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第17話 無知の才

あれから数時間後第二次試験が終了し、係員が受験者を移動させたのを見届けると、冒険者十数名はその場で堕落する。


「うへ〜キッツー」


「割に合わね〜」


「…俺、次は絶対このクエスト受けねぇわ」


ベテラン冒険者達が各々愚痴を零した後、少しの間が空き次に選手の感想が始まる。


「にしても今年の奴はヤバかったな」


「ああ…まさかBランク以上の試験管が2人も戦闘不能になるなんてなぁ」

 

「たまにああゆうのがいるんだよ。絶対野に放っちゃいけない人種てのが…」


1人がその言葉を口にすると先程の悪夢が蘇り旋律する。尚今回の試験は完全に実力主義であり、試験管の有無を云わせずそれを倒そうもんなら一発合格になる。


「まあ、幸いなのがそいつらを最後にしといて良かったよ。もし、他の冒険者候補の奴らに見られてたら何人離脱していたか」


そんな、冒険者達の集いには参加せず演習場外の庭で一服する男がいた。

 男は段差に腰掛けると巻きたばこから出る煙を眺めながらぼーっと空を見ていた。


「どしたんスか?こんなところで?さっきの女の子の一発がまだ響くっスか?」


後ろから声をかけてきたのは先程のベテラン冒険者の中でも1番の歳下で故に1番の才能の原石でもある少年だった。

 おじさんはその声に視線を向けることなく相変わらず煙をふかしている。


「まあそれもあるんでしょうが、私もこの仕事に就いて暫く経ちますからね。いろいろと思うこともあるんですよ」


少年は初めて彼に出逢った時の事を思い出す。今から数年前僅か9歳で既にこの地位に上り詰め少し天狗になっていた彼は、人生で初めて目の前のくたびれたおじさんからはおよそ想像できない:圧倒的な強さと目指すべき場所:というものを教えてくれた人だった。

 そんな人が今この試験を通して何を見たのかがまだ若い彼の知的好奇心を刺激する。


「そんなにあの子強かったんスか?」


少年の問に膝の上に置いてある割れたメガネを手で触りながら答える。


「…確かにあの子はまだまだ強くなるだろうね。なにせ見たもの全て取り込んでしまうんだからね。天才…とゆうんだろうねああいうのは…果たして応用なんてしようもんなら彼女の右に出るものはいないかも知れないね。全く末恐ろしいよ」


「…そんなにっスか」


少年のその言葉におじさんは頷く。


「…ああ…でも当の本人はまだその事を自覚していないみたいだけどね…まだ日も浅い…」


「………」


同じ天才と呼ばれた少年だからこそ普通の人とは違う存在、力の在り方について誰よりも理解しおじさんの言葉の真意を見抜いていた。


「じゃあ、俺はこれで帰るっすね。また組むときあったらその時はお願いするっス」


少年は軽い会釈をするとそのまま段差を降りて行ってしまった。


…フーー


おじさんは吸い込んだ煙を大袈裟に空にばら撒く。


「…いつまで純粋でいられるのか…あの子にとってこの世界は本当に残酷だよ」



第二次試験待合所



 先程ようやく全ての受験者の選抜が終了し小夜を含め他の者たちも合流し待機している。小夜が辺りを見回すと100人ほどいた受験者は半分ほどになっていることを目視で確認する。

 現時点で実に40人に1人の割合になっており今回の試験の異常さを物語っていた。


(どうか、合格してますように…もし筆記なんかで落ちてたりしたら…)


王「これで無事元の世界には変えれんな!ドンマイ」


グエン「君は今までなにをやってきたんだい?」


シルヴィ「罰として一週間食事抜きです」



「ひいぃぃぃぃぃ」


妄想が広がり思わず声が漏れ出る。突如サイレンのように鳴り響いた音色だったが周囲の人間は見て見ぬふりを一貫していた。


ガチャ


入室してきたのは今までの係員とは一線を画す雰囲気を身にまとった金髪のロング髪の美しい女性だった。


「只今全ての受験者の採点が終わりました。筆記試験についてですが1名のみ不合格となりました」


突然の訃報を受け固まる小夜


小夜(あっ…終わった)


一同(あっ…あの子だ)


「不合格者はネルソン・トム・アーサー様です。どうぞこちらからご退出下さい」


小夜(誰だよ)


一同(誰だよ)


すると筆記試験で唯一の脱落者となった彼は静かに席を立つと一言呟き退出する。


「これも、運命…か」


バタン


「……………」


(よ、よし、とりあえず合格できた!!)


こうして小夜は事なきを得た。


「では改めまして皆様第二次試験合格おめでとうございます。これより早速ですが最終試験へと移らせて頂きます。」




そして参加者46人の一瞬のようで永遠のような最終試験が幕を開けた。




ーーーーーーーーーーーーーーー



ギルド本部 採点係



 大量に積み重なった用紙を並べ数十人のギルドの受付嬢が第二次試験筆記の採点を行なっていた。



「全く!!こっちも暇じゃないていうのにどうして毎回、毎回こんな膨大な数の採点をしなくちゃならないの!?」


若いギルドの受付嬢が嘆く。


「まあまあ、これも国のため世界のためと思えば!!」


後輩のギルドの受付嬢がなだめる。


「…そうよね、世界のためだもんね!そう思えばやる気出てきたわ!」


「その意気です!先輩!!頑張りましょう!!」


彼女達はお互いを励ましながら約2000人分の採点と向き合う。



3時間後



コンコン


ドアを、開けて入ってきたのは演習場前で門番をしていた大柄の男だった。


「こっちの試験が今終わった…大変申し上げにくいんだが…その…合格者は46人…だ」


受付嬢達 「は?」


集計後


「しかも…1人落ちてるし…」


          

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