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Part24 ショカン山ダンジョン攻略 その6

Part24 「ショカン山ダンジョン攻略その6」


「リリッカさん大丈夫っすか?」


「ああ、心配ねえよ、リズのヒールが効いている。」


「無理できませんことよ、肋骨が4本も砕けていました、ヒール魔法で形だけは整えましたけど、ちょっと無理すれば同じところが折れてしまいます。」


「成程、4,5日は様子を見たほうが良さそうっすね。」


「すまねえな、とんだドジふんじまって。」


あの巨大なミノタウロスの戦斧の一撃、リリッカさんだからあれで済んだけど、僕なら確実に死んでいた、近接戦をリリッカさん一人に頼るのは負担が大きいようだ、やはりタンクが必要かな?


「ともかくゆっくり静養してください。」


☆☆☆☆


僕はシャルさんとマスケギルドに顔を出していた。大勢のやじ馬が僕たちの戦利品、巨大なミノタウロスの角の前に集まっていた。


「凄い角だなこりゃあ、あの勇者も本物かねえ?」


「勇者はともかく、“紅蓮”のリリッカと“天変地異”のシャルロッテがつるんでいるんだ、これくらいじゃ驚かないよ。」


相変わらずの、やじ馬達の勝手な言いぐさをしばらく聞いていると。


「よう勇者さん、凄い角だねえ。どうだい、売り捌きはこのシャイロックさんに任せてみないか?」


「えっ?」


「勇者さんも知ってのとおり、ミノタウロスの角ってのは軽くて丈夫見栄えも良い、兜の脇立として人気でよ、勇者さんたちの獲物は間違いなく一級品だ、良い値が付くぜ。」


「はあ?」


「どうでえ、このシャイロックさんがうんと高値で売ってきてやるよ、俺の取り分は、売値の5分でいい、悪くねえ話だろう。」


「いえせっかくですが、僕たちはこの角を売るより有効な使い道を考えているので。」


「そうかい、まあ気が変わったら声かけてくんな。それより勇者さんこっちが本題だ、例の浮いている奴だが、10人程でマスケに表れ、6人がショカン山ダンジョン探索に向かったが帰ってこない、一緒に来てダンジョン探索には行かなかった連中の中に、右耳にピアスの後が4つ残っている男が居たってえ話だ、興味あるかい?」


「ありますねえ、もっと詳しくお願いします。」


僕は金貨を数枚シャイロックさんの懐へ突っ込んだ。


「勇者さん分かってるねえ、そうかあんた達タカスカの町から来たんだもんな、何か因縁があるのか?そうだよ黒禍団の頭によく似てっるて話だ、あいつら変なんだ普通これからダンジョンだって時は、情報を求めるもんだろう、なのにあいつらそんな風には見えなかった、仲間が帰って来ないって時もそうだ、仲間の消息を気にする風もない、何する風でもなくいきなり姿を消しやがった。」


「つまり今も所在不明という事ですか?」


「ああ、そういうこった。ピアス野郎はカルミネ・クロッコと名乗ったそうだが、本名かどうかもわからねえ、こっから先はどんだけ情報が集まるかわからねえが、このシャイロックさんに任せときな。」


「宜しくお願いします、それからダンジョンから帰って来ない人たちって何か情報はないのですか?」


「ああ、顔見知りもいない、死体を見たやつもいない、全くの正体不明だ、奴らの中の一人が、ハカデタギルドから来たって話だが、たまたま長くハカデタの町に居たってい言う野郎がここに来ててよ、ちょっと当たってみたが、全く知らない野郎だっていう話だ。」

