第22話 エリアボス
―― 緊急ミッションが開始されました。
* エリアボスを倒そう
「エリアボスを倒そうって、チュートリアルミッションにしては難易度高くない?」
◯[草ぁ]
◎[チュートリアルミッションではないと思う……思いたいw]
▽[エリアボスは流石にソロではきついだろ]
「いやいや、ソロで倒しにはいかないよ? え、そんなミッションじゃないよね」
騒然としている探索者ギルドを見回すと緊急ミッションへの参加者を募っていた。どうやら複数パーティでレイド戦となるようで安心だ。
「それじゃあ、ボクもレイドに参加してくるよ」
「妾もチビたちと一緒にいこうではないか」
突然後ろからヒルメさんがいつもの巫女服で現れた。おおかみ耳と尻尾のおねーさんである。
「わん太殿、ワシもパーティに参加させてもらってよいか?」
でかいハンマーを持った親方がそう言いながら近寄ってきた。土竜族の親方はエリアボスの第一発見者でもある。東に道路を伸ばしていたところにエリアボスが現れたらしい。
ボクたちのパーティーには更に受付のおねーさんも加わって6人のフルパーティーになった。ギルド出張所の職員は一人だけであり、出張所の責任者でもあるらしい。
エリアボス討伐のレイドパーティはボクたちの他に探索者で2パーティー、および、自警団からなる2パーティーの全部で5パーティで向かうことになった。
いつの間にか自警団とかも出来ていたらしい。戦力的にはまず問題ないとのことで安心だ。
▽[しっかりレイド戦みたいだな]
◎[わん太が何もしなくても大丈夫そうな戦力具合のチュートリアルミッションw]
◯[こう見えてわん太激強だからな。イベント上位入賞者だったりするし]
「そうそう、ボクは結構つよいんだわん。それに、今回は秘密兵器も用意してあるんだ」
∈[秘密兵器! それはなんにゃ? 武器、それとも、アイテム?]
▽[駄猫は落ち着け。事前にばらしたら秘密兵器にならないだろう]
エリアボス討伐の準備は着々と進み、走竜と呼ばれるトカゲのような竜が荷車を引いてきた。荷竜車と言うのかと思いきや、竜が引く荷馬車で良いらしい。この世界では馬の代わりに走竜が居るのではなく、走竜は馬の上位互換の高級品扱いのため、馬車に代わっての竜車はあるが、荷馬車を走竜で引くことはほとんどないとのことだ。
5パーティが竜の引く荷馬車に分散して乗り込んでエリアボスの目撃されて付近へと向かう。石畳で舗装された道路になってはいるものの、かなり揺れている。
◯[うー、画面見てると酔いそう]
◆[配信のカメラ設定に手ぶれ補正なかった?]
「あったわん。手ぶれ補正をONにして……って、カメラ手で持ってないのに手ぶれ補正なのおかしくない? あ、カメラの追従制御もスマート制御が増えてるのでこっちにしてみるわん」
前方に回り込んでくるカメラに向けて手を振る。カメラは他の人には見えないがボクには半透明のAR表示で見えている。どうやら複数のカメラを設定して切り替えも可能みたいだ。
◯[お、見やすくなった]
❤〚お手々を振るわん太きゅん、かわわ〛
▽[おい、なんか白いのがみえてきたぞ]
「止まれー、止まれー、エリアボスの縄張りにはいるぞー」
次々に荷馬車が止まり、戦闘準備を整えたパーティが降りてくる。前方には赤い目をしてこちらを見ている角兎たちと、小型トラックを超えるような巨大な角兎がいた。
◇〚でかいな、荷馬車と走竜をあわせたサイズより大きいぞ〛
◎[あのでかいやつ、角が2本ある気がするんですけど?]
赤い目の兎たちは完全な臨戦態勢でこっちを見ている。
「なんだかボクのこと睨んでない?」
そーっと横に移動すると兎たちの頭も同じ方向に動く。反対側におそるおそる移動すると兎たちの頭も反対側に動いた。
▽[完全にロックオンw]
◯[集中砲火まったなし]
◆[たしか、わん太って兎関連の称号持ってたよな、そのせいじゃないか]
「あ、そういえば、兎の天敵を持ってた気が……兎の殲滅者になってる」
ステータスを開いて称号を確認すると兎の天敵が兎の殲滅者に進化?していた。
∈[兎の殲滅者! 明らかに天敵の上位称号にゃ、わん太はどれだけ兎を倒したのにゃ……]
▽[天敵の1000匹もだけど、そもそも兎は逃げ出すから倒すこと自体が難しいだろ]
◆[殲滅者も同系統の効果だとするとヘイトの集まり具合が……見ての通りだね]
うさぎさんたち大注目の元、エリアボス戦が始まろうとしていた。
―― エリアボスとの戦闘を開始します。




