった。
そのまま、意識は闇に沈んでいった。




