第21話 パウリの町
小高い丘を中心とした『パウリの町』は村から町へとアップデートされ急速に発展していた。
「こんにちわ~ん、ぬいぐるみ系VTuber、猫乃わん太わん」
前回もふもふの罠で半分寝ていたのを反省し、今日は縁側からの配信はやめて町に下りる道の上からの開始である。とはいっても、二匹の子狼はボクの周りをうろうろ擦り寄ってきている。
❤〚こんにちわーん、もふもふ、もふもふがかわいいんですけど!〛
▽[おはよー、そのもふもふはレギュラー化?]
「別にレギュラーではないけど、ここのところ、ヴァンとフェンとは一緒にうろうろしてるね。ヒルメさん、あ、あの巫女さんっぽい格好をしてたおおかみ獣人さんにも頼まれてるんだ」
町へ下りる道も土竜さん達のお陰で舗装されて歩きやすくなっている。建物も民家だけではなく、いつの間にか探索者ギルド出張所なんかも増えているらしい。
◎[おお、すっごく町っぽい]
∈[はじまりの街より町っぽいにゃ]
◆[なんか人通りが多くないか?]
そう、住人として増えたみんなだけでなく、探索者ギルド出張所にくる人や旅商人等、住人以外のNPCが急に増えたのだ。
「どこからともなく現れてて若干とまどってるわん。だけど、何人かはそのまま町に定住してくれるらしいし、『街』にする条件は勝手にクリアされそうで安心だよ」
◆[ん? 次はやっぱり『街』なのか……というか、次のミッション提示されたの?]
「あれ? 言ってなかったかな。『パウリの町』にアップデートされた時に次のミッションもオープンしてたわん」
建国メニューのミッション画面をリスナーにも見えるようにスクショを取って配信に映るようにする。
―― 町を発展させて街にしよう
* ???
* 村を繫ごう
* 住人を増やそう
* ???
▽[『町』を発展で『街』なら『はじまりの街』は3段階目ってことか]
◇〚???の条件なんだろう?〛
∈[今回はクリア条件の数値の表示はないのかにゃ?]
「そうなの、数値表示がなくて詳細をみても『街にふさわしい数まで住人を増やしてください』とかしっかり決まってないんだよね」
運営が具体的な数値を決められていない気がひしひしとする。
ぽてぽてと丘をくだり、露天の並ぶ道を歩いていく。
「おや、わん太様じゃないか、串焼きあげるから食べてってよ」
食堂の前で呼び止められ、夫婦で食堂を経営しているドウェルフ族のおばちゃんに串焼きをもらった。
「おばちゃん、ありがとう。またゆっくり食べに来るね!」
子狼のヴァンとフェンにも分けてあげてから手を振って目的地へ向かう。
◎[うまそうな串焼き。角兎かな?]
◯[露天もむちゃくちゃ賑わってる]
▽[話に聞く王都並みの賑わいじゃないかな]
第二陣と共に開放された『王都』はいわゆるファンタジーっぽい街並みの都市になっているらしい。ほとんど何もなかった『はじまりの街』や、全く何もなかったボクのスタート地点とは大違いだ。
「あ、目的地の探索者ギルド出張所が見えてきたわん」
真新しい木造で二階建ての建物が見えてきた。今日は探索者ギルドに登録するのが目的でもある。
▽[もしかして、わん太は探索者登録していなかった?]
◯[誰もいない平原始まりだったから登録してるはずないよな]
◎[つまり、チュートリアルミッションも受けてないと]
「チュートリアルミッションってなに?」
◆[最初に探索者登録した時に発生するミッションだね。アンメモの基礎を学ぶようのミッション]
◎[『ヨモギっぽい薬草』とかを集めてくるようなミッション]
◯[とにかく、誰でもクリア可能なミッションってこと]
「建国メニューのミッションに比べれば簡単そうだわん」
探索者ギルドのお約束のようなウェスタンドアを開け……くぐってギルドに入った。
「探索者登録お願いします!」
受付のおねーさんに登録をお願いした。
▽[初心者にからんでくるテンプレはなしかー]
◎[女性冒険者に飴ちゃんもらってたけどなw]
◯[この町特有のチュートリアルミッションとかあると面白いのに]
システムメニューの小型版のようなライセンスカードをもらって探索者登録は何事もなく終わった。
「登録かんりょー! で、チュートリアルミッションってどこで受けられ……」
―― バタン
ウェスタンドアが乱暴に開けられ、土竜族の親方が飛び込んできた。
「エリアボスが出た! 緊急ミッションの発動を要請する!」




