4.初バトル
はぁーっ……はぁーっ……。
「芹、大丈夫?」
「おぅ……なんとか」
俺が手を引っ張って行ったのに、このざまだ。
俺だけ息が切れている。
「どうしよっかぁ、これから」
「はぁっ……次の……目星は?」
「んー、じゃあここは?」
――――
着いた!
梅田!
ビリケンさんっていたよな~。
「芹!」
「ん? たこ焼き!?」
「さっきの鶏めしのお礼」
「一緒に食べよう!」
――――
「ごちそうさま!」
その土地のご飯を食べるって、幸せだな。
「さっきスマホ見たら、私のランキング上がってた」
「え! まじ!?」
「多分、あの女の子に勝ったからかな」
俺はスマホを見た。
なずな……ランキング20位。
「え! にじゅ……! 20位!?」
「そ」
俺と出会う前は、一人でバトルしてたんだよな……。
おれは気になっていた事を聞いてみた。
「あのさ……」
「ん?」
「ヤクザとかボクサーって、どう手に入れたの?」
「あぁ……戦いで勝つと、相手のカードをもらえるの」
なるほど!
「もしかして、私がカード化したと思ってた?」
「うん……」
「んな訳ないでしょ!」
俺は、ほっとした。
「芹」
「ん?」
なずなは、小声で話していた。
「あの男性のポケット、スマホ入ってる」
「あの人は何位?」
「25位」
「さっきより全然上だ」
「芹が行くんだよ」
「でぇぇぇぇぇ!!??」
「バカ! うるさい!」
俺は口を塞がれた。
「芹のランキングをあげないと」
「そうだけど、俺30位だぞ? 25位だろ!?」
「実は29位だよ」
「え?」
「芹は、私のバトルの補助をしたと認識され、経験値を得る事ができたの」
「俺、何もしてないけど」
「ゲームって、そういうもんでしょ!」
まぁ、そうだけど……自分がその立場になると、なんか納得できない。
「芹なら大丈夫。頭いいんだから! 学年二位の実力見せといで!」
「よく言うよ。一位のくせに」
「はっはっはー!」
ピピピピピピ!!!!!!
「話しはすんだか?」
!!
男性は、俺達の後ろに来ていた。
すっかり、忘れていた。
「バトルしてくれますか?」
「もちろん」
――――
「私が審判をするわ」
なずなが間に入る。
緊張する。
初バトルだ。
「では、バトル開始!」
「……あんた初めて?」
「……さぁ?」
「いや、初心者感すげぇから」
「えっ!」
「ほら、やっぱ初心者だ」
「……っ。カードオープン!」
「ストップ」
「え?」
「上位のプレイヤーから、先にカードを出すルールだ」
「あっ! すみません!」
俺は、頭を下げた。
「いいよ。カードオープン。クズ」
あれは……普通の男性だよな?
「カードオープン! ヤクザ!」
カードの男性は、攻撃をしてきたが、ヤクザには全く効かなかった。
ヤクザは鼻で笑った後、一発で倒した。
「カードオープン。ゴミ」
今度は女性が出てきた。
「行け」
「ヤクザ!」
さっきと同様、カードの女性が攻撃をしてくるが、ヤクザはびくともしない。
「カードオープン。カス」
なんなんだ?
勝ってるのに。
なんだか後味が悪い。
「俺の負けー」
!!
「おい、ちょっと待てよ」
「ん?」
「お前、戦う気ないだろう?」
「どうしてそう思う?」
「なんとなく」
「……あいつらの名前さ……昔、俺が言われてた言葉なんだ」
「もしかして……」
「いじめ」
「このゲームに参加したとき、真っ先に思いついたんだ。あいつらをカードにするって」
俺にはその気持ちが分かる。
「知ってるか? カードにされたやつ、記憶があるんだぜ」
「え!?」
「痛い、でも命令されているから攻撃をしなきゃって思うらしい。試しにリリースした事があるんだ。そいつから聞いた」
「そんな……」
「俺の負けだから、好きなカード持ってけよ」
25位の男性は、スマホを見せた。
「……俺も、いじめられてるから気持ちは分かるよ。その人達をどうしようが、俺には関係ない。ただ、後悔のないようにしたらいいと思う」
「後悔!? する訳ないだろ!?」
「なら、それでいい」
「で、どのカードにするんだ?」
「レアカードはあるか?」
「……29位の割には考えてんだな」
「そりゃあね」
「そこのお姉ちゃんも、よく言わなかったね」
「失敗も経験だから。何かあれば私が倒せばいいし」
「はっ! あんたらいいコンビだな!」
そう、あのとき近づいたら、俺がカード化されていたかもしれない。
レアカードの有無のみを聞いた。
「ほらよ」
俺は、投げられたカードを取った。
「あんた達の事、フォローするよ」
「ありがとう」
「気をつけなよ。バトル中も、人間同士は狙われる」
「あぁ、ありがとう」
俺達は握手をした。
フォローした相手とは、指輪が当たってもカード化されない。
俺は、カードを収納し、その場を離れた。
――――
「初バトルおめでとう!」
「…………」
「芹?」
「……はぁぁぁぁっっっっ、緊張したぁぁ」
俺はしゃがみこんだ。
「お疲れ様!」
「なずな、ありがとう」
「それは、何に対して?」
「手を出さないでくれて」
「どういたしまして」
「実は、俺もカード持ってるんだ」
俺は、スマホを見せた。
「あっ、徹だ」
「驚かないんだな」
「どうするかは、芹が決める事だから」
「うん」
きっとあの人は、削除をしないだろう。
自分がされた事を覚えているうちは、大丈夫な気がする。
「さっきのレアカードって、なんだったの?」
「これ! 身代わりリング」
「えっとぉ、身につけると、攻撃やカード化されるなど、あらゆる事を一回だけ回避できる……えっ、すごいじゃん!」
「レアカードって何枚あるの?」
「右下にある数字が、このカードの枚数。だからこのカードは、12枚存在するって事だね」
その12枚がどこにあるのか。
大変なゲームに、参加したもんだ。
「さて、帰るか」
「え!? 泊まって次に行くよ!」
「え!? 泊まる!?」
「もう予約してるから! 行くよ!」
俺は、なずなについていった。




