第30話 Unmemory Dungeon3
「そーれっ!」
フルスイングして赤いポヨポヨにめん棒を叩きつけると、ポヨポヨはそのまま光の粒になって霧散した。後には先程と同じく透明な液体の入った小瓶が残る。
「きゅっきゅっきゅー!」
イナバくんが小瓶を咥えてぴょこぴょこと駆け寄ってきた。
◯[イナバくんTueeee!]
▽[魔法で一発だったぞ、これは、わん太いなくても大丈夫だな]
❤〚イナバくんきゃわわわ〛
「あれ、ちょっと、みんな、ボクの活躍は見てくれてた?」
◯[……]
◎[……]
▽[……]
「えー、ボクの『めんぼーこんぼーくん1号』での無双っぷりを見ていなかっただなんて……」
床に崩れ落ちたボクをイナバくんがポフポフと肩を叩いて慰めてくれる。
∈[『めんぼーこんぼーくん1号』って、また変な名前をつけてるにゃ]
▽[また鑑定結果が荒れそうな名前をつけてからに……]
◆[ところで、このダンジョンでの鑑定結果って外に反映されると思うか?]
アンメモの鑑定はいわば集合知のようになっている。
例えば魔物の場合、まず、初討伐者が名前をつけることができる。その後は別なプレイヤーでもMPを支払うことで別な鑑定結果を用意したり、一部変更したりが可能だ。
なお、複数の鑑定結果がある場合、鑑定したプレイヤーからの評価によって表示の優先度が変わっていく。
「反映する前提だと思うわん。ここだとMPを支払わなくても設定可能だから、運営がデータ入力しないで良いように新規実装アイテムをここにばらまくと見たわん」
◎[運営への信頼が草www]
▽[それでいてつける名前が『めんぼーこんぼーくん1号』]
∈[アイテムの説明をする際に大真面目に『めんぼーこんぼーくん1号』とか言わないといけない情報クランに謝るにゃ]
「えー、やっぱり『こねこねパン丸』とかの方が良かったかなぁ?」
∈[この犬に名前を付けさせてはいけない気がひしひしとするにゃ]
▽[けど、わん太のところの方が新種のアイテムいっぱいなんだよなー]
◆[このダンジョンなんて新種しかなさそうだし]
「そんなことより、これこれ、多分次の階への移動用だよね」
部屋の中央には、真ん中に階段のような模様の描かれた魔法陣があった。
◯[多分そうだねー、ちょっと乗ってみる?]
◇〚移動前にこの階層を一通り見て回るのが基本じゃないかな〛
◆[フロアマップを見る限り、多分、これ以上部屋はなさそう]
「へ?! フロアマップ? もしかして、手作業でマッピングしてくれてた?」
◆[いや、配信視聴画面の右下にあるアイコンにフロアマップ表示がある]
∈[え、あ、ほんとうにゃ。半透明で重ねて表示されるにゃ]
△〚こっちはないな。ゲーム内の視聴だけだろうけど良いなぁ〛
「リスナーさんの方が高機能疑惑……ボクの方にもフロアマップ表示設定は……」
メニューを探すとミニマップとフロアマップ表示の切り替えを発見した。視界の端にサイズを調整して表示する。
「確かにこれは便利だわん。そっちの通路が元々降りて来たとこに繋がってそうだね」
少し通路を覗いてみるも更なる通路などはなく、この1階は2部屋だけのフロアであったことが確定した。
◯[そろそろ次の階に移動する?]
◆[スライムしかでないのなら、移動してしまうのも手かな]
「まだ1階だし、サクッと次の階に移動しようか」
部屋中央の魔法陣に乗るとじんわり光りだした。
―― 次の階に移動しますか?
【*】 移動する
* 移動しない
* ログアウトして中断する
中断は出来るみたいでホッとするが、もちろん移動するを選択した……




