第49話 夏イベント16
『アンメモ公式生放送、はっじまるよー!』
早いもので、みんなとエリアボスを倒してから1週間が経過し、夏イベントも最終日となっていた。
「楽しかった夏休みが終わる気分わん」
▽[夏休みか、いいよなー]
∈[う、夏休みは終わられると困るのにゃ]
※[夏休み……ううっ……]
夏イベント最終日、初日と同じように元開拓村、今やフォルダンの街として賑わう海辺の街で公式生放送が始まった。
プレイヤーも皆、初日と同じようにスタート地点である海岸の櫓の前に集まっていた。
「で、ボクたちは念のためロコノオ城下街で最終日なんだよねー」
安全のため初日のスタート地点に集合するように運営からのお知らせがあった。フォルダンの街にいたらワンチャンみんなと同じところに転移しないかとも考えたが、実際にクランのみんなも一緒に転移してしまうとパウリの町が困りそうなので大人しく指示に従っておくことにした。
◯[わん太がいないとパウリの町も困りそうだし、もふもふな配信がなくなるのも困る]
◆[フレンド登録したから連絡はできるよ……たぶん]
「たぶんって、フレンドチャット圏外とかないよね? せっかくフレンド数爆増したのに」
∴[配信出来てるから圏外wってことはないんじゃないかな]
◎[少なくとも今回みたいなイベントがあれば同じとこに来れるってわかっただけでも良かったじゃない]
「念願のオフ会?が出来て楽しかったわん」
みんなとの祝勝会の後はロコノオ城下街とフォルダンの街を往復する竜車も開通し、ボクもフォルダンの街に行くことができた。
∪[オフ会と言う名の鬼ごっこ]
∈[中々熱い戦いだったのにゃ]
―― 『……イベント後半には非公式のユーザーイベントも開催されました』
空中に浮かぶ巨大なスクリーンにフォルダンの街の屋根を走るボクの姿が映しだされた。
▽[非公式のユーザーイベントw]
∴[公式のHPに手配書貼ってあって非公式w]
◆[街中のスクリーンショットの体裁だからセーフw]
「けど、これでツチノコ扱いとか存在してないとかは言われなくなったわん」
◎[非公式NPCとか、非公式ゆるキャラとは言われてる]
∈[イベント限定キャラとかもあるにゃ]
「え、ぬいぐるみ系VTuberとしての知名度は?」
◯[……]
∪[……]
▽[……お、そろそろイベント終了だぞ]
―― 『……2週間にわたって開催された、第一回 夏イベント サマーバケーション in 開拓村もフィナーレです。それではみんなー!』
『5、4、3、2、1、0……!』
海岸沿いに一斉に花火が打ち上がる。
同時に足元で光った魔法陣が城の中庭いっぱいまで広がった。
ふわりとした浮遊感にエレベーターで降りるような下降感。足元に再度現れた魔法陣が消えていく。
「わん太さん達が帰ってきたぞー!」「早く村長に連絡しろ」
そんな声が聞こえる中、次々とみんなの転移が終わり、イベントに出発した時と同じ宿屋前の広場が埋め尽くされていく。
「今度は無事に転移できたみたいだわん」
「パーティ毎に集まって点呼しろ! 全員揃ってるか?」
親方がテキパキと確認していく。
「みんな揃っているようじゃな」
「きゅっ!」「しゃーっく!」
イナバくんとナギサくんも元気に返事をしている。
「ナギサくんも無事にこっちに来れたね。えーと、ミラさんは?」
「小娘は来とらんな。まあ、来られると向こうの管理者が居なくなって困るだろ」
一応クラン加入してフレンド登録もしているから大丈夫かな。
2週間ぶりのダンジョンの村だが、見回すとだいぶ家が増えている。もはや町と言ってもいいかもしれない。
そして、もっと気になっていることが一つある。
「なんで夏イベントから帰ってきたら周囲一面の雪景色なんだわん?!」
―― 夏イベントの長い転移陣を抜けると雪国であった。
そんな一節が浮かんだが、ボクの叫びは降り出した雪に吸い込まれていった。




