表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

1.カード

「ぐっ……はっ……!!」


 放課後の校舎裏。

 俺は、クラスの男子、数名から殴られていた。


 いじめだ。


「んだよ……三千円しか持ってねぇじゃん」


 こいつの名前は、(とおる)

 このグループのリーダーだ。


「がっ……!!」


 俺は、(とおる)に蹴り飛ばされた。


「明日はもっと持ってこいよー」


 (とおる)達はいなくなった。


「はぁっ……はぁっ……おぇっ!!」


 俺の名前は(せり)

 高校三年生だ。





(せり)! 大丈夫!?」


「なずな……」


 この女の子は、隣に住んでいる、なずな。

 幼馴染みだ。


「大丈夫。一緒にいる所が見つかったら、なずなも危ないよ」


「私は大丈夫だよ!」


 なずなは柔道、黒帯だ。

 確かに、俺よりは強いだろう。


「じゃあな」


 俺は、ブレザーの汚れを払い、歩きだす。




 ……高三のときに、いじめが始まった。


――――


(さくら)ちゃぁん、いつデートしてくれるのさぁ?」


(さくら)先生でしょ!? (とおる)君、宿題は持ってきましたか?」


「先生の事を考えていたら、忘れました!」


「もぉっ!」


「先生、宿題です」


「あら(せり)君! さすがね!」


――――


 多分、あれがきっかけだろう。

 俺のタイミングも悪かった。


 アパートの階段を登る。




「ただいま」


 俺は一人暮らしだ。

 父と母は、俺が幼い頃に行方不明になった。

 当時、俺は祖父母と暮らしていた。


 ふぅっ……。


 パソコンを開き、ヘッドフォンをする。


 俺は、帰宅後にネットで、カードバトルをするのが日課となっていた。


 対戦相手と、会話をしながらバトルをする。

 顔が見えないから、傷だらけでもばれない。


――――


 今日も一通り、バトルをし終わった。

 そのとき、ピロンと音が鳴った。


 メールだ。

 いったい誰から……。


 俺は、メールを開いた。


 ―当選おめでとうございます。あなたはこのカードバトルにて、10週連続一位を獲得しました。副賞として、ささやかなプレゼントをご用意致しております。必要事項を記入の上、ぜひご応募下さい―


 副賞?

 なんだろう。

 まぁ、応募してみるか。


 俺は、軽い気持ちで応募した。


――――


 数日後、ポストに俺宛の荷物が入っていた。

 差出人は……雨でにじんでいて分からない。

 なんだろう。


 中を開けると、手紙やUSB、指輪、スマホが入っていた。


 ―おめでとうございます。あなたの未来が幸せになりますように―


 え、これだけ?

 俺は、USBを見てみる事にした。


「カード取扱い説明書! ここでは、カードについてのご説明を致します!」


 おぉ、よかった。

 画面の中で、可愛らしいキャラの女の子が説明をしている。


 でも、カードってなんだ?

 そんなものは入っていない。


「このカードは、別名、服従カードと言います!」


 服従カード?


「付属の指輪をつけ、服従させたい相手の体や髪の毛を、指輪にタッチさせます! すると、相手の成分を認識し、その人をカードにする事ができます。つまり、カードの中に、閉じ込める事ができるのです!」


 は?

 カードに閉じ込める?

 いやいや何言ってるんだ。


「ちなみに、指輪は一度つけると外せません!」


「えぇっ!?」


 もうつけちゃった!

 俺は、指輪を取ろうとしたが、びくともしなかった。

 まじかよ……。


 スマホが鳴る。


 ―薬と爆発どちらを選びますか?―


 なんの事だ?


「カードバトルで勝つと、レベルがあがるよ! レッツ、ファイト!」


 動画が終わった。


 えっ、これだけ?

 カードバトルって何!?


 ピピピピピピ!!!!!!


 なんだ!?

 スマホから、大きい音が鳴る。


 次の瞬間、窓ガラスが割れた。


「っあぁっ!!」


 一体何が……。


 顔を上げると、そこには知らない男の子がいた。


「よぉ初心者! あんたもこのゲームのプレイヤーだろ?」


 プレイヤー?

 てか、ここ二階だけど、どうやって入ってきたんだ!?


「ははっ! ちょうどいいや!」


 男の子が近づいてきた。


 やばい!

 俺はとっさに避けた。


「あれっ? 初心者だよね?」


 あいつ、俺に指輪をつけようとしていた。

 もしかして、本当に……!


「初心者ごときに、カード使いたくないんだけどなー」


 男の子は、スマホを出した。


 指で何かを探している……?


「よし! これにしよーっと!」


 なんだ!?


「カードオープン! いでよ! 大男!」


 大男?


 男の子が唱えた後、一枚のカードの中から、大きい男性が出てきた。


 え!?


 俺はパニックだった。


「大男! ぼこぼこにしちゃって!」


 なんだって!?


 大男が、殴りかかってくる。

 俺は、咄嗟に避ける事ができたが、バランスを崩してしまった。


 まずい!!


 大男は、右腕を上げた。


 ……殺られる!!


 俺は目を閉じた。


「カードオープン! いでよ! ヤクザ!」


 この声!


 俺は、後ろを振り返った。


「なずな!」


 そこには、なずながいた。


「……相棒がいたのか!」


 男の子の目つきが変わった。

 ヤクザが、大男を痛めつけている。


「カードオープン! スパナ!」


 スパナ?


 男の子がそう言うと、スパナが出てきた。

 大男はスパナを握り、ヤクザに殴りかかる。


 当たった!


「殺りなさい」


 なずながそう言うと、ヤクザは大男に拳を振り下ろす。


 大男は血まみれだった。

 ヤクザも血まみれだった。


 ……大男はゆっくり倒れた。


「ちっ……殺れないなら、逃げるわ」


「待てっ!」


 なずなは叫んだ。


「カードオープン、瞬間移動」


 男の子は消えた。

 えっ、消えた?


 さっきまでのうるささが、嘘のように静かになった。





(せり)! 大丈夫!?」


「なずな……」


 俺は腰が抜けてしまった。


「なずな、今のって……」


 なずなは、ゆっくりと話し始めた。


――――


 本物の人間や物に、指輪をくっつける事により、カードにする事ができる。


 カードにはレベルがある。

 星が一つのカードは弱い。

 星の数が増えると、強くてレアなカードって事らしい。


 スマホで、カードの写真を撮ると、カードが収納される。


 どうなってるんだ?


「ざっと話したけど、どう?」


 いや、どうって言われても。


「プレイヤーが近づくと、スマホが教えてくれるわ。半径10メートル以内で鳴るんだったかな?」


 だから鳴ったのか。


「私のスマホが鳴ったと思ったら、隣の部屋が騒がしくなって、まさかと思ったらね」


 なずなは隣に住んでいる。

 なずなの両親も、行方不明らしい。


「なずな、ありがとう」


「どういたしまして。とりあえず、窓なんとかしようか」


 あ……。


 なずなに手伝ってもらい、俺達は部屋の掃除を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