「まあ、ダンジョンの入り口付近の目撃情報は有るけど、どこまで潜ったのやら全く分からねえ、今頃はモンスターの餌になっちまっているだろうな。」


「成程有難うございます、良い情報には引き続きお代を支払いますのでよろしくお願いいたします。」


「おう、あんたは情報の価値がよくわかっている様だからな、このシャイロックさんに任せときな。」


シャイロックさんは口元に笑みを浮かべ、雑踏に中に消えていった。


「あ奴め、言うほどの情報はなかったのう、あ奴に期待するだけ無駄ぢゃな。」


「まあまあ、そういわずに、黒禍団の首領、ダンジョンに向かった組は見つかっていない、これが大事な情報っす。」


「そうかのう?」


☆☆☆☆


その夜また僕たちは宿舎で作戦会議をした。


「ホントかよ、黒禍団の首領が居たっていうのは!」


「シャイロックさんの情報によれば、かなり濃い線だと思われるっす、カルミネ・クロッコと名乗ったそうっすが、本名かどうかもわからないっす。」


「勇者様、陰の組織の応援をこの地に呼び寄せることをお許しください、この件は捨て置けません。」


「そうっすね、宜しくお願いするっす。僕たちは素知らぬ顔でダンジョン探索を続けるっす。」


「御意!」


☆☆☆☆


僕達はショカン山ダンジョン探索を再開させ、数日が経った、ベースキャンプから延びる道もあと2本である。


「さてそろそろ何か出そうっすね。」


「そうぢゃのうミノタウロスを倒しても怪しげな気配に変化がない、そろそろ本命がでそうぢゃのう。」


今日の枝道に分け入って3時間ほどが経過した。


「ダンナこれを見てみな、足跡だぜ。」


「何者かがここまで出入りしていたという事すか?」


「それにしては変だなあ、途中完全に人の気配は消えていただろう、なのにこの足跡まるで素人だ、ここまで完全に気配を消していたにしては無防備すぎる。」


「むう、オーアール殿ちょっとこれを見てもらえないかのう。」


シャルさんが指示した地面には小さな魔方陣が描かれていた。


「ふむ、これはテレポート魔法であります、自分は魔方陣は使わないのでありますが、この魔方陣は間違いなく、テレポート魔法用であります。」


「つまり何者かがテレポート魔法を使い、この先へ出入りしていたという事っすか?」


「それも不思議であります、テレポート魔法は軍事目的に非常に有効な魔法であるため、使える者はすべて国に登録されているであります、自分の知る限りこの辺りには自分一人のはずであります。」


