2.説明書
あの後、USBを見ると、他にもスマホの説明の動画もあった。
あのとき俺は、カードについての説明書を見ていた。
ちゃんと見れば、他にも説明書があったんだ。
俺が悪い。
でも、昨日は見る前に寝てしまった。
帰ったら見ないと。
しっかし、昨日みたいなのがこれから起こると思うと、気が気でない。
ピピピピピピ!!!!!!
っつ!!
どこだ!?
誰だ!?
「はっ……はっ……」
呼吸が荒くなる。
「おっはよっ!」
後ろから、なずなが俺の背中を叩く。
「なっ! なずな……! よかった……」
俺は、その場に座り込んだ。
「ちょっと! どうしたの!?」
「だって、スマホがっ!」
「あぁ! ごめんごめん! これね、フォローすれば大丈夫!」
「フォロー?」
フォローをすると、その人が近づいても音が鳴らなくなるらしい。
なずなは昨日、俺をフォローしたらしい。
「くすくす……」
俺は、周りから見られていた事に気づいた。
急いで立ち上がる。
あれっ?
「そういえば、この音って周りに聞こえていないの?」
「うん、プレイヤーにしか聞こえていないよ」
そうだったのか。
キーンコーン……
「芹!」
俺達は、急いで学校へ向かった。
――――
あっという間に放課後だ。
授業も集中できなかった。
はぁ……帰ろう。
「芹! 一緒に帰ろう!」
「なずな、部活は?」
「今日は休む! どうせあの後、寝ちゃったんでしょ? 一緒にカードの勉強しよう!」
図星だ。
「いや、一人で勉強するから大丈夫だよ。俺のせいで部活休まないで」
「俺のせいとか言わないで! 芹が心配だから……!」
教室のドアが、勢いよく開いた。
「なずなぁっ! 今日は会議だって言ったでしょ!?」
あ、生徒会長。
「あっ、それパス」
「はぁっ!?」
「今日、大事な会議があって」
「こっちも会議なんですけどぉ!?」
生徒会長が俺を見る。
「あんたは!? まさかデートじゃないでしょうね!?」
「ちっ……ちちち違いますよ! じゃ!」
「あっ! 芹!」
俺は、教室を飛び出した。
――――
ふぅ……。
なずなの言うとおり、カードについて勉強しなくてはいけない。
とりあえず、家までプレイヤーに会わないように……!
っ!!
俺は何かにぶつかった。
「おいおいおいおい……なぁに帰ろうとしてんだてめぇ」
徹!!
「ちょっとこい」
俺は、逃げる事ができなかった。
――――
「ぐっ……げっほぉぁっ!!」
俺はまた蹴られていた。
「あぁ~あぁ~あ~、金は持ってねぇし、見てるだけで吐き気がする」
!!
俺は、唾をかけられた。
俺は何もしていない。
なんで、ここまでされなきゃいけないんだ!!
「ん? 見たことないスマホだな」
しまった!!
「返っ……」
「ごみのくせに、俺に話かけるんじゃねぇ!」
「ぐっ……あぁ……」
俺は、何度も踏みつけられた。
やばい……!
普段、俺が反抗しないから、腹が立ったのか……!
これ以上は……!!
「……やめろっ!!」
俺は、徹の足首をつかんだ。
!!
俺は、指輪をつけている手で握ってしまった。
徹はカードになった。
「はぁっ……はぁっ……」
どうしよう。
俺は、カードを拾い、周りを見渡した。
誰もいない?
誰かに見られていない?
俺は、挙動不審のまま走って帰宅した。
――――
誰にも会わなかった。
よかった……。
パソコンを開く。
えーっと……スマホの説明書。
だいたいは、なずなに聞いたから大丈夫だ。
カードの削除?
削除すると、消滅する……。
え……消滅?
存在しなくなるって事?
完全犯罪じゃないか。
トレードも可能。
まれに、実物と別のカードに変化する事もある。
これを、レアカードと言うそうだ。
指輪を三秒つけるとカードになる。
順位が高い方から、バトルを開始する。
カードを選択し、リリースと言えば、そのカードの中身は解放される。
初心者を24時間以内にカード化すると、ボーナスとして500ポイントが入る。
ポイントは、カードと交換可能。
スマホで検索すると、カードがたくさん出てくる。
あれっ?
これ、ネットから現金をポイントにして、交換もできる。
課金か。
高額カードもある。
スーパーレアカードを、5枚獲得すれば、このゲームから解放される。
クリアすると、指輪を外せる。
最後になんでも願いを叶えてくれる。
……レアカードを使いながら、スーパーレアカードを集める……そんなところだろうか。
願いが叶うとかはおいといて、とにかくカードバトルなのだから、カードを入手しないと。
徹のカードを見ると、星一つだった。
雑魚カードって事か……。
「ふっ……はははっ!」
俺は、カードを握りしめ笑った。
スマホでカードの写真を撮り、収納。
ん?
「名前をつけますか?」
名前を変える事もできるのか。
あの男の子も、大男って呼んでたしな。
面倒だ。
そのままでいい。
さて、いろいろ試してみよう。
――――
包丁、水、一味、おにぎり……。
刃物、液体、調味料、食品なんでもカードにできる。
これはすごい。
問題は、戦闘力の高い人をゲットしなければいけない事だ。
なずな、ヤクザをどうやってカード化したんだ?
ピロンとスマホが鳴った。
なずなからプレゼントが届いています。
開いてみると、昨日のヤクザだった。
ありがとう、なずな。
これでとりあえず戦える!
俺は、どきどきしながら家を出た。
恐いけど、待っていてはだめだ。
狩られる側ではなく、狩る側にいかないと。
早く、このゲームから解放されないと。
絶対に勝つ!




