第56話 祠2
―― ズズッズズッズズッ……
『浮遊』を駆使して地下への階段が完全に見えるまで祠を移動させた。
「さすがわん太さんっす」
「まさか祠の下に階段があったとは。ここはほんとにダンジョンだったんだねぇ」
「この階層は安全地帯になってるし、なかなか気づけないわん。MPをチャージしたらダンジョン探索といこうか」
◯[よし、ダンジョンきたー!]
▽[結構スキル連発してたからMPチャージは大事]
❤〚MPチャージ?〛
「あ、プレイヤー以外ではMPチャージって知らないか」
◎[初心者も最初にハマる罠だよね、MPチャージ]
◆[アンメモではスキルとか使用するのに、MPを使用するけど、こいつの自然回復はない]
◯[普通宿屋で寝たりしたら回復するよね……]
「自然回復がないので手動でチャージする必要があります。ちなみにMP自体は魔物を倒したりしたらたまるわん」
◆[なお、この貯まるMPは買い物に使用するお金であり、レベルアップするのに使用する経験値でもある]
❤〚ほえ~、シンプルなのか複雑なのか……〛
▽[少なくとも安全地帯でしかチャージできない仕様はなんとかして欲しい]
「だよねー、せめて戦闘中以外ならチャージできるようにしてほしいわん。ってことで、チャージ完了! いざ征かん未知のダンジョンへ!」
目の前には荒削りな階段が地下へと続いている。
「楽しみっすねぇ、ここだとダンジョンは洞窟型か坑道型っすよね。良い鉱石とかあるといいっすけど」
「わん太君はともかくドゥーエ君もダンジョン探索に乗り気かぁ……」
テンションあげあげになったドゥーエに対してリュードさんは及び腰だ。
「危なそうだったらすぐ引き返すわん。それに……たぶん山神様がダンジョンマスターだわん」
「山神様がダンマス?!」
◎[えっ?! ダンマスってあのダンマス?]
▽[言われてみれば可能性は高いな]
「わん太さん、どういうことっすか?!」
「ほら、お供え物の『こたつ』が消えたの見てたわん? あの消え方はダンジョンに吸収される消え方わん。転移とか魔法的な消え方ではなかったことから、『こたつ』を回収したのはダンジョン、そう、ダンジョンマスターに違いないんだわん」
◆[確かに、あの消え方はダンジョンでの消え方だね]
∈[ところで、アンメモのダンジョンにダンマスっているのにゃ?]
∪[ん、確かにダンジョンはあるけどダンマスがいるって聞いたことはない]
「あれ? ダンジョンマスターの話を聞いたことない?」
夏イベントのミラさんがダンマスだったし、なんならボクの称号にも『ルーダン魔王国ダンジョンマスター』ってあったりする。
∈[聞いたことないにゃ! どこでその話を聞いたのにゃ?!]
▽[俺も初耳だけど、いるんだ、ダンマス]
「みんな聞いたことないんだ……じゃあ、秘密わん。ってところで、しゅっぱーつ!」
騒ぐリスナーさん達はおいておいて階段を下りていく。
「明かりがないのに暗くないってことはやっぱりダンジョンなんすね」
「一応ヒカリゴケ的なのが光ってるわん。ちなみに遺跡型のダンジョンはほんとに何故か壁が光ってることもあるわん」
なお、坑道型は壁に取り付けられた松明が光っていたりする。
「結構下りてきてますけどまだですかね?」
実は初ダンジョンらしいリュードさんが恐る恐る尋ねた。
「そろそろ……うわぁっ!」
―― ズズズッ……ゴゴゴッゴゴッ
「あぅぁあぁっ! なんか揺れてるっす!!」
「うぁぁーっ! 揺れ揺れてる」
二人とも思った以上に取り乱している。
「ここはもうダンジョンの中だから崩れはしないと思うわん。それより、ダンジョンで地震ってダンジョンの構造が変わったりしてるのかわん?」
「地震っすか……生まれて初めて味わったっす」
「僕も地震は初めてです。長に聞いたことはあるので無いわけではないと思いますが、かなり珍しいですね」
◆[火山のあるところだと地震も珍しくはないけど、ここは火山じゃなくて雪山?だしって噴火ならぬ噴雪してるなら揺れそうだけど]
◯[外は大噴火ならぬ大噴雪してるかもしれないね]
▽[それはホントにありそうで怖いな]
「ふぅ、揺れもおさまったみたいわん。それに、目的地到着わん」
階段をおりる先には豪華な扉が見えていた。
「おお! 扉っす! ボス部屋っすか?!」
「んー、とっても既視感のある扉なんだよね」
ボス部屋とは違う重厚感あふれる扉、つい最近見た覚えがある。
「わん太君、何か知ってるんですか?」
リュードさんとドゥーエが期待に満ちた眼差しを向けている。
「いや、夏イベの時に似た扉を見かけただけで……使い回しかな?」
◯[使い回しは草www]
∈[いやいや、夏イベでこんな扉しらないにゃ。どこで見たにゃ?!]
▽[オレもみてないな。ダンジョンの扉ともちょっと違うし]
「あー、ボクが知っているのは開けたら中はドーム状の部屋があって……」
「あって?」「あって、それから何っすか?」
「中央にぽつんと……棺桶があった」
「棺桶??」「棺桶っすか??」
◎[かんおけ??]
◆[いや、棺桶って……あ! わかった気がする]
▽[そういうことか]
「まぁ、同じかどうかは開ければわかるっす」
「そうだね、ここまで来たんだ開けてみようか、さあ、わん太君お願い」
「開けるけど、どうしてボクの後ろに回るんだわん?」
二人してどうぞどうぞと勧めつつジリジリと扉から離れていく。
「まあ、それじゃあ開けるよ!」
扉に手をかけると、やはり力を入れていないのに内側に開いていく。
扉が開いた先には、前に城の地下で見た部屋より更に大きくドーム状の空間が広がっていた。
そして、その中央には……ある意味見慣れた物体が置かれていた。
「『こたつ』っすか?!」「えっ『こたつ』?!」




