11.コピー
「いい加減にしなさいよ!」
なずなの刀が、穂殿の心臓を貫く。
「がぁ……はぁっ!」
穂殿は、よろめきながらも、なずなに刀をむけ、切りかかろうとした。
だが、途中で手から刀が落ちた。
様子がおかしい。
穂殿の体が腐り始めた。
髪の毛が抜け、目玉が取れ、体が崩れ落ちる。
なんだ!?
どういう事だ!?
「あぁ~あ、終わっちゃった」
杏?
「不死の力も、たいした事ないんだなぁ」
「もしかして、杏がやったのか?」
「そう、こいつも犯罪者なんだよ。殺してほしいって言ってたけど、そんなの俺の知ったこっちゃないし」
「その割りには、攻撃力すごかったわよ?」
「カードで全能力値を上げたからね。今から戦うプレイヤーに勝てたら殺してあげるって言ったし」
「……あんたもいかれてるわ……」
―プレイヤー穂殿がゲームオーバーとなった為、カードは全て、相手プレイヤーに譲渡致します―
「え?」
「カード一枚のみ?」
そうか、カードを出さないんじゃなくて、出せなかったんだ。
これでスーパーレアが……。
―このカードはコピーされたものです―
「コピー!?」
「本物は僕が持っているよ」
「そのカード、私達に渡してくれる?」
「いいよ」
「え! いいの!?」
「君達が何を願うかは君達の自由だからね。仮に、このゲームを消滅させたとして、カードになった人はどうなるのかも気になるしねぇ……ひひひ」
杏の手には、スーパーレアがあった。
俺は、カードを受け取ろうとした。
!
カードが取れない。
「本当にいいのか?」
杏は、俺に言った。
「なんの事だ?」
「クリアしていいのか?」
「そのために頑張ってきた」
「この能力があれば、神になれるんだぞ?」
「俺は高校生に戻りたいんだ!」
俺はカードを取った。
―このカードはコピーされたものです―
「はぁ!?」
「杏!」
「僕は知らない!」
「匣のカードも穂殿のカードも、全部こっちに移動した! あとは杏しかいないだろ!」
「僕じゃない!」
なずなが、刀を構える。
「カードオープン! ガトリング!」
杏が攻撃態勢に入った。
「カードオープン! 鉄壁!」
杏には、さっきカード化されたんだ。
迂闊にいけば危ない。
―プレイヤー穂殿の能力発動―
「え!?」
「穂殿は死んだはずでしょ!?」
―能力発動。死後の呪い―
杏の周りに、黒いもやがかかる。
「なんだ!? やめろ! こっちにくるな!」
杏には何か、見えているみたいだ。
「やめっ! やめろっ! カードオー……」
黒いもやに包まれてしまった。
「ひひひひひひー!!!! あひゃひゃひゃ!!!!」
杏!?
目玉があっちこっちに動いている。
そして、俺達の方を見た。
まずい!
「ひゃぁーははははぁぁぁ!!!!」
杏は、ガトリングで撃ってきた。
俺となずなは、鉄壁でガードしていたが、埒が明かない。
「囚人達! 俺の事を守れぇぇぇぇ!!!!」
ドームのような場所にいた囚人達が、全員襲いかかってくる。
そうか!
すでにカードオープンの状態だから!
だめだ!
殺られる!
「芹!」
「……っ! カードオープン! 妖刀!」
俺達は、囚人達を切った。
「カードオープン! 身体強化!」
できれば切りたくなかった。
素早い速さで、一網打尽する。
杏の首の左右に、刀をつける。
「あっ……ひゃっ……あぁっあ……」
弾切れだ。
「ぶぉぇっ!!」
杏は、血を吐いた。
様子がおかしい。
「杏!」
「芹! 近づいちゃダメ!」
杏は、苦しみ倒れた。
―死後の呪い、終了致します―
いつのまにか、穂殿はカードを使っていたんだ。
―プレイヤー杏が、ゲームオーバーとなった為、カードは全て、相手プレイヤーに譲渡致します―
俺達は、スマホを確認した。
だが、スーパーレアは見つからなかった。
「なんで!」
「本当に持っていなかったのね……」
―ランキング一位おめでとうございます。景品として、カードをお渡し致します―
「もしかして、それが!?」
俺はスマホを確認した。
「違う、レアカードだ」
「嘘でしょ!? どうしたらいいのよー」
もらったレアは、真実の目。
……試してみる価値はあるか。
「カードオープン! 真実の目!」
「えっ!? もう使っちゃうの!?」
俺は周りを見渡した。
特に変わった様子は……!
「あった! 匣のスマホ!」
なずなは、スマホを拾った。
「でも、スマホ真っ二つだし、カードは全部もらったよね?」
なずなは俺に、スマホを渡した。
ここが光っている。
「あっ……SDカード!」
俺は、自分のスマホにSDカードをさした。
「あった!!」
―ゲームクリア! プレイヤー芹が、ゲームクリアとなりました! 願いを一つ叶えます!―
匣、俺に教えてくれようとしていたんだな……。
「願いは?」
なずなは俺に言った。
「このゲームに関わった人、みんなを元に戻してほしい!」
本当は、ゲームを消滅させたい。
でも、死んだみんなをこのままにしておけない。
もしかしたら、お父さんとお母さんも……。
もし、またこのゲームに出会ってしまったら……。
「大丈夫! 私がいるよ!」
なずなが、俺の手を握る。
「ありがとう、なずな」
目の前が明るくなっていく。




