3.旅
結局、誰とも会わず帰宅した。
「そもそも、プレイヤーは何人いるんだ?」
「スマホで確認できるよ!」
「うわぁ!!!!」
俺は椅子から落ちた。
後ろに、なずなが立っていた事に気づかなかった。
「お疲れ様!」
「お疲れ……いつからいたんだ?」
「んー五分前くらい! カギかかってなかったから、こっそり入った!」
「びっくりさせないでよ……」
「ちゃんとチャイムは押したよ! でも鳴らなかったから~」
「あ、ごめん」
俺が悪い。
「スマホにランキングも載ってるよ!」
俺はスマホを見た。
ん?
ログインボーナス?
本当に普通のスマホと変わらないな。
ランキング一位……げっ!
選択すると、場所が分かるようになっている。
ポイント数も記載されている。
初心者のご紹介……。
これを見て、来れるやつは戦いにくるのか。
参加人数、30人。
こりゃ、なかなか会わない訳だ。
隣に、プレイヤーが住んでいた事が奇跡だ。
「明日から夏休みだし、プレイヤー探してみない?」
昨日は、やるぞって気持ちが高ぶっていた。
ちょっと恐い。
「明日の九時! 分かった!?」
「えぇっと……」
「返事!」
「はい!!」
こうして、明日からプレイヤーを探す旅が決定した。
少しカードの勉強をしてから寝よう……。
――――
ガチャ。
同時に玄関のドアを開ける。
「おはよう、芹! ……って荷物多くない?」
「ん? 着替えとか、お菓子、宿題……」
「宿題!?」
「え? だって宿題やらないと終わらないじゃん」
「宿題なんて帰ってきてからやればいいのよ!! しかも、スマホに収納すれば荷物減るでしょ!?」
なずなは、俺の両肩を揺さぶった。
確かにそうだ。
「スマホ貸して!」
俺は、なずなにスマホを渡した。
俺の荷物が、カード化して消えていく。
「さぁ! 行くよ!」
俺達は、新幹線乗り場に向かった。
――――
「どこ行くの?」
「この、ランキング28位の人がいる場所」
しばらく時間がかかりそうだ。
俺達は席に座った。
「私ね、このゲームに、お父さんとお母さんが関わっていたらって思ってるの」
「もしかして、カード化の事?」
「そう。カード化されたのなら、行方不明って言われても納得がいく。その為に私は戦っているの」
俺はまだこのゲームをよく知らない。
もし、そうだとしたら、俺のお父さんとお母さんも……。
――――
大宮駅に着いた。
「うわ……湿度やば」
なずなは、ハンディファンを使っていた。
「それ、効く?」
「気休めかな」
大宮駅と言えば、駅地下で食品がたくさん売られている。
「中に入らない?」
「そうするわ……」
――――
「あぁー涼しい!」
「あ、俺ちょっと買い物」
「え!?」
俺は、食べたいものが決まっていた。
そう!
鶏めしだ!
俺は急いで鶏めしを買い、なずなの元へ向かった。
「ちょっと! いきなりいなくなるからぁ!」
「はい! これ!」
俺は、なずなに鶏めしを渡した。
「え? 食べていいの? いただきます!」
俺も食べよう!
「うんまっ!」
なずなは驚いていた。
「でしょっ!?」
自分のおすすめが誉められると、嬉しさが増す。
「ごちそうさまでした!」
あっという間に食べ終わった。
さて、次は何を食べようか……。
ピピピピピピ!!!!!!
スマホが鳴った!
近くにいる!
俺となずなは、周りを見渡した。
分からない。
なずなのスマホから、音が消えた。
って事は、俺の近くだ。
そうしているうちに、音が消えた。
「逃げられる! 芹の方に移動するよ!」
「分かった!」
進んでいくと、また音が鳴った。
近づいている証拠だ。
「いた! スマホ握ってる! あの女の子だ!」
女の子は、こちらに気がつくと、走って逃げた。
「追うよ!」
なずなが先頭を切って走る。
頼もしい。
――――
俺達は、女の子を追いつめた。
「あなたプレイヤーね!」
「お願い、何もしないから見逃してっ!」
女の子は震えていた。
「ねぇ、無理にバトルしなくても大丈夫じゃない?」
「何言ってんのよ」
「こんなに震えて、かわいそうだよ」
「あんたねぇ! このバトルは命がけなのよ!?」
「そのお姉さんの言うとおりだよ」
!!
「な……んで……」
「芹!!」
俺は、カッターで腰を刺されていた。
周りの歩行者から、悲鳴が聞こえる。
「本当にバカばっかり。 あなたが30位の人でしょ」
こいつ……!
「それはどうかしら?」
「嘘ついたって無駄よ。私のスケルトンアイで見え見えなんだから」
「ちっ……すでにカード使用中ってわけね」
「こんなババアとジジイ、余裕だわ」
「ババアですって!? カードオープン! ボクサー!」
「ボっ!? なずなっ! こんな場所で!」
「大丈夫、カード化したものは一般人には見えないから」
そうなの?
「そんな事も知らないのね。さすが30位」
さすがの俺も、イラッとしてきた。
「カードオープン! パパ!」
「「パパ!?」」
この子、パパをカードにしたのか!?
いや、偶然カードになった可能性もある。
「やれっ!」
ボクサーは、パパをボコボコにしていた。
「パパ! 負けないで! カードオープン! 包丁!」
包丁はまずい!
「そんなもの、ボクサーには効かないわ!」
ボクサーは、全てかわし、パパにとどめをさそうとする。
「やめてっ!」
「ストップ!」
なずなは攻撃をやめた。
「これ以上、パパをいじめないでっ……!」
女の子は大粒の涙を流していた。
――――
女の子から、話を聞くと……。
パパを間違ってカードにしてしまった。
プレイヤーから逃げていた。
このゲームから解放されたい。
そう言う事だった。
「じゃあ、なんで戦ったんだよ」
「30位なら勝てるかと思って」
「おい」
「みんながみんな、あなたみたいに理解ある人じゃないわ。今まで戦ってきたんだから」
そうだ。
28位って事は、俺より上なんだ。
それなりに戦っている証拠だ。
「パパを解放して暮らすのはダメなの?」
「それじゃあ、根本的な解決にならないでしょ」
なずなから、鋭い指摘が入る。
「うん……結局、別のプレイヤーに襲われるから、カードがないと戦えないの……」
「あなた、私の事フォローしてくれる?」
なずな?
「え? うん……」
「今、カードを送ったわ」
「これっ! さっきの!」
どうやら、なずなはボクサーのカードを、女の子にプレゼントしたみたいだ。
「お姉さん、ありがとう!」
「どういたしまして」
よかった!
「そういえば、芹! カッターは!?」
「え? あぁ、ベルトに刺さったみたいで大丈夫!」
「よかったぁ」
「お兄さんごめんなさい」
「いいよ!」
女の子の力じゃ、あまり刺さらなかった。
ベルトでよかった。
ん?
周りが騒がしい。
あれは……警察!
「誰かが通報したんだ!」
そうか、カッターはカード化じゃなかったのか!
「逃げるわよ!」
「カードオープン! ワープ!」
女の子は消えた。
「あいつ! 自分だけ消えやがった!」
「なずな!」
俺は、なずなの手を取り走った。




