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アリフレタ帝国物語~最強皇女様の世直し旅~  作者: 天野ハザマ


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「おい待て止まれ怪しい奴らめ!」

「誰が怪しいってのよ?」

「うるさい、それで怪しくないんだったらゴブリンだって素通り出来るぞ!」


 まあ、確かに財物を山と積んだ荷車と魔法で拘束した風体の怪しい男どもを連れているのだから、怪しいといえば怪しいのだけれども。

 というか、これを素通しするようであれば無能が過ぎるので、逆に安心と言うべきだろうか?

 とにかく、誰何されてもトリッシュとしては何の問題もない。

 だって、何一つとして悪いことはしていないのだ。


「盗賊をブチのめして財物を没収してきたのよ。何か問題でもある?」


 堂々と胸を張るトリッシュが言えば、衛兵は自分たちが悪いことをしているような気分にでもなったのか気圧されたような表情になる。

 まあ、今のトリッシュを前にすればそういう気分になるのも仕方がない。

 後ろ暗いところなど何一つないと……実際ないのだが、それを堂々と主張する淀みなき言動と態度。

 自分に対する絶対の自信がなければできないような、そんな表情をしているのだから。


「い、いや。ないが……盗賊はこちらで対応するから引き渡してもらおう」

「そうね。それが道理だわ」


 実際、トリッシュたちが盗賊を衛兵に引き渡さない理由は何一つとしてない。

 余程盗賊に何か用があるとでもいうのでなければ、こんな連中をいつまでも捕まえている理由はない。そして当然、トリッシュにはそんな用はないのだから。


「とりあえず縄で縛るから、そうしたらこいつらの拘束魔法をどうにかしてくれ」

「ええ。カクタス、頼んだわよ」

「勿論です、お嬢」


 そうしてカクタスが衛兵と引き渡しをやっている間、スケルツォは衛兵たちをじっと見ていたが……その態度に怪しいところはない。


(真面目な衛兵に見えるがねぇ……ヤシチの野郎の調査結果次第ではあるが……)


 そんなことを考えながらもスケルツォはカクタスへと何かを言いたげな視線を向けて。

 カクタスの方も衛兵たちには気付かれないような角度で頷いてみせる。

 そうしてカクタスは今思い出した、とでも言いたげに衛兵へと声をかける。


「ああ、それとこの盗賊たちの親玉ですがカッスとかいう男でして」

「ん? ああ、知ってるよ。ここらじゃ有名だ。さ、通っていいぞ」

「……そうですか」

「ちょっとカクタス」

「お嬢、行きましょう」


 カクタスに腕を引っ張られ、トリッシュはしぶしぶといった様子で門を潜るが……振り返り盗賊を何処かに連れていく衛兵を見ながら「なんで言わなかったの?」と問いかける。

 レッサー・デーモンのことを報告するはずだったのに、どうして言わずに……そして、どうしてあんな早々と会話を打ち切ったのか?

 その疑問にカクタスは「怪しかったからです」と小さな声で囁く。

 そもそもの話、連中はこちらが何者かも確認しなかった。

 財物を見て手順が頭から飛んだという可能性も否定は出来ないが、だとすれば慌てて追ってくる気配もない。そういうものを普段からすっ飛ばしているという可能性のほうが高い。


「怪しくないかどうかでいえば、めっちゃ怪しかったけど」

「そういうことです。ヤシチも探っているでしょうから、まずは……」

「そうね! 孤児院に行きましょ!」

「えっ。あ、そういえばそうでしたね?」

「最初からずっとそうでしょ? あたしたちがこんなお金持ってても仕方ないんだから」


 孤児院。こんな大きな街であれば必ず存在するものだが……街の人々に聞くというのは

 荷車に積んだ財物にチラチラと目を向ける者もいるし、何やらブツブツと怪しげな呟きをしている者もいる。


「危ねえ視線だ。いつでも財物ってのは人を狂わせるねえ」

「実行に移さない限りは罪じゃないわ。迂闊にそんなこと言ったらダメよ」

「仰る通りです。しかしお嬢、この状況では……」

「そうね。お願い、ヤシチ」


 影からポイッと投げ出された紙片をキャッチしたトリッシュが広げれば、そこには現在地から孤児院までの詳細な地図が書かれていて。


「うんうん。やっぱりヤシチは凄いわね。あたしが欲しい時に欲しいものをくれるわ」

「恐悦至極。拙者の全てはお嬢のためにあるでござるよ」

「臆面もなくそう言ってくれるところ、結構好きよ」


 何やら影から咳込んだような声が聞こえてきてトリッシュが首を傾げるが、そんなトリッシュの腕をカクタスが引き、スケルツォは台車を引き始める。

「さあ、お嬢。早く行きましょう」

「それがいいぜ。さあ、急ごう」

「ちょっと何よ二人とも。大丈夫よ、二人のことも好きだから」

「おうおう、ありがとな」

「これは単なる安全確保です。危ないですからね」


 そんなことを言いながら急ぐ2人に引っ張られるままにトリッシュが到着したのは、このイチルの街に唯一あるという孤児院だった。

 まだ時間はお昼を過ぎた頃であり、財物をたくさん乗せた台車を引いてやってきたトリッシュたちに院長だという男はギョッとした表情から揉み手でも始めそうな笑顔に変わるという、そんな顔芸を見せながら院長室へと3人を案内したのだ。

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