第50話 こたつ
「こんにちわ~ん、ぬいぐるみ系VTuber、猫乃わん太わん。冬のおこたでミカンは抗えない魅力があるよね。ところで、アンメモにミカンってあるわん?」
夏イベントから戻って来たというのに外は大雪で出かけるのがつらいため拠点である家の中のこたつの中から配信を開始した。
◯[こたつ! あったかそう? ミカンは見たことないな]
◎[そういえば、どうして雪が降ってるん?]
◆[検証の結果、わん太がいるのは南半球で俺たちがいるのは北半球っぽい]
「その雪なんだけど、どうやら通常より凄くおおいらしいんだよね」
同じくこたつに入っている町長のヒャルメンさんを見た。今日はこの豪雪対策を話し合うために家に来てもらっているのだ。
「ふむ、儂らは南の方から来たが、そこでもこんなに雪が降ることはなかったんじゃがなぁ」
どうやらこの雪は異常事態っぽい。
「南の方には時々雪を降らす大きな山があるんじゃ」
△〚へぇー、雪を降らす山、え?!〛
∪[雪が降る山の間違いでは?]
「その山は供物を切らすと噴雪するんじゃよ。噴雪すると大量に雪が降ってきてなぁ……」
◆[噴火ならぬ噴雪ってわけか。なかなかファンタジーな山だな]
◎[あれ? 供物を切らすと雪が降るっていうけど、ドウェルフの人達みんなこの町に来たんでは?]
「その祠が今どうなってるかわかるわん?」
「いんや、山の麓に住んでた一族みんなで移動してきたからのう。山神様が怒ってるかもしれんなぁ」
ヒャルメンさんは遠い目をしながらお茶を啜っている。
「いやいや! この大雪、絶対そのせいわん! 今からでもお供えしに行ったほうがいいわん!」
◯[絶対原因がそれなの草]
∪[山神様激おこ案件なのは間違いない]
「ところでヒャルメン殿、今までお供えはどんなものを供えていたんだ?」
ヒャルメンさんと同じく豪雪対策の話し合いに来ていた土竜族の親方が問い掛けた。
「暖かくなるものじゃな。毛皮や薪、火属性の魔石なんかもお供えしておった」
「なるほど? 良くわからんお供物じゃな。その山神とやらはどんな奴なんじゃ?」
ヒルメさんが首を傾げている。確かに供物としては謎な基準だ。
▽[大雪を降らす山の神が温かいものを欲しがるのもおかしな話だな。ま、暖かくなるものならそのこたつでいいんじゃない]
∈[その山神はたぶん寒がりなのにゃ。ところで、そのこたつウチも欲しいんだけどバザーでの販売はないのかにゃ?]
◎[確かに、冬になったら是非欲しい。まだ、思いっきり暑くて夏だけどw]
この豪雪が止むのであればお供えをしてくるのも悪くはないかもしれない。
「それじゃあ、予備もあるし、こたつをお供えしにいくとして……誰がいくわん?」
「妾は行かぬぞ。寒いのは苦手じゃ」
「ワシも流石に仕事がたまってるからな、誰か若手を一人は出そう」
ヒルメさんはお留守番、土竜族の誰かは来てくれると。
「祠の場所を知ってるものも必要ですな。途中を考えるとリュードに頼むかのう」
リュードさんは弓が得意な狩人さんだ。ん、つまり途中は危険?
「もしかして、途中は危険なのかわん?」
「危険というほどではないはずじゃ。それに、この雪では普通の魔物も出てはこんじゃろ」
◯[これは間違いなくフラグ]
◎[普通じゃない魔物が出てくるやつだ。俺は詳しいんだw]
「ところで、その祠まではどうやっていくのかえ? この雪では馬車はもちろん、竜車も使えんぞ」
そういえば道も完全に埋まってる。いや、そもそも南方面はまだ道が開通していない。
プカプカと浮きながらナギサくんが近づいてきた。ナギサくんはサメの形をしてはいるがれっきとした水の精霊様である。
「しゃっ、しゃーっく!!」
「え、ナギサくんが運んでくれるの?」
「しゃしゃ、しゃーっく」
どうやら、大きくなったら2,3人は乗せて移動できるらしい。
❤〚さすがナギサくん〛
◯[そういえば浮いて移動できるから雪でも問題ないのか]
◆[最強の騎獣はサメだったか]
結局、少数精鋭でナギサくんに乗って祠へ向かうことになったのだった。




