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『2ヶ月目』


今日は朝から雨が降っていた。


外は薄暗く、窓を叩く雨音に終わりは見えない。薄汚れたガラスを通して海を見る―――いつもより波は高く、白い飛沫も岩肌の上を飛び交っていた。


灯台守の仕事を始めてから何度も経験していたたが、この風景は嫌いでは無かった。

子どもの頃は台風が来る度にちょっとした高揚感を感じていたものだ。雨に濡れながら外を駆け回れば風呂に入らなくても済むと思っていたり、風に乗って飛ぶことが出来るのでは無いかと考えた事もあった。


随分と想像力豊かな子どもであったのだろう。

おかげで両親を困らせるような事もあった気がする。何度も怒られては懲りない自分がいた。


今では遥か昔の出来事。

若さがあったからこそ、無謀な事が出来ていたに違いない。


「‥‥‥‥‥‥得たものはいくらかの金と年だけか‥‥‥」


窓に映る老いた自分を嘲笑う。

子ども時代を羨むくらいに堕ちてしまったのかと。


家庭を持つ人間であれば、自分の子どもの成長を願い、老いた後の生活に楽しみを見出そうとする筈。

自分のように独り身だからこそ過去を懐かしみ、価値あるものを擲《なげう》ったという後悔を噛みしめる。


―――前者は未来を、後者は過去に囚われる。


どちらに生産性があるかということは明らかである。


「‥‥‥随分と無駄にしてきたものだ‥‥‥」


意味の無い自問自答を止め、時計を見る。

今は17時53分。定時連絡は18時。

何も無ければ1分もかからず報告は終わる。


―――何も無ければ、だが。


「‥‥‥‥‥‥?」


霧がかった水平線にぼんやりとした影が見えた。雨とはいえ、仕事で沖合に出ている船はいくらでもある。船の一隻くらい不思議では無い。ただ、その影に強い違和感を感じていた。


「は、帆船‥‥‥?」


見間違いかと思ったが、明らかに縦に帆が張られているとしか思えなかった。

窓際のデスクに近寄り、双眼鏡で様子を確認する。雨や霧で見えにくいが、くすんだ色の帆が張られている。しかも船も木造にしか見えない―――見間違いでは無かったのだ。


「‥‥‥‥‥‥こんな時代にありえないよな‥‥‥」


飯島は考える。普通の船であれば救難信号を出していない限り、こちらから手を出すことは無い。陸地にある監視施設では常に領海を見張っているためだ。異常があれば灯台にも連絡が来る手筈となっている。

ただ、灯台守の仕事についてからそのような大事には遭遇したことは無かった。実にありがたい事ではあるが、こういった突発的な場面に遭遇してしまった時は判断に迷ってしまう。


「‥‥‥いや、報告が必要だ」


答えは直ぐに出た。

海において重要な船舶は航行不能になったものだけではない。他国による領海侵犯の可能性もあるためだ。目視で最初に発見したとは考えにくいが、万が一の事を考えると静観している場合では無かった。


