解決編
わたしは早めに仕事を上がり、家でお茶を飲んでいた
アイツは今頃どうしているのだろうか
恐怖で震えているのか?それだったら面白い、虚勢を張ってそのメッキが剥がれ恐怖に溺れるのだとしたら、監禁した甲斐があるものだ
檻を作るのに結構苦労した、監禁するための部屋は地下室に作ってある
元々地下室は旦那が趣味で作った部屋だった、わたしは下らないと思っていたのだが、まさかこんな形で役に立つとは思っても見なかった
あなた、仇はちゃんと取りますからね
スマートフォンを取り出す、見るのに少し躊躇った後、ペットカメラと繋がっているアプリを開いた、これで監禁部屋の映像が分かる
大森と君島は言い争いをしていた
どうやら君島にはアリバイがある、との事だった
だが、その嘘は見破れた
わたしの優秀な協力者が、このアリバイトリックを破ってくれたからだ
その時だ、チャイムが鳴った
玄関を開けると、協力者である原田が立っていた
私は警察からの事情聴取が終わると、湧き出てくる悲しみに耐える事ができず、涙を流した
茜ちゃんが死んだ、その事実でさえ悲しいのに、他殺であると聞かされて、さらに泣いた
嵐のように全てが過ぎ去ると、残ったのは荒らされた日常だけだった
気づいたら周りの人間が三人も消えていた、大森と君島は容疑者として拘束され、茜は殺された
茜ちゃん─大森と喧嘩した時も慰めてくれて、色んな相談事に乗ってくれた、私の唯一の親友─
「原田ちゃん?どうしたのそんな怖い顔して」
茜の母が、心配そうに私の顔を覗き込んだ
「いや、何でもないです」
私は作り笑いを顔に浮かべて返事をした
部屋に上がらせてもらうと、空気が随分とこもっている事に気づいた、比喩ではなく物理的に、あまり換気されていないのだろう
「それじゃあ、早速尋問しようか」
茜の母は私と同じように笑顔を顔に貼り付けた、手にはシャベルが握られていた
地下室に向かうドアを開ける
「原田!」
地下室には二つの檻がある、一つには君島が閉じ込められており、もう一つには大森が閉じ込められていた
檻の中の大森が、電気椅子に弾かれたように、パイプ椅子から立ち上がった
その隣の檻では、君島が布団の中から顔を出している
「久しぶり、大森、君島さんも久しぶり」
「ここから出してくれ」
君島は捨てられた子犬のような目で私を見つめる
「うーん、素直に全て話したらいいよ」
「茜ちゃんの件か?」
そうだよ、と言う
しかし答えたのは、君島ではなく大森だった
「君島だ、コイツが茜を殺したんだ」
「俺にはアリバイがある!」
二人は言い争いを始めそうだったから、私は鉄格子を蹴飛ばして黙らせた
茜のお母さんは驚いていた
「いいですか?嘘はダメだめです」
私は睨みつけると、数秒間を開けて続けた
「アリバイというのは手錠の事でしょう?あんな物は大した問題じゃない」
「本気でそんな事言ってるのか、見たはずだろう、手すりに繋がれている姿を」
茜の母は言ってやれ、というような表情で私を見つめた
「そうだね、確かに君島さんは手すりに繋がっていた、それはしっかりと見ていました、だけど、手錠は本当に外せなかったのか?外そうと思えば外せたんじゃないですかね」
君島は布団から出ると、震える手を鉄格子に這わせ、懇願するような目線を私に向け
「手錠は外せなかった、何が言いたいんだよ、あそこでずっと繋がれたままだったぞ」
「いいや違います、大森は手錠の鍵を渡していたんです、一連の暴行騒動は演技だった、二人は君島のアリバイ確保のために手を組んだんですよ、違いますか?」




