第102話 徘徊種紅玉奇異鳥
「わん太様ぁぁぁっ!!」
脇腹に鋭い痛みと衝撃、そして、焼け焦げた匂いを感じながら宙を舞う。
「くぅぅっ、スキル『狐憑啄木鳥』」
背中に黒い翼が広がり、体勢を立て直してふわりと着地した。
そう言えばダメージを食らったのは久々な気がする。
『キウッ、キーーゥゥウィィッ!!』
『キウゥゥウィッ!!』
着地したボクの前には金色キウイ、そして、真っ赤になって怒り声を上げるもう一匹の大きなキウイがいた。
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名称:徘徊種紅玉奇異鳥
説明:キウイに似ているためキウイと名付けられたキウイに似ているためキウイと名付けられたキウイの変異種。
彌猴桃および鶏肉をドロップするが稀にハバネロ味が混じる。
通常の三倍の速度を誇るが金色も同じ速度である。
:――――――――――――――――:
「あれ? 少し違うわん」
恐らく番であろうもう一匹は金色ではなく紅玉奇異鳥の名の通り、真っ赤な体をしていた。そして、口からは微かに炎が漏れている。
◎[えぇっ、二匹目ぇ。いや、ハバネロ味のキウイって罠じゃん]
▽[わん太がダメージ受けてるの久々な気がする]
∈[いつも避けてるにゃ。って、にゃにゃ、わん太お腹が破けて綿がでてるにゃ!]
リスナーの慌てぶりにダメージを受けた脇腹を見ると確かにハラワタ、いや、白いフカフカの綿がはみ出ていた。
「うわぁ、破れちゃってるわん。しかも何だか焦げてるし……」
どうやら赤色キウイの嘴攻撃には火属性がのっていたらしい。
そうなると金色キウイは雷属性だろう。なにせ、こっちを睨む口元はバチバチと雷のようなエフェクトが漏れている。
ともかく、ダメージを負った脇腹は回復する必要がある。
「……布と糸を用意して……スキル『自己再生』!!」
布と糸を消費して脇腹の穴が塞がっていく。
◯[わん太、モノホンのぬいぐるみだった……あ、機人族とかも居るしおかしくはないな]
∈[わん太は元々どう見てもぬいぐるみにゃ。それより、今のスキルは何にゃ?!]
◆[もしかして回復系スキル? アンメモにはないものと思ってたんだが……いや、あれを回復と言って良いのか?]
「スキルについてはこのおっきいキウイたちをなんとかしてから説明するわん」
今はワンダリングモンスター達との戦闘中である。
「しゃっ、しゃぁぁーーっっく!!」
「きゅうっ、きゅきゅっ!!」
何とか開腹から回復したボクの前には巨大キウイたちに負けない大きさとなったナギサくんとイナバくんがボクを庇うようにキウイたちを威嚇していた。
「ナギサくんにイナバくんも守ってくれてありがとわん。ところで、イナバくんもそんなに大きくなれたんだ。もしかしてボクを乗せるのもできたんじゃないかわん?」
ワゴン車ぐらいのサイズに巨大化したイナバくんは四、五人は載っても問題なさそうだ。
「……きゅっ?」
イナバくんは小首を傾げて顔を逸らした。
◎[これは確信犯ですね(確信犯は誤用]
∴[信念を持って乗せないなら確信犯w]
◆[そんなことより、これは精霊が大きさ変えられるってことでおk?]
「どうだろう、少なくともイナバくんはおっきくなれるってことが分かったわん」
「わん太様、無事でしたか」
ペンギンさんたちが心配そうに集まってくる。
「イナバ様とナギサ様が徘徊種の二匹を引き付けてくださったお陰で取り巻きはあらかた片付きましたぞ」
満面の笑みで駆け寄ってくる田脇さんの両手にはキウイと鶏肉が握られていた。
『キーーゥゥ、キウィウィィッ!!』
『キウッ、ゥウィッ!!』
長い嘴にそれぞれ雷と炎を纏った二匹のキウイが怒りの声を上げている。
さて、もう油断はしない。
イナバくんも大きくなっているし、戦力的にも問題はないだろう。
「うん、それじゃあ鶏肉をいただくとするわん」
奇異鳥切を握り直し、こちらを睨むキウイに向けて駆け出した。