「何者なのかは、行ってみないと判らないという事っすね、行ってみましょう。」


程なく、一本道は明らかに居住空間と思われる、一画にたどり着いた。


大音響と安っぽいディ〇ニー的な視覚効果と共に、巨大で異形な人影が現れる。


「我こそは大魔王バロールである、わが玉座の間を犯そうとは何者ぞ。」


「おい、ダイマオー焼き入れてやるから、ちょっとこい!」


「へっ?」


「よくもまあ!バロールなどと名乗ったのう、どこの三下か知らぬがとにかくこっちへこい!」


「いやっ、あの、その。」


急に3分の1ほどに縮み、僕と同じほどの体格となった自称大魔王はひどく狼狽している。


「ふむ、取り敢えずは人間ではないのう、誰の使い魔か知れぬがとにかく名を名乗れ。」


突如として“紅”が一閃し、自称大魔王が隅へ転がる。


「いっでえ!」


「ふ~ん、切れねえ?腕の一本ぐらい切るつもりだったのだけどなあ?」


「ほれ、五体満足なうちに素直になるもんぢゃ。」


「……」


「リズよ、シャイロックから買ったクリスタルの出番ぢゃ。」


リズさんが左手にクリスタルを握り大きく振りかぶる。


「妖異退散!悪霊退散!悪魔退散!」


「ぐっぎゃー!」


「次は本気だぜ。」


リリッカさんが“紅”を正眼に構える。


「私はアンラ・マンユ様の配下でババ・ザネティです!助けてくださいお願いです。」


「それで、ここで何をしていやがる?」


「いや!なにも…はい。」


唐突に商人風の怪しげな男が現れる、丸くて黒いレンズのサングラスをかけ、両手で揉み手をしながら、にへら~と笑っている。


「直々のご指名痛み入ります、シャルロッテ様、やつがれに何用でございますかな?」


「おう、アンラ・マンユ殿、用というのはぢゃな、そこの三下の口に潤滑油を差してほしいのぢゃ。」


「これはこれは、ババ・ザネティではありませんか、お前が私の下を飛び出していったのは、かれこれ2千年ほど前になりますかねえ?」


「ひっ、大魔王様…お許しを。」


「ババこちらの皆様の知りたいことをすべて話しなさい、嘘はいけませんよ、嘘をついたらその両腕を引き千切りますよ。」


急に饒舌になったババ・ザネティはまず、デアリスさんについて喋りだした、デアリスさん行政官になった時ライバル視された3人の貴族たちを殺めたこと、どうせ寿命が尽きていた人たちであったから簡単な仕事であったこと、さらに当時行政官はデアリスさんに決まっていて貴族の建前として老人3人を候補に挙げただけだったこと、ババは勝手にその3人を殺めデアリスさんの為に働いたと嘘を吹き込み、そのことでババはデアリスさんに弱みを握ったと思い込ませ、利用したとべらべらと得意げに喋った。


「あのデアリスは腰抜けで、自分のライバルを殺す決心もつかないくせに、俺の頼みをやれ道義がどうだとか、民の為にならないなどと訳の分からないことを言いつのって、いちいち逆らうのでいい駒じゃないんです、あんな奴くれてやりますので好きにしてください。」


次にババはカショギさんについて喋りだした、カショギさんは若いころ自分が奉公している店のお嬢様に恋をし、ババの「惚れ薬をくれやる。」との甘言に乗ってしまったこと、そしてお嬢様と結婚が叶い店を継ぎ商売を大きくしたことをべらべらの喋った。


「カショギの奴は意気地なしで、惚れた女を口説くこともできなかったですよ、惚れ薬なんてありもしない物に騙されやがって、元々そのお嬢さんがカショギに惚れていただけなのを利用しました、簡単な仕事だったんですよ、でもあいつは気が小さくて、俺の頼みを商売の信義に反するなどと一々反対しやがって、いい駒じゃないんです、あんな奴くれてやりますので好きにしてください。」


次にババはホッカ国の貴族トーマス・スタンリー・ギネスついて話し出した、トーマスは軍事について才能に恵まれながら、貴族の3男で出世の見込みがないと不平不満を抱えていた、そこでババはお前の出世の道を敷いてやると近づき、手駒にしようとしていること、その出世の道のため勇者と呼ばれ、王女と結婚したこの僕を亡き者にしようと画策したことをべらべら喋った。