飯島は定時連絡を前倒しにして陸地の監視施設へ連絡を入れる。短いコール音の後、電話の向こう側と繋がった。


【こちら菅野です。定時連絡でしょうか?】


「いえ、それとは別件です。17時53分頃、沖合に‥‥‥その、帆船のようなものが見えました‥‥‥」


【帆船、ですか‥‥‥?‥‥‥分かりました、こちらでも調べてみます。引き続き監視をお願いします】


「承知しました。何かありましたら報告させて頂きます」


【お願いします】


連絡を終える。分かった事があれば連絡が来るだろう。その間、身元不明の帆船の動向を監視しなければならなかった。


「国から逃げ出した人間か?」


昔から海を渡って国の中へと侵入する人間はいた。理由は様々だが、いずれにしても必要に駆られた結果であることが多い。

飯島はその手の類かと考えながら双眼鏡で監視を再開する。


「‥‥‥いない?‥‥‥雨に紛れたか‥‥‥」


最初に目撃した付近をくまなく探すが、帆船の影も形も見当たらない。

先程、双眼鏡を通して見たものは見間違いでも幻覚でも何でも無い。正真正銘の帆船であった。


「なんでいなくなるんだよ‥‥‥」


双眼鏡で当たりを見渡しながら舌打ちをする。

見失ったかと落胆するが、報告した以上は監視施設から何らかのアクションがある筈。

注意深く監視を続けながら、電話が鳴り響くことを期待して待っていた。






【ジリリリリリリリリリリン―――】






「っ!?‥‥‥何か見つかったのか」


電話が鳴り響く。慌てながらも双眼鏡をデスクに置き、受話器から電話を取る。


「はい、飯島です」


【こちら菅野です。先程の目撃情報について確認したいことがあります】


「確認?‥‥‥それは一体なんでしょうか」


【単刀直入に言います‥‥‥こちらからは帆船はおろか、近海を航行している船の存在は確認出来ませんでした】


「‥‥‥‥‥‥私は確かに‥‥‥」


【分かっています‥‥‥貴方は確かに目撃したのでしょう‥‥‥今、そちらから帆船は確認出来ていますか?】


「‥‥‥いえ、最初の連絡の後、直ぐに監視に戻りましたが、その時には姿を消していました‥‥‥」


【そうですか‥‥‥では、引き続き監視をお願いします。定時連絡は通常通り行って下さい。ただし、異常があれば直ぐに連絡を】


「承知しました‥‥‥では、これで‥‥‥」


【はい‥‥‥では‥‥‥‥‥‥】


通話が途切れるかと思った直後、先方が少しだけ慌ただしくなる。

何かあったのだろうかと思っていると、電話口から飯島を引き留める言葉が聞こえてきた。


【いえ、待って下さい‥‥‥申し訳ありませんが、そのまま少し待っていてもらえますか。職員の1人が貴方に話しがあるそうです】


「話し、ですか‥‥‥?」


訝しんでいる間に電話口の相手が変わる。先程よりも年齢が上の男。言葉遣いは丁寧だが、叩き上げの人間特有の気安さが感じられた。


【‥‥‥‥‥‥っあ、あー‥‥‥突然申し訳ありません。私は高野と申します。貴方に伝えておきたい事があり、電話を代わってもらいました】


「あ、はい‥‥‥伝えたい事とは?」


【今日は決して外に出ないで下さい‥‥‥絶対にです】


「‥‥‥それはどういう意味でしょうか?」


【言葉通りです。この天気なので陸地からは船を出す事はありません。ですので、関係者を名乗る人間が来ても、私達とは一切関係の無いものと考えて下さい】


「申し訳ありません‥‥‥私には仰る意味が分からないのですが‥‥‥」


【それでは分かりやすく言いましょう‥‥‥過去に同じものを見た人間が行方不明になっています‥‥‥それも灯台を訪れたものがいると言い残して】


「‥‥‥っ」


【当時は行方をくらませるとは思ってしませんでした‥‥‥分かっている事は、その時の灯台守が”助けを求める人間がいるので、灯台の中で一時避難させる“と最後に連絡を残しているという事だけです】


「‥‥‥分かりました。明日の朝まで灯台の外には一歩も出ないようにします」


【ご理解して頂き、ありがとうございます】


通話を終える。

飯島は深く溜息を付き、ソファへと戻る。

今の彼には帆船の監視を続ける力は残されていなかった。


「‥‥‥暫くは何も無かったのに‥‥‥忘れた頃になって、こんな不可解な事が‥‥‥」


1ヶ月前の事を思い出して悪態をつく。

昔から水辺は良くないものを引き寄せると言うが、こうも不可解な事が続くと嫌になってしまう。長年、得体の知れないものよりも人間の方が怖いと思っていたが、この年になって同じくらい恐怖を感じるようになるとは思いもしなかった。


