第27話 ダンジョン配信
「おはよ~わ~ん、ぬいぐるみ系VTuber、猫乃わん太わ~ん。今日はダンジョンがあるという新しい村の建設予定地まで来てみたわん」
「きゅっきゅー!」
ボクたちは今、ボクが最初にアンメモに降り立った地のすぐ近くに来ている。ボクはパウリの町のある西に向かったが、東に進むとこのダンジョンがあったようだ。
◯[おはようわーんって、そこ今から村をつくるところだよね?]
▽[俺の目には既に村ができているようにも見えるんだが]
そうなのだ、実に村の半分ぐらいは既に完成している。ドウェルフの大工さん達があっという間に家を建て、現在は土竜族のみなさんが村の周りに塀をつくっている最中だったりする。
「実はダンジョン探索がトラブってるらしくって、探索用の人員も村作りにかりだされた結果、村が結構出来上がってるらしいわん」
◇〚実はダンジョンがなかったとか?〛
◎[トラブってるけど人は居るってことはダンジョンに入れない?]
「そうそう、どうやらダンジョンに入れくなったとかで、今から話をきくとこなんだ」
詳しく話を聞くためにこれまでにダンジョンに入ったことがあるという人がくるのを待っているのだ。
「貴方が王様かしら?」
そうこうしているうちに一匹の白い猫さんに話しかけられた。見た目は完全に白猫であるが、二足歩行をしている。
「王様って言われるとちょっと困るけど、ここに村を作ろうとしている猫乃わん太だわん」
◯[きれいな猫様きたー!!]
❤〚もふもふ猫さん……〛
▽[後ろに控えてるのは犬かな?]
猫さんの後ろには同じく二足歩行の犬さんがいる。ボクと違って等身も高く普通?の犬が二足歩行をしている風だ。
「私達はこの辺にふらふら住み着いている猫妖精と犬妖精となります。よろしくお願いしますね」
そう言って猫妖精さんと犬妖精さんは頭を下げた。
ダンジョンについて詳しく聞くと、小さな岩山に開いた洞窟型のダンジョンであり、彼女らの一族は時々ダンジョンに入って魔物の間引きとドロップアイテム等の回収を行っていたらしい。ところが、少し前からダンジョンの入り口に不思議な石碑が現れ、ダンジョンに入ろうとしても結界のようなものに阻まれて入れなくなったとのことだ。
「これが急に現れたという石碑かー」
案内されて着いたダンジョンの入り口横にはボクの背より少し高いぐらいの石碑があった。
―― Unmemory Dungeon ランキング
「……ランキング」
◎[Unmemory Dungeonってどう考えてもアンメモ関連]
▽[ランキングってことは、ここはランキングが出るダンジョンなわけか]
∈[にゃんにゃのにゃ……、そんなタイプのダンジョン初めて見るにゃ]
◆[一応、この前のアップデートにこんなのが書いてあったぞ]
* 一部地域に試験的なダンジョンをテスト実装
◯[一部地域は草w]
▽[【悲報】わん太王国はベータ版の中の試験地域だった]
∈[特殊な地域なことは間違いないにゃ。実験的に利用されても困るのはわん太だけにゃ]
「みんな勝手なことを言って……。あながち否定できないのがくやしいわんw」
とりあえず、このダンジョンは試験的なダンジョンであるのは間違いない。けど、入れなくなったとはどういうことだろう?
「あの……、その石碑に書いてある文字が読めるのですか?」
「あ、はい、この文字はボクの……故郷?で使われてる文字になります」
アンメモで使用されている文字は今まで見たことのない独自の文字だ。もっとも、プレイヤーが見る分には翻訳された内容がAR表示されるため読むのに困ることはない。
「『ランキング』と書いてあるので、おそらくダンジョンの攻略具合とかを競うんだと思うわん」
「はぁ、しかしダンジョンに入れないことには競いようがありませんね……」
猫妖精さんはダンジョンの入り口をぽふぽふ叩いている。
入り口は水の膜が張られているかのようにぽふぽふされるたびに揺らめくが入れそうにはない。
「何かダンジョンに入るための条件とか資格があるのかもしれないわん」
子狼たちも楽しそうにぽふぽふしだしたのでボクも試してみる。
―― ちゃぽん
「おわわっわっと!」
予想に反して薄い膜を通り抜けるようにかすかな抵抗だけで手が中に入った。
❤〚わっ、わん太くんだと入れそう〛
▽[……知ってた。むしろ、わん太が入れなかったら誰がはいれるのかと]
◎[ダンジョン配信楽しみにしていますw]
「えー、入れちゃうの? ちょっと、そのへんにいる人たちをあつめてもらえるかな、とりあえず、他に入れそうな人がいないか試してみよう」
いったん村づくりを止めてもらって皆で順番にダンジョンに入れそうかを試していく。ボクと手を繋いでいたらどうなるかや、右手と左手で異なるかなどなど……
「【悲報】ボクしか入れないわん。あ、イナバくんはボクと一緒だと入れそうで、単独では入れない模様」
うすうすというか、がっつりそんな予感はあったんだけど、やっぱりボクだけしかダンジョンには入れなさそうだった。
「よーし、それではダンジョンはわん太殿にまかせて、俺たちはとっとと村を完成させるぞ!」
「おーっ!」「わん太さままかせた!」「がんばってねー」
親方の号令でみんなは村づくりに戻っていった。子狼たちもちょっとかなしそうにしつつ着いてきていた子供たちと戻っていく。
「ダンジョンのことは王様にお願い致しますニャ」
猫妖精さんもそう言って村づくりの方に合流しにいった。
◯[あ、やっぱり『ニャ』って言うんだ]
◆[結局、そのダンジョンは今のところプレイヤー専用で良いのかな?]
∈[早速入ってみるのにゃ!]
「やっぱり入らないと駄目だよねー」
ぼやきながらイナバくんと一緒に洞窟へと一歩踏み出す。
―― Unmemory Dungeon へようこそ




