しょーがないな。
ヴァン兄様と別れた後、フィーは自分のへやに戻ってすぐ風の魔法を使って父様の書斎を盗み聞きをしている。
んー、ヴァン兄様はまだ、父様の部屋についてないみたい。部屋は本をめくる音が聞こえてくるだけだ。
コンコン
「入れ」
ガチャ
「失礼します。」
あれ。ヴァン兄様とお父様って親子だよね?なんか堅苦しくない??
「来ると思っていた。突然帰ってきたということは陛下か団長からの依頼を受けてきたんだろう?」
あー、やっぱり。私の感は正しかったな!内容は一体どんな事なんだろう。わくわくして続きを待っているとヴァン兄様がなにかをぶつぶつ言ってるのが聞こえる。
「少しお待ちください。今、盗聴防止の魔法をかけますので。」
そーゆうことね。この世で魔法を使える人は限られていて、呪文によって精霊に力を貸してほしいってことを伝える。精霊のだいたいが好奇心の塊みたいなものだから、少しでも気に入れば力を貸してくれれる。まぁ、私は呪文なんてことがあるのも最初は知らなかったけど。妖精は、熟練のひとでも姿を見れる人はほとんどいないそうだ。せいぜい、気配がなんとなくわかるぐらいらしい。
小さいころから、ふしぎなことはよく起きるからファンタジーなこの世界にはなんでもありなんだとか思っていたけど、ルージュに違うって教えてもらった。
なんでも、私は妖精さんたちに溺愛されているらしい。ついでに言えば、小さいころから見えていた小人が妖精らしい。
今思うと確かにきれいな羽が生えてたな。あんまりがん見してくるから無視しつづけてたのに。
だから、なぜか溺愛されている私には魔法などきかない。精霊が相手に力を貸さないから。なんてチートなんだ・・・・。確かに攻撃されるのは嫌だけど、それはありなの?
「ふむ。だいぶ魔法も上達したな。それで、そこまでするほどの話なのか?」
いやいや。ヴァン兄様の魔法レベルは昔からすごかったけどね。
「本日は、宰相としての父上に許可をもらうため参上しました。少し前に魔物たちが急に勢力を伸ばしてきたことをご存知ですよね?」
うん。リュカスが仕事さぼってたやつだよね。
「あぁ。話は聞いている」
「なぜか、魔王もそれを止めることをせず部屋に閉じこもってしまい陛下が困っておられました。先日、なぜか急に部屋から出られた魔王によって事はおさまったのですが王都から離れた町の方ではまだ魔物の生き残りがいるようで、民を苦しめております。」
そーなんだ。リュカス仕事し始めたんだね。細かいとこまでできていなくても今度ほめてあげないとまたいじけてしまう。
「そうなのか。話はわかるがそれをどうするための許可だ?」
確かに、魔王にお説教する許可でもとりにきたんだろうか。私がもうしたからいいのに。
「実は、魔物は10匹まで減っているので騎士団の方でも倒そうと試みたのですがその力は強く騎士団のものでは倒すことができませんでした。」
ふーん。たぶんリュカスは王都周辺のレベルの低いものが死ぬような魔法をかけたのだろう。そういう魔法をかけたということは、リュカス自体そんなレベルの高いものが魔界の外に出るとも思っていなかったんだろうなー。
「そんなに強いものが・・・。それを倒すための手段の許可がほしいと言う訳か。」
なるほど、そんな強いものだったら騎士団が多いな犠牲を払ってやっと一匹に引き倒せる程度なのだろう。どーするのかな。
「はい。今回、陛下と団長の案で冒険者ギルドのSSランクの者たち全員に手伝っていただこうとのことです。」
ん?それは、私も入っていますよね!?どーしよう。冒険者ギルドのものはだいたいが騎士団などに入ってない人たちが多いのでで世界的には一般人のくくりに入るのだ。そんな一般人が陛下の命令を断れるわけない。
お父様が断ってくれればいいのだが・・・・
「そういうことか。たしかに、SSランクのものは強い者の塊だしな。」
断ってくれないのか!てか、強い者の塊って何だ!まちがえてはいないけど・・・・。
