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【VTuber】猫乃わん太 through Unmemory World Online【ぬいぐるみ系】  作者: 水城みつは
第一章 アンメモへようこそ!

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第23話 エリアボス2

「よし、わん太よ、走るのじゃ」

 そんなヒルメさんの掛け声からエリアボス戦は始まった。


「うさぎさんはどうして、こうも執拗にボクを追いかけてくるんですかねぇー!」

 赤く血走った眼をした角兎たちがボクを追いかけてきては時折アタックを掛けてくる。鬼のような2本の角を持った巨大な角兎、もう鬼兎と呼ぼう。もボクの速度が落ちるとその巨体で突っ込んでくる。

 そしてボクは鬼兎を中心にその周りを角兎を引き連れてひたすら走っている。ただ逃げるだけのボクが兎たちのヘイトを完全に集めている。おかげて他のパーティは横から角兎を流れ作業的に倒していくだけの簡単なお仕事になっている。


「わふっ!」「がうっ!」

 二匹の子狼はボクと一緒にはしりつつ、時々角兎を爪の一撃で倒している。何気に強い。


◯[なにこの大運動会。見ている分には楽しいんだけど、そろそろわん太も限界のような……]

▽[わん太にヘイトが集まりすぎてて他の人は回転寿司で廻ってくる角兎を順番になぐるだけになってるw]

◎[けど、順調に取り巻きの角兎は減ってるよ]


 当初は100匹以上いたと思われる取り巻きの角兎もほとんどいなくなった。そろそろ本命の鬼兎討伐に入れそうだ。


「よし、お前ら一気にボスを叩くぞ!」

 親方の掛け声と共にまずは自警団パーティが鬼兎に突撃した。

「はぁっ!」「てやーっ!」「そいや!」

 横並びに槍を構えて一斉に突き刺した。


◎[やったか!?]

◯[あー、それはフラグw]


『きゅきゅっー!』

 槍の攻撃を受けた鬼兎がうっとおしそうに首を振りながら唸った。ダメージを与えたようには見えない。


「どっせぇーいっ!」

 いつの間にか鬼兎の後ろに回り込んでいた親方が巨大なハンマーを振り上げて力いっぱい叩き込む。


―― ぽふっ


△〚ぽふっ? なんか全然効いてなさげな音が……〛

◎[これは良いもふもふの予感]

◆[ダメージはいってなさげだな]


「ふむ、あの毛皮のせいで物理攻撃はほとんど効かなさそうじゃのー」

 ヒルメさんがどこからか取り出した扇をぱたぱたさせながらそんなことを言う。


「えー、それだと攻撃手段がないのでは?」

「物理が駄目なら魔法を使えばよいのじゃ、ほれ、さっさと攻撃せんか」


∈[魔法! やっぱり魔法があるのかにゃ]

◆[スキルにあるのか、それとも別の手段なのかわかる?]


「とくと見よ赤き炎の精霊よ その力にてその身を焦がせ ファイアーボール!」

「とくと見よ青き潮の精霊よ その力にてその身を濡らせ ウォーターボール!」

 探索者パーティでローブ姿だった人達が呪文の詠唱と共に魔法を放った。


◎[詠唱きたーっ!]

◯[魔法きたーっ!]

◆[おーっ、何気に魔法が実際に確認されたの初じゃないか?]


『きゅうっー!』

 攻撃が大したことないと油断していたのか、二連発で魔法の直撃を受けた鬼兎がよろめいた。


「今だ! お前ら畳みかけ……」

『きゅうきゅきゅきゅっ きゅうーっきゅきゅきゅっ きゅきゅっきゅー!』

 鬼兎の周囲に石の塊が浮かび上がる。


◯[えっ? 魔法……]

▽[眼が金色になった……]


「全員散開!」

 ヒルメさんの声にハッとして鬼兎の正面から離れる。


―― ズガガガガッ


 打ち出された石礫が地面を削る。

「精霊付きかえ、厄介なエリアボスよのう」

「精霊付きってなんだわん?」

 ぱたぱたと扇であおぎながら全く厄介そうに思ってなさそうなヒルメさんに聞いてみる。

「普通はエリアボスと言ってもせいぜい巨大化しているぐらいじゃ。まぁ、稀に1段階進化している場合もあるがの。『精霊付き』は魔法が使えるようになった特殊個体のことじゃの」


∈[うにゃにゃにゃ。この世界(アンメモ)の魔法は精霊が必要なタイプにゃのか?]

◆[そういや詠唱も精霊に呼びかけてたな]

◎[おわっ、突っ込んできたぞ、よけろ!]


 鬼兎がボクに向かって突進してくる。

「吹き荒れろ風の精霊切り裂かん 風爪!」

 ヒルメさんが手に持った扇を一閃した。土埃が舞い、鬼兎めがけて何かが飛ぶ。


「きゅきゅーっ」

 急停止した鬼兎は横っ飛びに避けるも後ろ足をかすめたらしく着地に失敗して転がる。


「今のは風魔法?」

「武技と風魔法の中間ぐらいの技じゃの。それより、やるなら今じゃ」


 鬼兎は動けずにおたおたしている。この隙に秘密兵器を取り出そうじゃないか。


◯[ん? なにか取り出したけど、布?]

❤〚あれは……ハンカチ?〛

▽[汗を拭くわけではんさそうだな。もしかしてあれが秘密兵器か?]


 とりだしたハンカチを両手で広げ、鬼兎を正面に据える。

「あー、真っ赤ななんとかほにゃにゃせいれーさん えーとなんとかかんとか燃えろ……」


▽[呪文の詠唱だと……?]

∈[なんだかとっても適当にゃ あれで発動するのかにゃ?]


「……ファイアーボール!!」


 魔力を集めたハンカチが燃え上がり、炎の矢が鬼兎へとまっすぐに放たれる。


◎[魔法!]

∈[にゃにゃ、まじかにゃ、わん太魔法使いにゃ!]


 放たれた炎の矢はまっすぐに鬼兎の眉間へと突き刺さり……

「きゅきゅーっ」

 鬼兎の体は光の粒子となって霧散した。


「たおした……?」

 暴走気味に魔力が吸い取られたようで体に力が入らない。


「わん太よ、見事なトドメであったぞ」

「流石、わん太殿。これでエリアボス討伐完了だ」

 ガハガハ笑いながら親方が背中をバシバシ叩いてくる。


―― エリアボスが討伐されました。

  これにより、パウリ平原の魔物出現率が低下します。



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