第54話 フカルア山
「右手に見えるのが目的地のフカルア山だね」
リュードさんが指差す先には山頂から麓まで真っ白になった山が見えていた。
「まっすぐ進むとエリアボスに当たってしまうから森の切れ目で山の方に向かうよ」
「エリアボスっすか?!」
◯[エリアボス!]
▽[この人数じゃ流石に厳しいだろ]
「今回はこの雪をなんとかするのが先決だから回避する方向でいくわん」
「それが良い。エリアボスを倒してもこの雪だと南には誰もいない可能性の方が高いからね」
森の間に見える小道を山の方に向かって進む。
「南に村とかはなかったの?」
そういえば、リュードさん達ドウェルフ族は南から来たはずだ。
「僕たちドウェルフ族に限ったことではないけど、この島のほとんどの人は定住せずに季節や年単位で移動しながら暮らしてたんだよ。それが今は徐々にパウリの街に集まってきているところだね」
街の住人がどんどん増えていた理由がやっとわかった気がする。
「なるほど……って『島』?! ここって島だったの?」
◆[おっと、こここで新事実発覚]
∴[島だとしたら夏イベの島より大きいんじゃないかな]
◯[今回もサメに乗ってだいぶ移動してるよね]
「今向かってるフカルア山に登れば少なくとも三方に海が見えるよ。ただ、北の方は細長くなってるんで、その先がどうなってるかは知らないから島じゃ無い可能性も少しはあるかもしれないね」
「北の方も海に囲まれているって聞いたことがあるっす。飛び飛びに小島はあるから遥か昔はどこかと繋がっていたかもしれないって」
「それは山を登るのが楽しみわん」
「しゃっしゃーく!」
ナギサくんもやる気になっている。
∈[ところで祠は山のどのへんにあるのにゃ?]
◎[あの山、どう見てもでかいし頂上とかだと大変]
▽[ここはお約束的にてっぺんにあるだろ]
「ん? 祠は山の中腹あたりだね。頂上には湖があるんだ。ただ、こちらから祠に辿り着くには頂上を経由したほうが良いよ」
「頂上は湖? それなら、この雪が吹き出しているのはどこだわん?」
今も目の前で山頂からは白い煙のように雪が吹き出ている。
「ああ、冬に稀に噴き出すだけで夏は雪が解けて湖になっているんだ。まさかお供えがなくなることでこんな豪雪になるとは思わなかったよ」
つまり、冬は雪の噴火、いや、噴雪口で、夏はそのまま湖になっているわけか。
◆ ◇ ◆
「今のはどう見てもボクの勝ちだね」
「それで良いっすけど、三勝二敗でオレの勝ちっす」
ナギサくんのおかげでサクサクと山頂まで登ってきたボクたちはお昼ごはんを食べていた。
「ちょっ、わん太君もドゥーエ君もそんなに噴雪口に近づいたら危ないって!」
◯[リュードさんって高所恐怖症?]
▽[いや、さくらんぼの種飛ばしで噴雪口ギリギリまで近づいてるわん太達がおかしい]
◆[あの雪、流砂みたいに動いてるから落ちたら助からないよな]
「くうっ、おやつに持ってきたさくらんぼは全部食べてしまったわん。今回のところはボクの負けで良いわん……」
これは特訓をしておいて、さくらんぼ種飛ばし大会を開くしかない。
「おっしゃ、オレの勝ちっす。って、わん太さん何か変なこと考えてるっすね?」
「きゅっきゅー!」「しゃしゃーっく!」
イナバくんとナギサくんも種飛ばしをしていた。
❤〚ナギサくん凄い……〛
◎[水鉄砲というか魔法に乗せて飛ばすのは反則だろw]
「あれは……オレの負けっす。ナギサ師匠って呼んだほうがいいっすかね?」
「さくらんぼ飛ばし大会を開くときは魔法禁止にするわん……」




