トランスポーター 3
三日後……。
トルノーとシェルシュは依頼があった魔術学連合支部へと訪れていた。二人は門をくぐり、広い敷地内を進んでいく。あちこちに番号がかかれた建物があり、老若男女、いろんな人たちが行き交いしている。
「俺たちが行くべき場所は……っと、十三号棟らしいな」
事前にもらっていた簡易の案内図を見ながら、トルノーは前に進んでいく。
「しっかし、本当に良いのか?今回の件はお前に全く関係のないものだぞ?」
トルノーはシェルシュに向かって尋ねる。
「はい、大丈夫です!いつもお世話になっていますし、それに英雄であり、恩人であるアナタのお手伝いが出来るのであれば、これ以上嬉しいことはありませんよ!」
「いやぁ、ちゃんと依頼料としてお金とかもらっているし、そんなふうに考えなくても良いんだけど……」
……まぁ、本人が納得しているならそれで良いか。
そんな会話をしていると、目的地であった十三号棟へと辿り着く、すると、この支部のスタッフであろう人が建物の前で二人を待っていた。
「お待ちしておりました、トルノー様。案内役を任されております、ジェイニルと申します。ここから先が神代研究課の十三号棟になります」
そうしてジェイニルは建物へと入っていく。二人はそのまま彼の後ろをついていく。
建物の中には私服を来た学生らしき若者、スーツを着たスタッフらしき中年、白衣を着た研究者らしき者たちが歩いている。また、あちこちから奇妙な気配をトルノーは感じていた。
(あちこちから変な魔力を感じるな……)
トルノーは無意識のうちに魔力探知を行っていた、これは西方戦争からの癖だ。
あの時は四方八方、敵に囲まれていた。どんな魔力兵器による攻撃か来るかもわからない。ゆえに、寝ている時もすぐに動けるように、常に魔力探知してしまう癖がついてしまっているのだが……。
(感じたことも無いエネルギーが渦巻いている……さすがは神代研究課という事かな)
そんな風に考えながら、三人は廊下を抜け、階段を登り、四階へと到着する。
「これを首からかけてください。この階層から一部の人しか入れないようになっています」
そう言われ、渡されたのは許可証だった。首にかけられるように、ストラップがついている。二人はその許可証を首から下げて四階へ入っていく。
「なんだか……空気が変わりましたか?」
シェルシュは異変を感じ、周囲をキョロキョロを見渡す。
「結界だよ。四階を覆うように展開されてるな。ただよく分からん術式で展開されているようだし……何だ、これは?どういう結界だ?」
結界にもいくつかの種類がある。
純粋に外からの攻撃から身を守る防御結界、音、光、そのほか様々な情報が外部へと漏れないようにする保護結界、物や人を一時的に動けなくさせる封印結界など……。
ここで活動している研究者に比べればトルノーはまだ魔術に対し、多少知識があるレベルだろう。しかし、戦争を通した経験からどんな魔術でも、それがどのようなものか。魔力量、魔法陣、魔術式そのほか様々な情報から読み取る技術が彼にはあった。
というのに……この結界が一切、理解できなかった。
「さすがはファイム・トルノー様。神代の結界を分析し始めるとは……。本来であれば知覚することすら難しい物なのですがね」
「神代の結界……だって…?」
トルノーは聞き返す。
「ええ、ここには様々な研究成果に、神代の遺物が保管されていますのでね。それらの知識、技術を結集させた結界でここを守っているんですよ。壁は絶大級の魔術でも破壊不可能ですし、そもそもこの結界内部に入るためには複数の条件が必要です」
なるほど……であれば、この渡された許可証も結界へ入るために必要なキーの一つなのかもしれない。
そのような会話をしていると、ジェイニルは一つの部屋の前で止まる。




