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第24話   試験終了


「ん…ん」


 彼女は重い瞼をゆっくりと開ける。


「小夜様?気付かれましたか?」


 そこには馴染みのある2人の顔が並び心配そうに小夜を見守っていた。


 「イオン…さん?…ブライトさん…?」


小夜が目覚めると2人は安心した顔を見せる。


「珍しいですね…2人がそんな顔するなんて…」


いつもキラキラの笑顔を絶やさないこの国最強の護り手と無表情、効率重視でタスクを完璧にこなす戦闘メイドは今たった1人の少女のために滅多に見せない表情を向けていた。


2人は顔を見合わせると大笑いした。


「確かにねっ!僕もそうだけどまさかシルヴィがそんな顔するなんて…長い付き合いだけど初めてみたよ」


「なんにせよ、無事でなによりです」


小夜は目を大きく開け、不思議そうに2人を見つめていたがしばらくすると再び目を閉じて地面に頭をつける。


「なんだか…長い夢を見ていたみたいです」


小夜は自分が異世界に帰ってきたことを自覚すると何故か安心した。


「夢ではない…れっきとした試験をおこなっていたんだ…私自らの手で」


その声に小夜は再び顔をそちらに向ける。そこには真顔でこちらを凝視するギルドマスターのクロノが立っていた。


「周りの奴らも目覚めたようだしこれで試験は終了だな」


 クロノがそういうと先ほどまで小夜と一緒に倒れていた試験参加者は次々に起き上がる。

 

「わかっているようだが、お前たちは既に試験を終了している。諸事情で試験内容を変更させてもらったが概ね選考はできた。今残っている者たちは合格だ」



(今残っている者たち?)


その言葉に違和感を感じたのか小夜は辺りを見渡す。するとここに来た時よりも半数以上がいなかった。


「あの、さっきまで一緒にいた他の試験志望者の人達は?」


小夜はふと気になりクロノに問いかける。


「もちろん消えたよ」


その言葉に現に体験した彼女と他の参加者達は押し黙りクロノはそれを追って解説する


「皆はそれぞれ過去、未来、もしくはあったかも知れない世界線で大きな選択肢を迫られたはずだ。その答えによっては今現在の未来は大きく変わる。つまり今この時間軸には存在しないことになる」


彼は淡々と説明するが、大きく云ってしまえば失格者はこの世界線から消えて別の世界線で望んだ未来を受け入れたということになる。

 冒険者にならないという幸せを選んだということだ。実際小夜自身も迫られもう少しで本当に異世界からの脱却に成功ししていたことになる。  

 それでも彼女はここにいることを選んだ。小夜だけではない今ここに残っているその他大勢がここにいることを選んだのだ。

 クロノがやっていることははたから見れば非人道的とも捉えられるが、誰からも文句を云わせない、本当に覚悟のある者だけを選別する完璧な試験でもあった。


「では私は疲れたから帰るよ。明日から頑張ってくれたまえ。新米の冒険者諸君」


そういうとクロノはいってしまった。いつの間にか、金髪の試験管もいなくなっていた。

 


小夜含めギルドマスターから直々に冒険者に任命された彼らも各々解散していく。

 だがその中の1人の少女が足を彼女を呼ぶ

 

「!!ッッ小夜ッッ!?」


「へ!?」


そこには赤黒の髪に獣耳を立たせ黄色の目を宿した少女が立っていた。

 少女は嬉しそうに小夜を見つめ、八重歯を光らせている。


「あなたは…確か…試験会場の前でぶつかってきた子?」


小夜が少女に向けその疑問を投げかけると


「あっ………」


少女は口元に手を当てると少し涙ぐんでその場から逃げるように逃走した。

 その様子を見ていたグエンとシルヴィは何かを察していた。


(あの子…何で私の名前を知ってるんだろう…)


そしてその場には小夜とグエンとシルヴィだけが取り残された。


そして小夜は深く息を吸い込み



「よっしゃー!!合格だあああああ!!!」


彼女は両手を空に突き出し喜ぶ。


2人はそれを笑顔で見つめていた。


小夜はついに冒険者としての小さな一歩を踏み出したのだった。


「そういえば今更何ですけど何でイオンさんとブライトさんがここへ?」


そう小夜が尋ねると、グエンは質問に答える。


「シルヴィの偵察がクロノの…ギルドマスターが怪しい行動をしていると情報が入ってね…まあ手遅れだったんだけどね…今思えばあいつの手の内で踊らされてるだけだったね。相変わらずだよ彼は」


「踊らされた?」


小夜がよく2人を見ると、所々に衣服の汚れや、擦り傷などが確認できた。


「本当に何があったんですか?」


するとしばらく黙り込んでいたシルヴィだったが、覚悟を決めたように語る。


「もし、クロノ様が私達をここに誘導せずにこの第三次試験会場のこの森でとりおこなわれていたとしたら、今日合格になった皆さんは全員死んでいたかも知れません」


いつも通り小夜の目を見て淡々というシルヴィ。だがその瞳は少し震えていた。


「えっ…それってどういう…」


そしてシルヴィは語り始めた。小夜達が眠っている間に起きた事をー





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