第46.5話 閑話 夏イベント13
山道を下りたエリアボス討伐メンバーは待機していた荷馬車に乗ってロコノオの町に向かっていた。
「なあ、アーサー、俺たち別なゲームを遊んでたんじゃないだろうか?」
荷馬車がすれ違える程の幅に舗装された街道を見ながらペンドラが黄昏れていた。
「シミュレーションゲームで異なる時代を遊んでいるような気もしなくもないが……いや、やっぱおかしいよな! なにあの城壁!!」
木々を抜け、見晴らしが良くなった先には3メートル以上はありそうな城壁に囲まれた町が見えている。城壁の向こうには立ち並ぶ家々の屋根が並び、巨大な城がそびえ立っていた。
「にゃんにゃのにゃ、あの町はにゃんにゃのにゃー!」
「うわっ、そんなに揺らさないでわん。あれがロコノオの町……なんだけど、今朝より城壁が城壁になっている気がするわん?」
わん太も不思議そうに首をかしげた。
「めちゃくちゃ発展してないか? 開拓村もアーサー達が頑張ってフォルダンの町になったけど、木の柵だぞ」
「わん太のとこも初日はなにもない廃墟だったはずだにゃ。プレイヤー数も開拓村が圧倒的に多かったはずにゃ」
―― 「わん太様たちが帰ってきたぞー!」「開門!かいもーん!」
討伐隊の姿を確認した城門付近が慌ただしくなった。
―― プレイヤーが『ロコノオの町』に到着しました。
以降「フォルダンの町」との交易が開始されます。
「なっ!」
「ふぁっ!」
「やっぱり、わん太はプレイヤーじゃなかったんだにゃ……」
「えぇっ! いやほらボクはプレイヤーだからね。って、あ……」
―― イベントミッションが更新されました。
進行状況を更新します。
スタンピードの発生が抑制されました。
―― フォルダンの町を復興しよう CLEAR
* 海水浴場を開放しよう CLEAR
* ダンジョンへ入ろう CLEAR
* エリアボスを倒そう CLEAR
―― イベントミッションがクリアされました。
『フォルダンの町』が復興しました。
次々と告げられる突然のワールドアナウンスに荷馬車上のメンバーも騒然としていた。
◆ ◇ ◆
プレイヤーに対するワールドアナウンスに混じってわん太にだけの通知も行われていた。
―― ルーダン魔王国を復興しよう CLEAR
* ロコノオの町を復興しよう CLEAR
* ロコノオ城下街に発展させよう CLEAR
* ???? CLEAR
* ???? CLEAR
* ???? CLEAR
―― 建国ミッションがクリアされました。
『ルーダン魔王国』が復興しました。
『ルーダン魔王国』内のスタンピードの発生が抑制されました。
「もはや訳がわからないわん。そもそも、????のままでクリアとかってどうなんだわん?」
◆ ◇ ◆
―― イベントミッションが更新されました。
進行状況を更新します。
スタンピードの発生が抑制されました。
「スタンピードの発生、抑制されましたね……」
「そうね、折角だから残りの夏イベント期間中夏休み取ってもいいかな?」
開発室のモニターにはイベントミッションの進行状況に関するアラートが表示されていた。
「駄目に決まってるじゃないですか! チーフが休み取ったら残りの夏イベントどう収拾つけるんですか?」
「そうは言ってもねぇ、エリアボス戦にスタンピードによる開拓村防衛戦。夏イベント後半の目玉要素が既に片付いちゃったんだからしょうがないじゃない……」
チーフは投げやりにアンメモ夏イベント企画と書かれた資料をパラパラとめくっていく。
「あっ! これは……いけるかもしれない」
「なんだかとっても悪どい顔になってますよ?」
「あー、うん、多分いけるね。いやー、事前情報を絞ってたのがこんなところで生きてくるとは思わなかったわ」
「一応、聞きますけど何か良い案を思いついたんですか?」
聞きたくなさそうにしつつも恐る恐るチーフに尋ねた。
「夏イベントは残り1週間の2週間限定開催。夏イベント後半なんてなかったんだよ。後は平和にバカンス楽しもうじゃないか!」
かくして、『第一回 夏イベント サマーバケーション in 開拓村』は平和裏に終了することが決定したのだった。




