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第29話:(ギルバートSide)男の恋の真剣勝負

王冠陣奪戦(レガリア・クラウン)の練習期間。

あの瞬間、私は戦場に女神を見たのだと思った。

フィリア・レオンハルト――辺り一面が神々しい光に包まれた、その中心にいた銀髪の美しい少女。

精霊たちに祈りを捧げる、どこまでも透き通った声。

世の中にこれほど美しい人がいるのかと、私は一瞬にして彼女に心を奪われた。


身体を包み込む温かさ。誰よりも早く、どこまでも駆け抜けられる力を与えてくれた女神。

初めてあの光を浴びて戦場を駆け抜けたとき、私は確かに肉体の限界を超え、風と一体化するのを感じた。


しかし、心を奪われた理由はそれだけではない。

精霊に祈りを捧げる威厳に満ちた姿を見せたかと思えば、突如として自信なさげにおどおどと謝り出す、そのアンバランスさ。

誰の手にも届かない力強さと、この手で守りたくなる危うさ。

そのすべてを併せ持つ彼女に、私は狂おしいほど恋に落ちた。


私は、ギルバート・デッケル。中等部三年生で、騎士志望の学生だ。

父も祖父も騎士団長を務めた、代々続く騎士の家系の長男である。


私は練習期間中、一つの誓いを立てた。

必ずや決勝戦で敵の冠を奪取し、それを彼女に捧げて、この思いの丈を告白しようと。


しかし、肝心の我が女神は……試合ぎりぎりまで姿を現さず、試合が終わるといつの間にか煙のように消え去ってしまう。

そして、私ではない別の男性――フィリア嬢にあの圧倒的な神聖魔法を叩き込んだと噂される教師、エリアス・ヴァン・アリスのもとへと去っていくのだ。

練習中には一度も見せない、心底安らいだ笑みを浮かべてエリアス先生の背中にもたれて読書する彼女を見るたび、私の胸は張り裂けそうだった。

この女神にとって、エリアス先生は特別な男性なのだと、そう悟るには十分すぎる光景だった。


決勝戦。私は誓い通り、敵の冠の奪取に成功し、優勝を勝ち取った。

だが結局、思いの丈を告白することは、ついぞ叶わなかった。


それからというもの、私はこの胸に渦巻く感情にどう向き合えばいいのかわからず、もどかしさに苛まれた。

剣を振って忘れようとしても、あの温かく優しい光、宙に浮くような全能の感覚がフラッシュバックしてしまう。

目を閉じても、神々しい光の中に立つ威厳に満ちた女神の姿と、頼りなさそうに困り果てた顔が、まぶたの裏に焼き付いて離れない。

恋とはかくも苦しく、狂おしいものなのかと、初めて知った。


何千回と剣を振り、ようやく辿り着いた一つの答え。

――やはりこの気持ちは、直接本人に伝えなければならない。

その覚悟を決めるまでに、一週間もの時間を要した。


今はまだ、叶わぬ恋なのだろう。

それでも、誠意をしっかりと伝えれば、せめて(ふみ)のやり取りだけでも許してもらえるかもしれない。


私は何度も二年生の教室へ足を運んだ。

しかし、見られたら相当な幸運だとさえ言われる『白鹿の魔女』の異名は伊達ではなく、さらに一週間以上、彼女を視界の端に捉えることすらできなかった。


それは十二月に入った、ある日の放課後のことだった。

剣術部のロードワークでグラウンドを走っていたとき、視界の端に愛しの『白鹿の魔女』の姿を捉えた。

高等部校舎の二階。窓を開ける小さな影。

私は即座にロードワークを抜け出し、高等部の校舎へと駆け込んだ。


階段を飛ばして駆け上がり、廊下を抜けたその先――神聖学講堂の手前にある鉄の扉、神聖学準備室。

そこに、私の恋する女性がいる。


ドアをノックしようと手を振り上げた瞬間、ぴたりと動きが止まった。

何と伝えればよいのか、言葉がまったく出てこない。

手も足もがくがくと震え出し、嫌な脂汗が止まらない。剣術のどんな大試合でも経験したことのない、惨めな状態だった。

このような弱気な男に、女神の横に立つ資格があるのか。


だが、振られたとしても命を落とすわけではない。また剣を握ることはできる。

日々何万と振ってきた素振りの積み重ねを信じて、私は勇気を振り絞り、ドアをノックした。


コン、コン、コン。

「はーい、今参ります」

鉄のドアから顔を出したのは、私より少し背が高く、少し顔色の悪い、切れ長の瞳の男性――エリアス・ヴァン・アリス教師だった。

「すみません、こちらにフィリア・レオンハルト嬢はいらっしゃいませんか」

「フィリアは……ええと、いない……ね」

エリアス先生は背後を一瞬確認すると、少し申し訳なさそうに言った。

「そんな! さっき確かに窓から……!」

私は半ば無意識にドアを大きく押し開き、室内へ足を踏み入れて辺りを見渡した。

だが確かに、室内には誰もいない。

「いない……よね?」

「そうですか……」

落胆したのと同時に、どこか結論が先送りになったことへの安堵を覚えていた。

そして振り返ったとき、エリアス先生と視線が交差した。


その瞬間、私の胸に強烈な疑問が湧き上がった。

この先生は、フィリア嬢のことを一体どう思っているのだろうか。


「あの、エリアス先生に一つお聞きしたいことがあります」

「はい、どうしましたか」

私はその切れ長の目を真正面から見据え、率直に尋ねた。

「私は中等部三年のギルバート・デッケル。フィリア嬢に、今日ここで愛の告白をしに来ました。ですが、きっとこの想いは届かないと思っています。それでも、勇気を振り絞ってここへ来ました」

エリアス先生は少し驚いた様子で目を泳がせると、苦笑しながら言った。

「ええと……そう……ですか……」

「率直にお聞きします。先生はフィリア嬢とどのようなご関係で、フィリア嬢のことをどう思っていらっしゃるのでしょうか」

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