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第3話 この少女危険にツキ連行

陽が西に傾き始め先程は歩くのにも一苦労した街の往来も落ち着きを見せ始めた。それでもこの国は街の中心部なのだろうと分かるくらいに道の中央を数人の兵士が小夜を囲むように歩くと、自然と道が開かれ、手枷をされチンケな格好をした少女を見定めるように多くの視線が刺さる。


「おい、あれ帝国直属の兵士たちだぞ!?…」


「あんな少女1人にあの兵士の数…一体なにやったんだよ…あの娘」


「まさか、密入者か!?どうやってこの厳重な警備を抜けてきたんだよ…」


「まさか、他にもこの街に紛れてるんじゃ…」


通り過ぎる度その異様な光景に街の人々は呆然と立ち止まり不安な面持ちで憶測を言い合っていた。



「しかもなんだあの格好?みたことないぞ」


「ああ、まず目を引くのがあの胸の上あたりに圧倒的な存在を放つ赤い結ばれた布の紐だ。あれを用いる事によって白地の清楚な装いをよりいっそう引き立てている。それを包み込むように紺の布の羽織りがゆったり感を演出し、統一性を促してやがる。」


「おい?どうしたんだ?お前!?」


「極めつけはあの腰みのだ!!折り目になってふわふわした一切防御力のなさそうなあの見た目、そこから伸びる若々しく美しい白い足、歩く度に揺れあの腰みのが上に上がる躍動感」


ゴクリ


「一体、あの先には何があるっていうんだ」


「おそらく、肌着いやそれ以上もありえる」


「それ以上も!!?」


街の男達はいつしか真剣な熱い眼差しを小夜のスカートへと向け待望の時を待ち望んでいた。


するとその瞬間、神の悪戯、あるいは天の恵みか、突如として街に強風が襲い、小夜のスカートが上に上がる。


街の男達は自然と結託し、その神風の導きに従い己の眼にそれを焼き付ける。

しかしそれを阻むように後ろの兵士達が己の屈強な身体を用いて男達の視界を遮る。その瞬間、街の男達は首を横にふり落胆の声をあげた。


街の男達「うわああああああああああァァァァ!!!」


突然の悲鳴に小夜の周りの兵士達が身構える。


「何だ!?急にどうした!?」


周りを振り返ると街の男達だけが苦痛に歪みながらこちらを睨みうなだれていた。


ちなみに女達は男達を白い目で見ていた。


「気おつけろ!!もしかしたらこの娘の能力かもしれん!!おい!?お前民に何かしたのか!?」


「いえ、何も」


いきなりこんなわけのわからない世界で手枷をつけられ、見世物にされている彼女の機嫌はすこぶる悪かった。


しばらく歩くと見上げるほどの巨大な門の前についた。

15メートルはあるだろうか?その巨大さに小夜も口を開いて驚く。

どうやらここが街と外を繋ぐ関所のようだった。

門の外では数人の兵士達が外から来る人々の入国検査を行なっていた。その列は異様で目視で100メートル先までは伸びている。


「これユ◯バのアトラクションより並んでるんじゃない?」


「ん?今なんといった?ユ◯バとは何だ?お前の国か?」


余計なことをゆってしまった事を自覚した小夜は弁解する気にもなれず


「あ、はいそうです。ユ◯バが私の故郷です」


と答えた。


門の周りは巨大な城壁に囲まれ外の侵入を固く閉ざしており小夜は門のすぐ隣の城壁に隣接している詰所に案内された。


詰所の入口には兵士が2人見張りをしており一緒に同行していた兵士が事情を説明している。


「おい、どうしたんだ?その少女は誰だ?妙な格好をしているが…」


「ああ…街の民から通報があってな…俺の店に頭のおかしい娘が営業妨害してるから何とかしてくれと泣きそうな顔で云うから、急いで駆けつけてみたらこの娘がいたのだ」


見張りの兵士は目線を小夜に移し疑いの目を向ける。

小夜は2人の兵士にまじまじと見つめられ苦笑いを向ける。


小夜は中に通され事情聴取を受ける事になった。部屋の中は書類やぶ厚めの資料本が積み重なっており、壁には剣や槍、盾や防具などが並べられており緊急時にいつでも対応できるような品揃えだった。

