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第13話 最初はオマケ

小夜は、受付時にもらった組分け票を確認し自分の試験会場に向かっていた。周りの参加者もぞろぞろと所定の場所へと流れていく。

 第一試験は規定通り一般的な魔法知識や外の国の名称などおまけ程度のものであり、基本的に本番は第二試験からで第一と第二の試験の合計で一定の水準に達していれば合格となっている。

 そのため第一試験はほぼ落とすことは許されず約9割の正答率が必要となる。裏を返せばそれぐらい易い問題なのだ。転移者である小夜を除いては…

 彼女の場合、知識は愚か、この世界の読み書きからシルヴィを通して教わったためどうしても他者とは次元が違うスタートとしかいえなかった。

 それ故に1ヶ月の大半を勉学に要していたのだった。


後に冷煎小夜はあの時のことをこう語っている。


「いやあ、地獄でしたね。だって勉強しようにも文字が読めないんだもん。え?それなのになんでたった1ヶ月で読み書きと知識を身に着けたかって?うーんあなた達はわかっていないあのイオンさんという人物をー」


小夜は自室の椅子に腰掛けてこちらを小馬鹿にしたような表情で左手を横に振っていた。


「…食事を抜きにするって云ったんですよ。これくらいの分厚い本を見せつけながら…冷徹な表情で」


すると小夜は何故か驚いた顔でその分厚い本の厚みを両手で10センチほどのすき間を作り連想させる。


要するに、シルヴィは食料を人質にして小夜を飼い慣らしていたのだった。


 そして小夜と他の参加者達は講義室のようなところに案内され、何枚かの用紙が配られ、試験を開始する。

 教壇には1人だけ監視員の男が配属されているが特に警戒している様子はなく欠伸をしながらただ時間が過ぎるのを待っているという感じだった。

 もしかしたらカンニングも容易なのではとも考えた小夜だったが、バレた時の処罰とそれが原因で世界に終焉が来ることになっては居た堪れない。

 小夜は恐る恐る、用紙を裏に返し問題を確認する。

すると以外にも持っていた羽根ペンが進んでいく。


(あっ…ここ…進◯ゼミでやったところだ!)


 実はシルヴィは以前から転移者がここが鬼門だと察しておりこんなこともあろうかと、転移者用の簡易マニュアルを夜なべで制作していたのだった。

 そんな優秀すぎる一メイドに小夜は心から敬意と感謝を感じ、帰ったら必ずお礼を伝えようと思った。

 

 (ありがとう…イオンさん)



そして試験が終了する。何とか全て空欄を埋めた小夜は大きな伸びをする。それと同時に次の試験のアナウンスが講義室に響く。


「皆様第一試験お疲れ様でした。続きまして、第二試験を開始させて頂きますので係員の指示に従ってギルド演習場までお越しください」


放送が終了するやいなや周りにいた受験者がざわつく。


「…いよいよ、本番だな」


「ああ、最近はこの能力実技からも合格基準が上がってるらしい…万全の状態で挑まないとここで終わりだ…」


次の集合場所が伝えられると皆真剣な面持ちで講義室を後にする。


(えぇ…私筆記も結構ギリギリなんだけどなぁ……あれ?もしかして落ちる?)


小夜は1人残った空教室で暫く青くなっているといつの間にか誰もいないことに気付いた。


「…ってええっ!?みんなもういない!?急がないと!!」


そして遅れてアナウンスがあった演習場へと向う。


「やばっ…もう始まってるかなぁ」


係員の姿も見当たらず小夜があたふたしながら必死に演習場の道を探していると建物の角から何かが飛び出し激突する。


「うわっッッ!!」


小夜がぶつかったのは人であった。いや人とはちょっと違った特徴があった。赤黒の髪の先からピンととんがった耳が生えていた。


「…いてて…あの…すみません…大丈夫ですか?」


尻もちをついた小夜が頭をさすりながら向こうをみる。

すると黄色い目をギンッと光らせ静かにこっちを見る少女が小夜と同じく尻もちをついていた。

 服は灰色の布を覆った状態でよくわからなかったが所々破れており、少女自体にも黒い汚れが目立っていた。

 暫く2人は無言で見つめ合っていたがたまたま近くにいた係員が2人をみつけ声をかける。


「君たち、もう試験が始まるぞ。ほらあっちの建物だ」


それを聞くと獣耳の少女は八重歯を見せ軽く舌打ちをした後、無言で会場へと走っていった。


小夜もすぐ立ち上がり係員にお礼を云うと続いて会場へと向かった。



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