気を紛らわせるためにラジオに手を伸ばす。思いがけず強い衝撃を与えてから少し調子が悪くなってしまったが、それでも十分使用に耐える。


「‥‥‥」


1ヶ月前の事を思い出すとラジオの電源を入れることに躊躇してしまうが、今は少しでも人の気配を感じていたかった。

僅かな逡巡《しゅんじゅん》の後、ラジオの電源を入れる。






【ブツッ ザァーーーーーー】






【ーーーーーーーー】






【ーーーズーーーー】






【ーーーーザザーー】






【ーーーーーーーー】






【ーーッザァーーー】






【ーーーーーーーー】






【ブツッ】






【―――が育てた無農薬野菜を使用したワンランク上の健康食品”大地のエメラルド“を、今なら特別価格でご提供中。1箱12袋入のものを―――】






【なんァァザァーーーーー】






【ブツッ】






【であった―――元久は手に持っていた猟銃を熊に向ける。火薬の匂いを知っていた熊も同じ気持ちであったのだろう。獲物が抵抗を見せると悟った瞬間、後ろ足に力を溜めた―――獲物は既に視界の中に入っている。一呼吸の間に―――】






「‥‥‥‥‥‥」


BGM代わりになりそうな番組に周波数を合わせる。飯島にとって通販番組よりも、読んだことの無い小説の朗読を聞いていた方が耳心地が良かった。


再びソファに背中を預け、両手を頭の後ろに回す。色あせた蛍光灯と無機質な天井を眺めながら、その更に向こう側には灯台の照明が今もなお勤勉に働いていると考えると、少しだけ気が楽になった。


ここには電気が通じている。いざとなれば電話越しに人の声を聞くことも可能―――決して忘れ去られた場所では無いのだ。


「‥‥‥慣れてきたとはいえ、流石に心細い気持ちにもなるか、しかし、俺が人恋しいと思うなんてな」


無機物に人の営みを見出し始めた自分がいることに気が付いた。同時に、数ヶ月前までは煩わしいと思っていたものに対し、再び興味を持ち始めた自分を自嘲する。こればかりは死ぬまで治らないと思っていただけに、決して小さくはない驚きがあった。






【―――熱を帯びた猟銃をゆっくりと下げる。元久の視線の先には、命の遣り取りを交わした獣の身体が横たわっていた。空になった薬室に銃弾を装填し、油断なく銃口を向けながら慎重に近づく。獣の体毛は未だに興奮を携えていた。しかし、それも後数分でェアーザァーーーーーー】






