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キル・レコード・マジック ~忘却の英雄は失踪した戦友の真実を追う~  作者: rinoe


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トランスポーター 12

 さらに続けてナイフがフェルフェットに向かって襲いかかる。だが、今回は早めに気づけた、少しばかり余裕がある。彼はすぐにテレポートし、自分の体を移動させることでナイフをいとも簡単に避けてしまう。のだが──


 「おっとッ!危ないねえ!!」


 それは後ろへ通り過ぎていってしまったはずのナイフであった。そしてまたもや刃の向く先がフェルフェットへといく。そして、それはまるで意思でも持っているかのように、フェルフェットに向かい続けていく。


 彼はずっとテレポートを駆使しながら、上手く避けていく。


 (魔具によっては遠隔操作出来るものもあると聞いていたが……)


 しかしそれは、遠距離戦において、銃が普及した現代では使われなくなったはずだ。


 昔は矢や投げナイフに遠隔操作の魔術を仕込んでおき、相手をホーミングしながら的中するまで、常に襲い続ける。そういった戦い方があると聞いたことはあった。だが、現代の銃の方が威力があるうえ、弾丸に少量の魔力を込め、引き金さえ引けば訓練なくても誰もが戦士になれる。


 それに、ホーミングしている間、術者は遠隔操作に集中していなければならない。どれほど優れた魔術師であっても同時操作は最低でも三つだったという。


 今、シェルシュが操作しているナイフは四つ。この時点で彼女の脳はフル思考。彼女が優秀な魔術師であるという事は分かったがナイフに意識を割け続ける限り、彼女はもう何も出来ない。


 (距離を詰めてしまえば、こっちのものだな!)


 そう判断した彼はシェルシュに向かってテレポートを開始する。ナイフを避けながら、どんどん距離を詰め、そしてとうとう攻撃が届く範囲内まで接近する。


 「少し考えれば簡単──」


 その時だった。


 頬をかするのは一つの刃。


 それは、シェルシュが右手に持ったナイフであった。その後、彼が考える暇もなく、シェルシュは一気にナイフで切りかかる。両手で、何度も、何度も切り掛かる。フェルフェットは慌てながらも、後方へ下がり、刃を避けていく。


 その時だった。


 「ッ!!」


 今度は背中に鋭い痛み。


 先ほどまでホーミングし続けてきた四つのナイフであった。


 「これで、終わりだぁ!!」


 シェルシュは彼の胴体を、強く切り裂く。 


 .のだが──


 「届かないねぇ」


 彼は無傷であった。


 本来であればナイフの先が届く範囲だったはず。しかし、フェルフェットは無傷。シェルシュも何かを裂いたような感触が一切、なかった。一体、どうやって避けたというのか?


 「俺の固有技能(スキル)だよ。目の前の空間を多少、移転させたんだ」


 フェルフェットは右手を握りしめ、魔力を込める。そして、容赦なく、彼女の腹部にめがけて勢いよく殴り飛ばす。予想以上のパワーだったからか。シェルシュは脚の踏ん張りが効かず、そのまま後方五メートル以上も吹っ飛ばされてしまう。

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