第2話 バーガーショップのトイレから出ると、そこは不思議の世界
彼女の名前は冷煎小夜 「れいせんさよ」
都内に住む至極普通の女子高生である。
黒髪ショートに左髪に青のヘアピンをしている。成績は中の下で、体育は苦手、趣味は食べることとモフモフ系の癒やし動物に溺愛している。
顔は整っているのでよく男子に声をかけられるが個性が強い性格のため半数の男達はここでリタイアを余儀なくされる。
喜怒哀楽は激しいが基本的に裏表はないため友人も多く癒やし系として、クラスでは溶け込んでいる。
今日も学校の帰りに仲の良い友達とバーガーショップにいったところ新作の期間限定バーガーが余りにも魅力だったためかたっぱしから全部頼んだ。しかも、パティダブルで。しかも全てセットで。
それをみた友人2人は口を揃えてこういった。
「アホだ」 「アホだ」
一応名目は新作のシェイクとテスト勉強だったのだが、ここにきて優先事項が小夜の中では変わってしまったらしい。
シェイクとポテトを頼んでノートを広げている傍らその他全ての机のスペースを小夜の食事が埋め尽くす。
とても女子高生3人のイメージとは懸け離れたテーブル席を前に周りの人間の視線も集まる。
そして8分後既に半分以上平らげた小夜が彼女2人を見つめ静かに口を開いた。
「お化粧室に行ってきます」
数分後
身体が身軽になった小夜は洗面所で細かく手を洗うと後半戦の闘いに向け、勇ましい視線を扉に向けるとそこに手をかけた。
ガチャ
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バタン
「へ?」
先ほどまで店内をつつみ込んでいたポテトの匂いはもうしなかった。というより店の中でもなかった。
そこは見知らぬ細い路地道の一角で雰囲気も空気の匂いも日本とは大きくかけ離れていた、そう直感で小夜は感じていた。
小夜は取り乱しながらも一度冷静になり、外の空気をありったけ肺に送り込み、目をゴシゴシと擦り開眼するとやはり見知らぬ土地。
すると勝手に納得したように手をポンと叩くと180度回転し
「うん、帰ろう」
すぐ後ろの扉に手をかける。
ガチャ
そこには見知らぬモロッコ風のターバンを巻いた人達が狭い部屋でなにやら怪しげな粉の袋を渡している最中だった。
男達は一斉に開かれた扉をみた。
「………………………」
「………………………」
「お邪魔しました」
パタン
しかし閉ざされた扉の向こうから男達の怒声と謎の金属がすれる音がこちらに近づいてきた。
一気に青ざめる小夜。そして全力で走った。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
「待てェ゙ゴラぁぁぁぁぁぁああ!!!」
「生かしてかえすなぁ!!!!!」
路地を抜けた先は広く開けており人混みのおかげもあってか何とか逃げ切れた。
けれど以前絶体絶命という状況には変わりなく半日ほどふらふらと彷徨い続けて今に至る。
「で、今に至りました」
小夜がパン屋のおっちゃんに経緯を話しているとおっちゃんは半分聞いてるか聞いてないか分からないような適当な相槌をうっていた。そしておっちゃんが口を開く。
「つまりあれだな、嬢ちゃんは関わっちゃいけない人種だったんだな…」
遠い空を見ながら遠い目で優しい笑顔でおっちゃんはそういった後、少し外を見てくるから悪いが少しここで店番しといてくれ。と伝え持ち場を離れる。
「み、店番」
ごくり
じゅるり
「絶対食うなよ!!?」
そして小夜は理由もわからぬまま店番をすることになった。おっちゃんは人混みに消えもう姿は確認できない。
小夜は露店のパンの店番をしながら先ほどのおっちゃんのように遠い目で遠い空を見ていた。
「これは完全に………夢かな」
現実を受け止められなかった。さっきまで友人といつものように楽しく笑って幸せな学園生活を謳歌していたのにいきなりの異世界転移。更に加え小夜には異世界系の作品に触れてなかったせいか予備知識も皆無だった。
それは若干17歳の女の子には厳しく残酷な状況であった。
彼女は悲しみに打ちひしがれ俯き口を開く。
「…ハンバーガーまだ残ってたのになぁ…」
そうしていると露店の周りをいつの間にか、複数人の屈強そうな男達が囲んでいた。そしてその内の1人が歩み寄って来た。
「お前か!通報があってきてみれば、確かに怪しい身なりでこの当たりでは見かけない顔だな。悪いが少しご同行願おうか」
鎧の男達の後ろから呆れた顔のパン屋のおっちゃんが腕を組んでいた。
「へ?」