【ザザーーーーーーーーーー】






「また電波が‥‥‥」


ラジオから流れていた音声が、突然ノイズに変わる。電波が入りにくくなったのかと考え、ラジオを手に取る。


一瞬だけ横目で窓の外を見るが、相変わらず曇り空のまま。雨粒が窓ガラスを絶え間なく叩いていた。

天候のせいで電波が入らないのかと見当違いな事を考えながら、アンテナや位置を調整する。






【ーーーーーーーーーーーー】






【ーーーーーーーーーーーー】






【ーーーーーーーーーーーー】






【ブツッーーートントントン―――】






ざらついたノイズが続いた後、周波数が合致した時の音とともに聞き覚えのある音が流れ始めた。


「これは‥‥‥信号音か?‥‥‥‥‥‥まさか‥‥‥」






【トントントン ツーツーツー トントントン】






【トントントン ツーツーツー トントントン】






「‥‥‥救難信号」


直ぐにモールス信号である事に気が付く。何故なら馴染みの無い人間であっても聞いた事がある拍子を刻んでいたからだ。


トンという短い音が3回、ツーという長い音が3回、再び短い音が3回。

これは万国共通の救難信号―――SOS(助けて)を表すものであった。


「連絡は‥‥‥いや、そもそもラジオから流れている点もおかしい」


反射的に監視施設に繋がる電話と緊急用の無線機を見るが、そのどちらも反応は無い。

そもそも救難信号が公共電波に乗るとは考えられなかった。






【トントントン ツーツーツー トントントン】






【トントントン ツーツーツー トントントン】






【トントントン ツーツーツー トントントン】






音は続く。だがこれは判断に迷うものであった。

正規の救難信号であれば監視施設が受信する筈。しかも現在では人工衛星を介したものが主流となっているため、わざわざモールス信号を使う必要性は薄い。


「‥‥‥どうしろってんだよ」


誰が、誰に向けて助けを求めているのか分からないこの状況。飯島は気味の悪さを感じながら、ただ呆然とラジオを見つめる事しか出来なかった。






【ブーーーーーーーーーーー】






「なっ、何だ!?」


突如鳴り響くブザー音。

驚きのあまり、痙攣したかのように身体を跳ねさせた。






【ブーーーーーーーーーーー】






2度目のブザー音。

故障や偶然では無く、明らかに人為的なものを感じていた。

飯島には聞き覚えのあるものであったが、これは灯台を訪れた人間が管理者を呼び出す為のブザー。呼び鈴のようなものである。


―――雨の中、この灯台を訪れた者がいるということに他ならない。


「誰なんだ一体‥‥‥っ」


驚かされた事に対して苛立ちを感じつつ、ソファから腰を浮かした所で思い出す。


『今日は決して外に出ないで下さい‥‥‥絶対にです』


「っ‥‥‥はぁぁぁ‥‥‥」


背中に冷たいものが流れる。

”これだ“と直感的に感じ、そのまま動く事も座る事も出来ずに固まってしまう。






【トントントン ツーツーツー トントントン】






【トントントン ツーツーツー トントントン】






【トントントン ツーツーツー トントントン】






―――ラジオは救難信号を垂れ流す。






【ブーーーーーーーーーーー】






―――3度目のブザー音。






【トントントン ツーツーツー トントントン】






【トントントン ツーツーツー トントントン】






【トントントン ツーツーツー トントントン】






耳障りな信号音と急かすかのようなブザー音。

騒音とまではいかなくとも、極度の緊張で過敏になった神経を逆撫でするには十分な刺激であった。


「頭がおかしくなりそうだ‥‥‥」


血圧の上昇とともに額とこめかみに僅かな痛みを感じる。

海の仕事に携わっている手前、救難信号を消すかどうか迷っていたが、それも我慢の限界。

気が付いた時にはラジオの電源を切っていた。






【ブツッ】






波の音だけが響く、いつもの静寂に戻る。

一瞬、夢でも見ていたのかと思ったが、その淡い期待は直ぐに裏切られる事になる。






【ドォンッ!!】






「っ!?」


4度目のブザーの代わりに、力任せの打撃音が響き渡る。

思わず部屋を飛び出し、階段の踊り場の柵にしがみつきながら灯台唯一の出入り口を見下ろした。






【ガチャガチャガチャガチャガチャ】


【ガチャガチャガチャガチャガチャ】


【ガチャガチャガチャガチャガチャ】


【ガチャガチャガチャガチャガチャ】


【ガチャガチャガチャガチャガチャ】


【ガチャガチャガチャガチャガチャ】


【ガチャガチャガチャガチャガチャ】


【ガチャガチャガチャガチャガチャ】






打撃音の次はドアノブを我武者羅に動かす音が続く。

その勢いは、扉を壊してでも中に入るという強い意思が感じられた。


「止めてくれ‥‥‥頼むから、入ってくるなよ‥‥‥」


