↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/11

5話、鉢合わせ

 長い沈黙の後、先生はごめんね、とだけ言って席を立った。


 向けた背中は虚しい空気をはらんでいて、俺は自然と手を伸ばしていた。


 先生の服の端に触れる。


「どうしたの?」


 振り向いた彼女は柔らかく微笑んだ。


 いつも通りの優しくて、穏やかで、かわいい森本先生。


 俺はそれを見て、胸を締め付けられる。


 違う、先生は心から笑えてない。我慢して表情を作ってる。


「先生……」


「なに?」


 言葉が見つからない。少なくとも、さっきの言葉の否定だけでもしなくてはいけないのに。


 先生は馴染めてますって、一人じゃないんですって。


 でも脳裏に浮かぶ言葉はどれも薄っぺらくて、口から出したらきっと紙切れみたいに破れてしまう。


 だから、


「無理しないで」


 俺は精一杯の笑顔を作って言った。


 先生は「ありがとう」と、俺の頭に手を乗せた。


 彼女の表情からは、まだ仮面が剥がれてなくて、


 そしてまた、先生は背を向けてゆっくりと歩き出す、離れていく。


 俺はただ茫然と見つめていた。


 先生はドアの前に立ち、扉に手を掛ける。


 ガチャッ


 彼女の背中がビクッと跳ねた。ノブを回したのは、先生ではなかった。


 開く扉、そこから顔をのぞかせたのは、


 京吾だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。