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キル・レコード・マジック ~忘却の英雄は失踪した戦友の真実を追う~  作者: rinoe


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トランスポーター 15

 トルノーは再び踏み出し、距離を詰め始めた。フェルフェットも構え、防御の準備をする。していた。のだが、気づけばフェルフェットは強く後方へと吹っ飛ばされてしまっていた。


 「ッ!?!」


 ダァン!と何度も何度も地面をバウンドしながらも、なんとか手足、腰を捻って態勢を立て直し、すぐに立ち上がる。鼻からツー、と温かいモノが垂れ落ちる。


 何が起こったか、状況を整理したい所だが、トルノーはそんな暇を与えるほど甘い相手じゃないはずだ。追撃の準備をしているはず……。そう思ったフェルフェットはトルノーがいるであろう場所を見る。


 そこには、やはりトルノーがいた。今度は蹴りを入れようとしているのだろう。フェルフェットは再び防御の構えを取る。のだが、今度は背中に強い衝撃が奔り、態勢を大きく崩してしまう。


 (これが…トルノーの……固有技能(スキル)か…!!)


 このままではまずい!もう一度、距離を取って状況の分析、整理を行いつつ、態勢を立て直さなければ!そう判断した彼は迷わずテレポートを開始する。


 シュンッ!とトルノーの目の前から消えた彼は気づけばトルノーの上空にいた。かと思えば、今度は後方に。横に。分からない位置に。まるでトルノーを翻弄するように高速でテレポートを続ける。


 (一旦、状況分析と立て直しってところか。無駄に追う必要はないな。奴が攻めてくるタイミングでカウンターを決めてやればいい)


 トルノーは目で追うのをやめ、瞼を閉じる。


 フェルフェットの能力について軽く調査したが、よく分からなかった。やはり、自分と同じ、軍の切り札として扱われていた以上、彼の能力もまた限られた者しか知らないトップシークレット扱いになっているのかもしれない。だが、出てきた情報は決してゼロではない。


 戦場でフェルフェットを見た兵士の証言が残っていた。その兵士曰く、神出鬼没でいつ、どこにでもあらわれる。そして、気がつけば仲間が真っ二つに切断されていた、と。


 ここから分かるのは、奴は空間操作系の能力だという事。


 (どうせ、間合いを読んでも、攻撃を避けても、テレポート出来る相手だ。視覚に頼りすぎず、気配で追うのが一番だな)


 そういてトルノーは深呼吸し、心を落ち着かせる。


 (トルノーは……まだ様子見ってとこか。俺の攻撃待ち、カウンター狙いってところか?)


 フェルフェットもまた、トルノーの能力、動き、思考を予測していた。


 (目の前にいたはずなのに、後方からの攻撃……一体、なんだ?考える点としては、光の屈折率を操った、ってところか?であれば、辻褄は合うのだが──)


 魔術でも光の屈折を操作し、蜃気楼や相手に情報を誤認させる方法はある。


 だが、それらは膨大な計算が必要になる。視覚情報を誤魔化すには光の動きだけでなく、風や熱と言った外部的要因、他にも様々なものを含めて考えないといけない。少しでも崩れれば、相手に違和感を与えてしまい、すぐに見破られてしまう。


 (トルノーの姿に一切、違和感はなかった。固有技能で操った、としてもそんな事可能なのか?)


 分からない。


 だが、これ以上、考えても答えはではない。


 奴は光を操った、その過程の元、動くしかない。

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