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神の吹かせる風  作者: わた
28/92

行動3

しばらくしてワープたちの元に戻って来たリフィルたちは、ある人物を連れていた。全身黒づくめの、ひどく無愛想な……


「ラインさま!?」


ワープは驚いて、ラインとリフィルを交互に見やった。なぜリフィルがラインを連れているのか、訳が掴めない。


セイルはラインの姿を認めると、明らかに不機嫌になった。


「なんであいつがいるんだよ」

ケットはそれほど顔色は変えなかったが、快くは思っていないようだった。なんだか自分のせいで彼らの仲を悪くしてしまったようで、ワープは申し訳ない気持ちになる。


唯一ワープの気を和らげてくれたのは、楽しそうに微笑んだままのアナだった。


「ラインも一緒に行くのかな?楽しくなりそうだね、ワープ」

「……は、はいっ。そうですね!!」


アナは安心させるようにワープに微笑みかけ、リフィルたちに視線を戻した。


リフィルはどこかいたずらっぽい表情をしてワープたちの前に立ち止まり、仏頂面のラインを押しやった。


「この子も同行させるけど、いいかしら?」


ラインはひどく不本意らしく、とことん嫌そうな顔をしていたが、祈りの巫女に口答えする気もないらしい。もしかしたら、祈りの巫女としてではなく、単にリフィルのような女性が苦手だからかもしれない。ただワープたちの返事を待っている。


「わ、私はかまいませんけれど。あの、リフィルさまはラインさまとお知り合いなのですか?」


ワープが驚きを隠せずに問うと、リフィルは意地悪い笑みを浮かべる。


「あなたが思うより、深い仲よ」

「え、あの……?」


(ど、どういう意味でしょう!?)


困惑するワープを尻目に、リフィルはセイルたちに向かって、


「あなたたちは、この子を連れて行っても文句ないわね?」


セイルは不服そうに鼻をならす。


「おれは嬉しくないけど。ワープが良いなら文句は言えない」


敬語すら使わないセイルを、リフィルはなぜか嬉しそうに見つめる。


「あなた、正直ねえ」


それからケットとアナに目を移し、


「あなたたちは?」

「俺もセイルと同意見です。我々の従うべきは、ワープですから」


ケットはあくまで冷静に言ったが、言葉の節々にまだラインを信頼していない響きが浮かんでいた。

リフィルはおかしそうにケットに笑いかける。駄々っ子をたしなめるようなその表情に、ケットは訝しげな顔をしたが、リフィルはかまわずアナに目を移す。


「あなたはどう?」


アナはにっこりした。


「ふたりと同意見ですよ。でも、少し僕個人の意見を言うと、ラインと行動するのは楽しそうです」


リフィルも嬉しそうに顔をほころばせる。


そんなことは意にも介さないように、ラインはつまらなそうに明後日の方向を向いている。リフィルは仕方なさそうに息をつくと、ツルハとリーンハルトに命じる。


「そろそろ行きましょう。とにかく細心の注意を払うのよ」


ツルハは丁重に、リーンハルトはどこか緩んだ動きで敬礼する。 ワープは緊張が込み上げ、ぶるっと身震いする。もともと人前に出るのは苦手な性質なのだ。そんなワープを、リフィルは穏やかに見つめる。


「ワープ、不安なの?」

「いえ、あの……」


ワープは少し迷った後、結局諦めて素直に認めた。


「はい……少し、怖いです」


スラム街の人々は、自分の施しを喜んでくれるだろうか。巫女という身分に守られている自分の独りよがりの行動を、温かく受け止めてくれるだろうか。

そんな思いを悟ったように頷き、リフィルはワープの頬に触れた。


「大丈夫。あたしが居るわ」


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