来客用であろう長机と椅子が並べられている席に座らされると早速聞き取りが始まった。


「じゃあ、通行所見せて」


向かいの席でため息交じりに座った兵士がまるで免許証でも確認するように質問してきた。


「通行所?なんですかそれ?」


予想外の答えに兵士が困惑する。


「いや、通行所!!自分の身分と生業が掲示されたカード。紙の人もいるけど最近じゃほとんどカードだ」


「ああ!!身分証ですね!!」


「ん、まあそうだ」


納得すると小夜はスカートのポケットを探ろうとするが枷のせいで取れないことに気付いた。


「ああ、すまない…おい…外してやれ」


「よろしいのですか?」


「ああ、これだけの人数にこんな少女だ、何ができるとも思えん、それに目を見れば分かる。俺も長い間この仕事をやってきているからな。人を見る目は養ってるつもりだ」


ふっと勇ましく笑ったベテラン兵士にまだ所属してまもない新人兵士は尊敬の目を向け小夜の枷を外す。


小夜はようやく自由になり両手を軽く振るとポケットに手を入れスマホを取り出し、スマホカバーを開けて中のカードを取ろうとしたが、長い間拘束されてたせいかカバーを空けた瞬間、スマホを落としてしまった。するとその衝撃でスマホの画面が光量100で光を放つ。

辺りはそろそろ夕方でこの部屋にはテーブルにランタンと周りにロウソクが散りばめられ薄暗かったのでそこに現代技術の結晶の光のフルパワーが部屋を灯す。

落とした衝撃でスマホはグルングルンと地面を回転し、まるでカラーライトのように部屋が光で回転し始めた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁァァァァ!!??!??」


「目がぁぁぁぁぁァァァァ!!???」


「クソ!!目眩ましかッッ!?!!」


「隊長ぉぉぉぉォォォ!!!信じて枷を外した俺がバカだったぁぁぁぁァァァァ!!!!」


兵士達の視界と、ベテラン兵士の尊厳を失ったこの部屋の中で小夜は落としたスマホをすっと拾い上げるとスマホカバーの学生証を取り出し得意げな顔でテーブルに突き出す。


「ふふん♪」


兵士達は腰に常備していた剣で小夜の首元に剣先を向けた。

しばらく膠着が続いたが小夜がカードをテーブルに提示したのを確認した兵士が剣を戻す。

そして兵士達はその得体のしれない文字と本人の顔写真のカードを眺めひと言


「なんだこれは」


意外な返答が帰ってきた小夜は


「なにって学生証ですけど?」


きょとんとした顔で応対する。

するとベテラン兵士はふーっと深いため息をつき


「あのな、嬢ちゃん。私達も暇じゃないんだよ。こうやって大人をからかって楽しいか?」


ベテラン兵士は40代後半くらいだろうか?優しい顔でまるで子供をあやすような感じで微笑みながら云った。だが小夜は知っていた。大人がこういう顔をするときはブチギレる寸前だということを。短い人生経験の中で幾度となくこの修羅場に立たされてきたのだ。


「あー通行所ですね?…通行所?……もちろん知ってますよ!!通行所、あれあのチケットよく落とすんですよ。そう!私の故郷のユ◯バでもよく年パス落として、再発行してもらうんで今回も再発行という形で…」


小夜は冷や汗をかきながら結局作っても繁忙期には使えないので年に2回ぐらいしかいかない故郷のユ◯バの話題を振った。


「隊長、もうこいつ牢に入れましょう。話しはそれからです」


「ああ、そうだな」


兵士達は勝手に納得すると、小夜にまた手枷をしようと試みる。


「いや、ちょっと待って!?ユ◯バじゃなかった!?ディ◯ニー?いやでも私は期間限定でコラボメニューが豊富なユ◯バ派で!!」


兵士達はこいつなにいってるんだろう?早く牢番に引き渡して帰りたい。という眼差しで小夜に歩み寄る。


その時、詰所の扉が強く開かれ、外から鎧を纏い、赤いマントを羽織った銀髪碧眼の好青年の男が入ってきた。


「失礼する。悪いがその少女は国王陛下からの命令で城内へ迎え入れることになった。ここからは僕が先導する」


入ってきてそうそう上司口調の彼は先程のベテラン兵士より2周り以上若く見えた。


「お疲れ様です!!グエン隊長!承知致しました!!」


後ろを振り返ると小夜意外全員膝をつき頭を下げていた。


小夜はグエンと呼ばれたその男に腕を引っ張られ半ば強制的に退出させられた。

小夜が出ていった後、ベテラン兵士がいった。


「あの娘は本当に何者なんだ?グエン隊長自らここに来るなんて初めてだぞ!?」


そして他の兵士がこういった。


「なんか、いろいろと危険な女だったな…」



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