とりあえず、私が討伐に行ってる間の対策を考えとかないと・・・。
「ありがとうございます。では、私はこれで。明日の朝には王宮に戻らなくてはいけませんので。」
えー。ヴァン兄様朝起きたらもういないんだ。なんかさみしーな。
「そうか。フィーがさみしがるだろうな。また近いうちに帰ってきなさい。」
「はい。お父様。」
あ、ヴァン兄様がお父様って呼んだの久しぶり聞いたな。ヴァン兄様家を出てからずっと父上って読んでたしね。
ヴァン兄様が部屋をでる寸前にお父様のふっと軽く笑う声が聞こえたが、たぶんヴァン兄様はきずいてないのだろう。扉を閉めて廊下を歩いていく。
*
さて、私もそろそろ寝ようかな。ベッドに横になり目を閉じると廊下から足音が聞こえた。
おかしい。なぜなら、ネージュは森に行っているし、私の部屋は一番端にある。部屋の場所のは関係ないと思うだろうが、私の部屋に向かう廊下は部屋がほとんどといっていいほどないのだ。なので、この廊下を通るのは大抵私の部屋に来る者のみ。
誰の足音か確かめようと耳をすませる。知っているものの足音ならば聞けばわかるしね。
ん?この足音は・・・・
ガチャ
「フィー」
ヴァン兄様だ。自分の部屋に戻ったんじゃなかったの?私を起こさないようにするためか囁くような小さな声だった。
足音をたてないように、歩いてくる。ベット周辺に来ると、じーっと見つめているのか視線が痛い。
ギシッと小さな音を立てて兄がベッドの端に腰かけるのが分かった。
私の頭を優しくなでる。
はぁ。きっと何か思いつめているのだろう。フィーっと私を呼びながら間間に溜息をつく。なんか、私の周りって差はあれど病んでる人多いな・・・。一番ひどいのでリュカスだね。ヴァン兄様は軽い方だから安心だろう。
「フィー・・・。」
ヴァン兄様明日早いんだから早く寝ればいいのに。しょうがないなー。いつもは面倒掛けてるしたまにはなぐさめてあげないとね。
「ん・・・。」
私はあえて今起きました!っという演技をする。目を開けてみると、ヴァン兄様はいつものピシッとした格好ではなくラフな格好をしていた。
「あ、・・・フィーごめんね。起こしてしまったね。」
いやいや、起きてましたよ。
「んーん。だいじょーぶ。・・・・ヴァン兄さま、あした、はやいんでしょ?」
私は寝ぼけてるッと言う暗示を自分にかけて少し幼い感じに話す。
「あぁ。寝る前にフィーの顔でも見ようと思ってね」
みるだけならさっさと帰って寝てなさい!かれこれ30分は立ってるよ!
「そーなの?・・・・また一時会えないの?」
なんか、今思うと遠距離中の恋人みたいな会話だな・・・。
「そうだね。できるだけ早く帰ってくるよ。」
そう言って眉を下げる兄様は少しさみしそうに見えた。
「ヴァン兄様・・・・では、久しぶりに一緒に寝よ?」
兄たちを慰めるのは添い寝が一番だ。小さい頃はたらいまわしに家族と一緒に寝た。結果、曜日で今日は誰がフィーと一緒に寝るか決めていた。今では、私が一人で寝たいと言って一人で寝ている。
「・・・・・・いいの?」
少し迷ったようだが、ヴァン兄様も添い寝争奪戦の参加者だ。こんなめったにない機会を断らないだろう。
「うん!明日早いんだから早く寝よ!」
そう言ってヴァン兄様の袖をぐいぐいと引っ張りベッドに引っ張り込む。
あーあ、なれって恐ろしいな。初めのころはこんなイケメン達に囲まれて少し混乱してた頃が懐かしい。今じゃ添い寝してもなんにも思わないよ。
さっさと寝てしまおうと決め、目を閉じる。ヴァン兄様を慰めることが目的なので少し袖をぎゅっと握ることをわすれない。
たいしたことないと思うだろうが兄たちには効果抜群なのだ。
「フィー・・・」
再び囁くような声で名前を呼ぶ。
目を閉じて反応のない私を見て寝たと思ったのか、私の頭を抱きヴァン兄様も眠りに就く。
いつもなら押しのけてやるが、今回ばかりはしょうがないだろう。
ヴァン兄様の規則正しい呼吸を聞きながら私も意識を手放した。




