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【VTuber】猫乃わん太 through Unmemory World Online【ぬいぐるみ系】  作者: 水城みつは
第一章 アンメモへようこそ!

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第57話 祠3

 広いドーム状の部屋の中にぽつんと置かれた『こたつ』。結構シュールな風景だ。


「あれってやっぱりさっき奉納した『こたつ』だよね」

 とっても見覚えがあった。そして、こたつの上には何か置かれているようでもある。


◯[こたつだね。まごうことなきこたつだね]

∈[近づいてみるにゃ。きっと山神様、ダンマスがいるにゃ]


「やっぱりあそこに近づくっすか? なんかとっても空気が重いんっすけど……」

「わん太君、ドゥーエ君、ちょっと待った! こたつの陰に何かいる!」


 じりじりとこたつににじり寄っていたボクたちをリュードさんが止めた。


「この魔道具は『こたつ』と言うのですか。実に素晴らしい魔道具ですね。『こたつ』を供えてくれた貴方達に感謝を」

 目の前でスッとこたつから立ち上がった男性はそう言って優雅にお辞儀をした。目の前、そう、目の前でだ。


◎[なんか一瞬で移動した……よね?]

▽[瞬間移動か何かとしても相手を移動させてるって……]

∪[山神様かダンマスか知らないけど、どちらでもなんでもありなんじゃないかな]


「あ、ご挨拶が遅れました。私はドウェルフ族の狩人、リュードと申します。村が移動したため山神様へのお供えが遅くなって申し訳ありませんでした」

 固まっていたリュードさんが慌てて挨拶をしている。


「ボクは猫乃わん太、ぬいぐるみ系VTuberだわん」

 くるっと回ってポーズを取った。


 執事風の男性は右目に嵌めた片眼鏡モノクルをクイッとあげてニッコリ微笑む。

「わん太様というのですか。待ち人来たるとはこのことですね。貴方様のおかけで懸案事項は二つとも片付きました。今後ともヨロシクオネガイシマス」

 差し出された手を握り返すと更に満面の笑みとなった。


「ところで、そちらのもう一方ひとかたは?」


 手で示された先には平伏するドゥーエの姿があった。


❤〚モグラさん土下座?〛

◯[いや、なんでその姿勢?]


土竜アースドラゴン族のドゥーエっす、あ、ドゥーエと申します。龍族の方とお見受けしますっす。よ、よろしくお願いします」

 ドゥーエが完全に萎縮している。


「龍族?」


「おっと、まだ名乗っていませんでしたね。わたくし、氷龍のクロセルと申します。クロセルとお呼びください、わん太様」


―― フカルア山ダンジョンマスターに就任しました


「はぁっ?! なんでボクがダンジョンマスターになるわん?」

 そもそも、また勝手にダンマスに就任させられても困るのだ。


◎[ダンジョンマスターって、わん太が?!]

∈[にゃにゃっ、にゃんでダンマス?!]

▽[ホントにダンマスいたのか……ってプレイヤーがダンマスなれるのかよ!]


「あー、ダンジョン自体の管理は今後も私が行なえます。わん太様にはダンジョンマスターにだけなっておいていただければ、私もダンジョンを離れられますので……」

「えっ?! ダンマスってダンジョンから離れることができないのかわん?」


「そうですね。通常ダンマスは自分が管理するダンジョンから離れることはできません。それもあって最近はダンマスの成り手も減っております」

 少し長い話になりそうなこともあり、みんなこたつに入った。


「まず、ダンジョンが出来るのはいわゆる魔力溜まり、魔素エーテルが多く集まったところです。そして、ダンジョンには野良ダンジョンと管理用のダンジョンがあります」


「ふぇっ、そうだったんだ。野良はなんとなくわかるけど、管理用ダンジョンって?」

 こたつの上に置かれていたミカンを頬張る。


「まず、地面の下には魔素エーテル流、龍脈等と呼ばれる魔力の流れているところがあります。ここ、フカルア山もその一つですね」

 こたつの上に地図が浮かび上がって表示された。少しだけ南北に伸びた島の地図だ。


「地表に魔力が溢れてきたり、魔力の流れが滞ったりしないためにダンジョンを利用して魔力を消費、管理しているのが管理用ダンジョンなのです。昨今フカルア山では魔力が溢れ気味でしたが、それもつい先程わん太様たちのおかげで解決しました」

 フカルア山の噴雪も魔力が溢れてくることにより発生しているらしい。


「で、ボクたちのおかげで解決したとは?」

 こたつを奉納した以外に何かした覚えはない。


「ええ、それは後でのお楽しみとしましょう」


「ここがフカルア山を管理するためのダンジョンだったってことはわかったわん。そして、ボクがダンマスになったのまでは百歩譲ってわかったけど、ボクはここから出られるのかわん?」

 今までの称号からしてもダンジョンから出られるとは思うが、その理由自体は知っておかないといけない気がする。


「結論から言うと、わん太様は出れますね。これはエリア管理の権限によるものです」


◯[エリア管理って、例えばエリアボスとか?]

◆[とりあえずダンマスはダンジョンエリアの管理権限があるってことかな]


「ダンジョンの魔物がダンジョンから出れなかったり、エリアボスが移動できないのは権限というよりは制約ですね。ダンマスはダンジョンの管理が出来るかわりにダンジョン周辺から離れられない制約があります」

 こたつの上の地図にフカルア山を囲む赤い丸が表示された。更に島全体を囲む青い丸も表示される。


「この赤丸がフカルア山ダンジョンマスターの管理範囲です。そして、青丸がわん太様の管理範囲となります」


「ふぁっ?! ボクの管理範囲ってなに……」


◎[広っ! 国が作れるな]

▽[いや、わん太も忘れてそうだけど、『わん太王国』の王様だぞ?]

◯[そうだった。せいぜい町長ぐらいかと思ってたわw]


「『わん太王国』としての権限はこの島全体に及んでいます。これにより、ダンジョンの権限委譲自体は無条件にできるのです。そして、わん太様は国王として最上位の管理権限であることから移動範囲の制約がかからないのです」

 つまり、同意さえあれば島内のダンマスには簡単になれるってことだ。いや、これはむしろ押し付けられているのでは無かろうか……?




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