懇願するかのように階下の扉を見続ける。もしも扉が壊された場合、次に壊されるものが何であるかは明白であった。

しかし運は飯島に味方する。狂ったように金属は上下するが、鍵は侵入者を防ぐという役割を全うしているようであった。

扉自体が荒れる海風に耐えられるように設計されているため、まず破壊されることは無いだろう。






【ガチャガチャガチャガチャガチャ】


【ガチャガチャガチャガチャガチャ】






【―――ガチャン】






「‥‥‥‥‥‥諦めたか?」


狂ったように音を立てていたドアノブの動きが止まる。

降りてまで確認する気は無いが、扉の向こうにいるものが離れたような雰囲気があった。






【ブツッ ザァーーーーーー】






「!?」


部屋の中からラジオの音が聞こえて来る。

しかし信号音はおろか、ラジオ番組の音声が流れている訳でも無かった。


「呪われているんじゃないか‥‥‥」


半ば本気で思いながら、部屋に戻りラジオを手に取る。電源を確かめようとした瞬間、デスクの方からけたたましい音が鳴り響く。






【ジリリリリリリリリン―――ジリリリリリ】






「‥‥‥電話?‥‥‥まだ連絡の時間では無い筈‥‥‥何かあったのか」


不可解な現象に参っていた飯島は、ラジオの確認を後回しにして受話器の方へと向かう。

昂ぶった気を少しでも落ち着かせる為に、一呼吸置いてから電話を取った。


「はい飯島です。何かありましたか?」


【こちら 菅野 です。こちらから支給物資を送りましたが、そちらに届いているでしょうか?担当職員から飯島さんと接触出来ていないと無線で連絡があり、こちらでも確認を入れた次第です】


「支給物資‥‥‥‥‥‥今日、ですか?」


【何か問題でもありましたか?‥‥‥問題が無ければ、船着場まで来ていただけると助かるのですが‥‥‥】


「‥‥‥貴方は誰ですか?」


【‥‥‥第〇〇海洋監視局、海上通信士の 菅野 毅 です。以前も連絡をさせて頂いたと思いますが‥‥‥】


「今日はそちらからの職員は来ないと聞いていますが」


【‥‥‥誰がそのような事を?】


「高野という方です」


【‥‥‥申し訳ありません。そのような職員は当局には在籍しておりませんが‥‥‥】


「‥‥‥そうですか‥‥‥分かりました。ですが、私はこのまま待機を続ける事にします。後で叱責は受けますので、これで失礼します」


【‥‥‥】


一方的に通話を切る。

正直な所、電話口の指示に従いそうになったが、心の中のもう1人の自分がこの状況に警鐘を鳴らし続けていたため、素直に危機回避の本能に従うことにした。

たとえ今の話しが本当だったとしても、身の安全だけは保証されるからだ。


「解雇理由になるかな‥‥‥まあ、その時はその時さ‥‥‥」


受話器から離れ、部屋の外に出る。踊り場から出入り口の扉を見下ろすが、誰かが侵入した形跡は無い。再び部屋に戻り部屋の鍵を閉める。万が一の事があっても時間は稼ぐことが出来る―――実際は気休めにしかならないが、安心を得るためには必要な行動であった。


今度は窓際の方へと移動し、デスクの上に置いていた双眼鏡で外の景色を見渡す。

―――騒ぎが起きる前よりも雨風は激しくなっていた。


「‥‥‥いる筈が無いんだよな」


船着場の当たりを見るが、そこには船の姿は見えなかった。

そこで数分前に電話を掛けてきた人物は、自分に何かをしようと企てた存在であったと確信した―――指示に従っていたらと思うと背筋が冷たくなる。






【ザァーーーーーーーーーー】






「あ‥‥‥付けっぱなしだったか」


ようやくラジオの存在を思い出す。

勝手に電源が入った事を考えると、あまり触りたくも無かったが、そのままにしておくことも出来ない。今は不気味なものでも、普段は灯台守の無聊《ぶりょう》を慰めてくれる相棒である。あまり邪険に扱うことも良くないなと思いつつ、電源に手を添える―――






【ブツッ】






【トン ツー トン トン トン 】






【ツー トン トン ツー 】






【ツー トン ツー ツー ツー 】






【ツー トン トン ツー トン 】






【ツー ツー ツー ツー 】






【トン トン ツー トン 】






【トン トン トン 】






【トン 】






【ツー ツー ツー ツー 】






【トン ツー 】 






―――飯島は相棒を投げ捨てた。


床から響く、聞き覚えのある音とともに電源が切れる。


そこから先の事は覚えていない。

ただ、何事もなく翌日の朝を迎えた事だけは確かである。































【-・- -・ --・-・ -・・・ -・・- ・・-・ ・-・・ ・・ -・--- -・ 】 

 





【・--・ -・・・- -・ ・-  ・・・- ・・・ ・-  ・・- ---- ・・ -・-- ・-・ ・- 】






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