第53話 雪の戦場2
「ドゥーエ君、大声を出すと魔物に気づかれるよ。まあ、ここの魔物はそれほど強くないから良いけど」
丘の上の魔物の半分くらいはこっちを見ている気がする。
「えぇっ! オレのせいっすか? てか、あれ、なんて魔物っすか?」
白い魔物が雪玉を投げながら近づいてくる。
◯[とっても見たことがある姿してる]
▽[確かに、どっちの陣営も知ってる姿してるな]
∈[あれはやっぱり魔物なのかにゃ?]
「正式な名前ではないかもしれませんが、あの二種類の魔物は『スノーマン』と『雪だるま』と呼んでいました。ちなみに三段の方が『スノーマン』、二段の方が『雪だるま』です」
赤いバケツが似合っている。しかし、木の枝で作られた手が動いていないのに雪玉が飛んでくるのは魔法かもしれない。
「雪玉の射程に入る前に先制攻撃しとくわん」
さっき収穫しておいた『キナ』をドゥーエにも渡す。
「せーのっ! キナーーーーッ!」「キナーーーーッ!」
―― ドガガァッドガァァーーーッン!!
◯[おーっ、凄い威力]
◆[なんで爆発するんだ?]
∴[掛け声が大事らしいから、一種の魔法?]
「しかし、これ投げると気持ちいいっすねぇ」
「確かにだんだん楽しくなってきたわん。ところで、『雪だるま』の数がだんだん増えてる気がするんだけど?」
▽[スノーマン陣営から雪だるまが移動してきてる?]
◎[確かにスノーマン陣営の中に雪だるまがチラホラ混じってるね]
どこに紛れていたのかスノーマン陣営の中にいる雪だるまが慌てて移動しているようだ。
「あ、熟れたキナが切れたわん」
気持ちよく投げていたため、あっという間に採取していたキナがなくなってしまった。残りのキナは完熟で割れており投げても爆発しない。なので、持ち帰っておやつにするつもりだ。
「見た目通りなら、オレのハンマーが効きそうっすね」
やる気のドゥーエと近づいてきたスノーマンを攻撃する。
―― ボスッ!
水平に振り切られたハンマーがだるま落としのようにスノーマンの胴体をはじき出した。
◯[えぇーっ?!]
▽[スノーマンが雪だるまになった?!]
◎[三段のスノーマンのお腹がなくなって二段になると雪だるまになる。うん、完全に理解し……できない]
二段になってスノーマンから雪だるまになった魔物はご丁寧にも陣営移動をしている。
「二段の雪だるまを一段に減らしたらどうなるんすかね?」
「当然、雪うさぎになりますよ」
次々と矢を放っていたリュードさんがさも常識かのように教えてくれた。
❤〚雪うさぎかぁ、あ、ホントだ〛
◆[確かに時々混じってるけど、すぐどこかに行ってるな]
スノーマンや雪だるまに混じって葉っぱの耳を生やした雪うさぎが戦場から離脱していくのが見えた。
「あれ?! 『雪うさぎ』じゃないわん」
逃げ出す雪うさぎをじっと見つめて見えたのは違う情報だった……ので、ポチッと。
名称:雪大福
説明:白いポヨポヨ
雪うさぎ、雪だるま、スノーマンと重なっていく
あまり跳ねない
「これでヨシ!」
∈[ヨシ! じゃないにゃ! 適当に名前つけすぎにゃ! ポヨポヨでもないし]
◆[ということは、あいつら全部同じ魔物だったのか]
◎[白いポヨポヨじゃないんだ……]
「まさか三種類が同じ魔物とは思ってみませんでした。まあ、スライムならあの弱さも納得がいきます」
「まあ、軽く殴るだけで飛んでいくし、楽勝っすね」
「雪玉はかなり鬱陶しいわん……」
時々キナが入っている雪玉を避けながら、なんとか雪の戦場を後にするのだった……




