トランスポーター 11
フェルフェットは廊下を抜け、階段を登り、神代の遺物第三保管庫がある四階へと彼は到着する。そう、したはずなのだが──
「おっ?」
彼は階段に書かれた番号には先ほど駆け上がったはずの『the third floor』の文字があった。だが、すぐに彼は何が起こっているのか、理解する。
「結界か?しかも、ただの結界じゃないな。なんだこれは……」
近くの壁に触れ、索敵し、自分の侵攻を阻んでいる結界を見つけ出す。
「どうなってやがる?自分が知っている結界技術じゃないな?だが──」
そんな事は問題にならない。
なぜなら自分の固有技能を用いればこんなもの、簡単に超えていけるのだから。
フェルフェットは自分の眼に意識を向ける。その瞬間、彼の視界が変化する。全てが青く、白っぽ変化し、そこにはさまざまな光が混在していた。ただ、その光の中に大きく輝く、壁のような光があった。
「そこが結界の境か」
フェルフェットはその壁に向かって進んでいく。
「結界の影響だな、変に空間がねじれてる。が──」
一歩、光の壁に向かって足を踏み入れる。
今度は腕、胴体、頭、と慎重に自分の体を光の壁の向こう側へと侵食させていく。そして気づいた時にはフェルフェットは四階へと到達していた。
「ようやく目的地、か」
彼は廊下をゆっくりと歩き始める。そしてドアに飾ってあるネームプレートを見て、部屋を確認する。
『第三保管室……第三保管室……第三、第三っと…」
ゆっくり、間違えないようにネームプレートを見て、彼は足を止める。
「っし、ここだな」
フェルフェットはとうとう、見つけてしまう。
「ここに、あの神代の遺物が……!」
彼が保管室のドアに触れた瞬間──
「ッ!!」
敵意を感じたフェルフェットは両腕に魔力を纏い、ガードの構えを取る。そして、腕には複数のナイフが纏った魔力の膜を突き破り、突き刺さる。
「入れさせませんよ……!」
そこにいたのは、見覚えのある少女……シェルシュ・ウォルモースであった。
「へぇ、ここで君が出てくるのか」
彼はまっすぐと、警戒するようにシェルシュを見る。
やはり前に見た時と変わらない。何処にでもいるような、変哲のない少女。今のところ、警戒する必要性を感じないほど、圧倒的格下。だが、彼女は自分のガードを突破してきた。咄嗟とはいえ、フェルフェットほどの相手の魔力の膜を突き破って見せたのだ。
(一体、どうやったんだ……?)
そう思いながら、変わらずシェルシュを見続け、腕に刺さったナイフを外そうとしたのだが──
「おや?」
気づいたら、ナイフが何処かへと消えていた。
シェルシュから目線を外し、自分の目で両腕を確認する。やはりそこにはナイフはない。
「何をお探しでッ!!」
「なッ!!」
その声と同時に肩に衝撃が走る。
それは、先ほどまで腕に刺さっていたはずのナイフであった。




