第99話 建国条件
―― 建国ミッションがクリアされました。
碧鳥人族の島が『わん太王国』に加わりました。
「おお、ちゃんと『わん太王国』に加わったみたいわん」
建国旗から広がった光は広場を越え、村全体を包んだ。
―― 『碧鳥人族の村全体が安全地帯に設定されたようです』
「なんと! 流石はわん太様!」
「確かに村全体が安全地帯になってます!」
「今日は建国祭りじゃぁーー!!」
メルリンの言葉に村中が沸き立った。
◎[……はぁっ?! えっ、建国ミッション]
▽[おいおい、領土広げちゃったよ……出来るんだ]
◆[そう言えば、わん太みたいに建国できる条件って分かってないよな?]
「あれ? 建国条件って話したことなかったわん? えっと、ボクの場合、大雑把には――」
* 周囲、および、地続きの所に別の街とかがないこと。
* 島なんかの場合はある程度の大きさがあること。
* 周囲のプレイヤー、および、住民の同意がとれていること。
* 周囲の同一種族の同意がとれていること。
「――だったはず。領域の確保と住民の合意ってやつかわん?」
これらを満たしてさっきみたいな建国宣言をすれば良いらしい。
▽[ここにきて明かされた建国条件……って無理ゲーだろこの条件]
◆[わん太の場合は大きな島に一人だったから条件を満たしていたってことか]
∴[他の条件もありそうだけど、こっちで満たすのはかなり難易度が高いかなー]
ちなみに、アンメモでは安全地帯を構築するには幾つかの方法がある。
簡易的なものはキャンプ道具関連で、有効時間と有効範囲はそれほど広くない。また、安全地帯と言うものの実は防げるモンスターのレベルに制限もある。
安全地帯を作りつつひたすら未踏破領域を進むようなプレイは出来ないのだ。
通常は柵等で周辺を囲い、村や町となることで安全地帯とする。
なお、この建国旗はその安全地帯のレベルが上がる効果がある。
「きちんと安全地帯が強化されてるみたいわん」
後ろにぞろぞろとペンギンさんたちを引き連れて村を廻る。
碧鳥人族にとってのこの村は今回のように祭りの時などに集まる場所であり、普段はあちこちで暮らしているらしい。
「わん太様、わん太さまー!」
「あのねー、せいいきにはいれるようになってるよ?」
ボクに着いて来ずに建国旗の周りではしゃいでいた子供たちが走ってきた。
「えっ、聖域ってボクが出てきた転移ポータルのことわん?」
「そうだよ! 丸くて光るやつ」
「こっちこっちー!」
子供たちに引っ張られながら再び村の中央へと向かう。
確かに何人かが転移ポータルの内側に入って興味深げに床をペチペチしていた。
―― 『碧鳥人族の村がマスターの管理下に組み込まれたことで転移ポータルの使用権限も付加されています。取り消しますか?』
「今のところどこにも行けないんだよね、そのままでかまわないわん。あ、だけど安全が確認されるまでは移動禁止にしといてわん」
―― 『わかりました。転移ポータルM2FPA8の設定を変更しておきます』
◎[わん太王国民になれば転移ポータルが使える?]
∪[そもそも転移ポータルを探すところから始めないと]
◯[アンメモもファストトラベル実装はよはよ]
「転移ポータルは設置場所とエネルギーが大事っぽいから、そんなに数は多くない気がするわん。ところで、この転移ポータルって誰が設置したわん?」
「ここのことでしたら勇者クマゴロー様と共に現れたと伝わっています」
◯[つまりはクマゴローさんが設置?]
▽[クマゴローさんの正体が俄然気になってくるな]
◆[転移ポータル設置のNPCか、運営側とかアルファプレイヤーの可能性も……]
「クマゴローさんの秘密も勇者の祠に行けば少しは分かるかもしれないわん。そんなわけで、明日は勇者の祠に向かうわん、ってことで今日のところはこの辺でバイバ……」
∈[待つにゃ~! その様子だとそのままお祭り続行だにゃ?]
∪[今まで何度この展開があったことか。飯テロ配信にもならずに終了は許さないぞ]
▽[参加できないのは悔しいが、せめて、せめて配信したままにしてくれ]
「……むむっ、みんなわがままなんだわん。じゃあ、配信はそのままでバイバイわ~ん。え、それじゃあ、碧鳥人族の村の『わん太王国』加入を祝って乾杯わ~ん!!」
「おぉーっ、わん太さまー、カンパーイ!」
「カンパーイ」「カンパ~イ!」
そして、三度目の祭りが開始される……。
▽[カンパ~イ! って、裏山]
◯[見てるだけでお腹が空いてきた]
◎[これが飯テロ配信……]