「もうちょっとで上手くいきそうなんです、そうだ魔王様そこの勇者とその仲間を殺っちゃってください、そうしたら全て上手くゆきます。」


「ぐっぎゃー…」


突然アンラ・マンユがババを殴り飛ばした、アンラ・マンユの拳が一瞬10倍ぐらい大きくなったように見えた。


「ババ、奴がれは今こちらのシャルロッテ様の異空間に住まわせて戴き大変お世話になっているのですよ、それをよくもまあ。」


「シャルロッテ様、勇者様、奴がれの使い魔が大変なご迷惑をおかけしたようです、いかように償いましょう。」


「そうっすね、ババはあなたが傍に置き監督してください。」


「それだけですかな?」


「はい、僕らが考えるどんなお仕置きよりもババにとっては骨身にしみると思います。」


「まあそういう事でしたら、この魔王アンラ・マンユどこまで残忍なれるか、このババで試すのも一興ですな。」


「ところでもう一つ教えてください、テレポート魔法はあなたですか?何のためですか?」


「いやその、デアリスやカショギに酒や食料を運ばせるためでして、怪しい目的は有りません。」


「ほう、本当ですか?」


「はい、いや…その、はい。」


「ふう、まあ良いでしょう。取り敢えずもう二度と僕たちの前に現れないこと、これで許してあげます。」


「しかしそれでは奴がれの気がすみません、これを皆様のお役に立ててください。」


アンラ・マンユは自らのネックレスを差し出す、黒い丸い石が付いた美しいものだ。


「良いのかアンラ・マンユ殿?これは貴公が最後まで手放さなかった大事なものではないか?」


「はい、ですからお貸しするだけですよ、期限はシャルロッテ様と勇者様の寿命が尽きるまでとしましょう、なあに奴がれにとってほんの短い間です。」


アンラ・マンユのネックレスの黒い石から突然女性が飛び出した。


「魔王様!この俺っちを人間ごときに貸し出すってどうゆうことだ!」


「聞いてのとおりです、ムーシュ・バリガーこちらの皆さんを誠心誠意お守りしなさい、それがお前の使命です、いいですかしかと申しつけましたよ。」


「こいつらが死ぬまでだろう、じゃ俺っちが今パパっと殺っちまえばいいんだろう。」


また、アンラ・マンユの拳が10倍くらいに見えた。


「いっでえ~!くう~」


「この者はムーシュ・バリガーと申しまして、奴がれの使い魔ですが、この通り極めて頑丈で、抜群の挑発能力を持っており実に優秀なタンクです、きっとシャルロッテ様と勇者様のお役に立てるものと確信しております。」


僕はムーシュ・バリガーをよく見てみた、姿は艶やかな女性そのものだが、肌の色が黒い、シャルさんとはまた違った健康的な赤銅色だ、そして髪と瞳は漆黒である、身長はリリッカさんよりも高く僕とほぼ同じ、その体つきはたおやかで妖艶、かなりセクシーであるが、両側頭部から生えた漆黒の角が顔の前まで生えている。何より恐ろしいのは鑑定スキルが全く効かないことだ。


ガキッと凄まじい音がして、“紅”がムーシュ・バリガーの右肩に打ち込まれた。


「か~、いっでえ~!なんだその剣反則じゃねえのか?」


「ふ~ん、切るつもりだったんだけどな。」


「魔王様やっぱりいやだ、こいつら本当に俺っちを殺しかねねえぜ。」


「いう事を聞きなさい。」


又アンラ・マンユの拳が10倍に見えた。よろけたムーシュ・バリガーの方からキラキラ光る指輪が僕の方に転がってきた。


僕は指輪を拾いムーシュ・バリガーの方へ差し出した。


ムーシュ・バリガーは左手を指輪に差し出した。


指輪はムーシュ・バリガーの左手の薬指にすっぽりと嵌ってしまった。

盛大なファンファーレと共に、花びらまで降ってきて。

≪ご成婚おめでとうございます≫と何処かの誰かに祝福されてしまった。


「ダンナいい加減に学習してくれよ。」


「ムーシュなぜあのようなものを持ってい居たのですか?」


「いや魔王様、ベルゼバブ様に俺っちもいっぱしの悪魔に取り立ててもらおうと思って…」


今度のアンラ・マンユの拳は15倍くらいに見えた。


「ムーシュは勇者様と浅からぬ縁があったようですな。」


「ご主人様、私納得できませんわ、悪魔となんて!」


「リズさん、悪人正機という言葉は知っていますか。」


「いえ、なんですのそれは?」


「善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや。つまり人は自分を悪人と知り、悔い改めて天国へ行くという事です、悪魔を悔い改めさせて、神の御使いにすることが出来たら素晴らしい事だと思いませんか。」


リズさんの目がキランと光った。


「ムーシュさん、私が神の御膝元へご案内してあげますわ。」


「いやだ、それはいやだ!」


マリエッタはすっかり退屈して、床に座り一人遊びしていたが、すくっと立ち上がりムーシュの頭をなでだした。


「ムーシュちゃんいい子いい子。」


「わかったお前たちについていく。」


「何とか収まったすね。」


「亭主殿随分都合のいい言葉を知って居るのう?」


「いやホントはもっと違う意味なんっす、ちょっと捻じ曲げたっす。」


「WWWWなんにせよ、一件落着ぢゃ。」


「ともかく帰るっす、疲れたっす。」


……


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