第18話 最後の試練
第二次試験も終了し、少し休息が与えられた後、残り46人となった受験者一行は最終試験の会場まで係員に案内されていた。
外はすっかり日が暮れ、1人1つずつ渡された少し大きめのランタン以外は一帯が闇に変わっていた。
一同無言でしばらく歩き進めると、大きな金網のバリケードが目の前の森林を囲っており扉には厳重な錠前が掛けられている。
そして係員は立ち止まり口を開く。
「着きました。ここが第三次試験となります」
小夜はできるだけ持っていたランタンを前に掲げ全体を確認しようとするが金網越しの向こうには完全なる闇が広がっているだけで無駄だった。
受験者は意外とみんな落ち着いている様子でまるでこの後何をさせられるかを概ね理解しているようだった。
「今から皆様に行なって頂くのはーー」
「待った」
その言葉を遮るように突然男の声が制止を促す。
(…嘘…どうやって?とゆうより…あの人)
男はいつの間にかそこにいた。暗闇のせいで近づいて来るのが分からなかった…などそうゆうものではなく始めからそこにずっといたかのように存在していた。
何故なら目の前をずっと先導していた金髪の係員のすぐ横に突如現れ、ここにいる全員の眼がそれを証明していた。
「…試験変更だ」
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ハイカカオット城 談話室
現在城内では三番隊 ミラージュ・コロ・ライアスの戦死という報告を受け身元確認、周囲の村の安否確認、各国に散らばった各隊長を招集している。
そんな中グエンはというと先程から何もせず木の椅子に腰を掛けて考え込んでいた。
「らしくないですね。こんな時こそいつも率先して動いてるあなたが」
視線を上にあげるとシルヴィが目の前に立っていた。
「…すまない、どうも調子がでなくてね」
疲れ切った笑顔の先には瞳が少し腫れていた。
「失言です…失礼致しました」
「いやいいんだ…泣き虫なのは昔からだからね」
しばらくの無言
「で、どうしたんだい?まさか君が僕を慰めるためだけに来たんじゃないんだろう?」
コクリとシルヴィは頷く。
「先程、小夜様が第二次試験を無事合格されました」
それを聞きグエンの瞳に微かに輝きが戻った気がした。
「…そうか、流石だな彼女は…本当によくやってくれてるよ。こんな時だからこそ小夜殿のような子がいてくれると本当に救われる」
「はい」
いつも淡々と話すシルヴィだがその返事にはしっかりと感情がこもっていた気がした。最近の彼女は溶かされた氷のようにどこか人間味を感じる。
それはグエンを始め城の多くの人間が気付き始めていた。唯一気付いてないのが当事者達ぐらいだった。
「本当に、君は彼女にほだされたね」
シルヴィは首をかしげ言葉の真意を探るが思い当たらないといった感じだ。
「その情報を聞いただけで元気が出たよ。帰ったらお祝いしないとね」
「はい」
1つの選択が取り返しのつかないことになることが当たり前のこの世界で彼女がいてくれることがいつしか2人には大きな支えになっていた。
コンコン
談話室の前を一話の黒い鳥がこちらに知らせるように窓を叩く。
それはシルヴィが偵察によく使用する伝書鳩ようなもののようでこうして厳重な城内の警備に悟られることなく気になった対象の情報を習得している。
シルヴィが窓を少し空け黒い鳥のこめかみに人差し指をのせる。
スキル ー知覚共有ー
そしてこの鳥が今見てきたもの聴いてきたものを読み取る。
不意に森のざわめきにも似た冷たい風がシルヴィの髪を揺らした。
「…グエン様」
「どうした?」
グエンはふいに嫌な予感がしていた。
その問いにシルヴィは少しトーンを落として告げる。
「ギルドマスターが第三次試験開始直前に突如現れ何かを喋った後、ーーーと」
「それは…かなり」
「ええ…まずいです」
2人は瞬時に高さ20mの窓から飛び出し現場に急行する。




