第103話 ワンダリングモンスター リザルト
『キーーゥゥッ!!』
『キウゥッーッ!!』
突進するボクを威嚇する番と思わるワンダリングモンスターのキウイたち。
金色キウイは雷、赤色キウイは炎のブレスを細い嘴の先から吹き出した。
「しゃぁぁーーっっく!!」
「きゅっきゅきゅっ!!」
「ナギサくん、イナバくん、ナイスわん」
ナギサくんとイナバくんが土の水の壁を張ってブレスを防ぐ。
その隙間を縫って巨大なキウイたちの足元に滑り込んだ。丸くもこもこした羽毛の影で気付かれていない。
▽[上手い! 気付かれてないぞ]
∴[ペンギンさんの弾幕も始まったぁぁっ!!]
◎[これは別ゲー、てか魔法が普通に使われてるんですけどぉ?!]
アンメモにおける魔法は未だに極一部のプレイヤーしか使用できていないらしい。
キウイたちに降り注ぐペンギンさんたちの魔法。ペンギンさんこと碧鳥人族は水魔法、それに、風魔法を得意としていた。
しかし、キウイたちの厚い羽毛は魔法を弾いているように見える。
頭上で行き交う魔法に当たらないようにキウイたちの足を狙って武器を振るう。
「そーれっと」
赤色キウイの死角になる足元で勢いをつけて奇異鳥切を体ごと回転して切りつけた。
『キゥゥーーッ』
切りつけられた赤色キウイが呻く。
「あー、これはかたいわん」
赤色キウイの脚はその巨体を支えられるぐらいに太く、そして、かたかった。
しかし、叩き込むように切りつけた奇異鳥切の名を持つ骨切り包丁はその威力を発揮するようにぶっとい脚の半分ぐらいまで切れ目を入れた。
更に回転してもう一匹の金色キウイにも切りつける。
『キウゥッ、キウゥゥーッ』
金色キウイの脚にも半分ほどの切り込みが入り、キウイたちの目が初めて足元のボクを見て……倒れた。
◯[Oh……、なんてこった]
∪[キウイさん……脚が体重に耐えきれないなんて……]
▽[待て待て待て、いいのかこんな終わり方で?! 立て、立つんだキウイ!]
『キウーッ』
『キウッッ』
「隙ありわん。ていっ!」
バランスを崩して倒れたキウイたち。覗き込んだことでバランスが崩れ、半分切られた足が耐えられなかったようだ。
眼の前に無防備に投げ出された首を狙って奇異鳥切を叩きつけた。
◎[ああ、無情……。わんこ容赦ないな]
▽[『キウイの天敵』の称号は伊達じゃないってことだな]
∈[あの目は肉を見る目にゃ。肉としか見てない目にゃ……]
何かとっても失礼なコメントが流れてる気もするが、気にせず二匹目のトドメを刺しに行く。
「そーれっと、かたいわん。もひとつ、そいやっ!」
キウイ特効を持つ骨切り包丁、奇異鳥切でも倒し切るまでは数回の攻撃が必要だった。
―― ワンダリングモンスター『徘徊種金色奇異鳥』『徘徊種紅玉奇異鳥』が討伐されました。
これによりエピッククエスト『大迷宮時代』が進行します。
これによりワンダリングモンスターが開放されます。
光の粒となって消えゆくキウイたちに続いてアナウンスが流れた。
∪[おぉー、ワールドアナウンスっっ?! いや何だってぇっ]
∈[ワンダリングモンスター開放でどういうことにゃ? こっちにも出るようになるってことかにゃ]
◆[これは……エピッククエスト『大迷宮時代』で開放された?]
ワールドエリアボス『古の機死人』の討伐時はポータル機能が開放された。と言ってもまだ自由に使えはしないし、むしろ、今現在勇者の祠に向かっているのはそのポータルを実際に使えるようにするためだ。
ワールドクエスト『精霊樹の復活』では魔法が開放されたとは聞く。こっちもプレイヤーが自由に使えるようにはなっていないらしいが。
つまるところ、これらワールドクエストやエピッククエストは進行に伴ってエリアや機能がアンロックされていくクエストなんだろう。
「ふぅ、頑丈な肉……じゃなくて、ワンダリングモンスターは固くて大変だったわん。こんなワンダリングモンスターが開放され――」
―― 称号『キウイの天敵』が『キウイの怨敵』に変化しました。
「――ふぁぁっ?!」
▽[おっと、わん太どうした、スキルでも手に入ったか?]
∪[アナウンスは聞こえてないからあっちだけかローカルなアナウンスね]
∈[で、何が起きたのにゃ。怒らないから早く教えるにゃ]
「いや、うん、大したことではないわん。ちょっと称号がパワーアップしただけわん、たぶん……」
称号の詳細を配信に映るようにする。
:――――――――――――――――:
称号:キウイの怨敵
説明:『キウイの天敵』系の称号が特殊条件により変化。
キウイ系モンスターからのヘイトが大幅にアップする。
ドロップする彌猴桃の味がランダムになる。
:――――――――――――――――:
◆[『怨敵』……『殲滅者』の上位か、いや、特殊派生かな]
◎[それより、ランダムってハバネロ味のパワーアップ版?]
▽[怖いもの見たさで食べて見たいようなそうでないような……]
「くっくっく、そうだよね、みんなも食べてみたいよね。毒を喰らわば皿までリスナーは一蓮托生わんってことで、今回ドロップしたキウイをバザーに出すわん!」
確認するとインベントリの中にはワンダリングモンスター討伐報酬のキウイが大量に入っていた。
◯[おぉ! やったぁ? いや、買うけど、買うけど大丈夫かな]
◆[ランダムで何種類の味があるのか調べるのも大変だな]
∈[キウイガチャにゃー、とりあえず、店長に食べさせるとするにゃー]
配信終了後にバザーに流したキウイは登録する傍から売れていった。
アンメモ世界のあちこちが阿鼻叫喚となったのはほんの少しだけ後の事だったという……




